黎明の書 〜誓約せいやくの章〜

夜無き世界 死の無き世界

光と生にあふれた世界は じれて曲がった世界となった

世界がくさり行くにつれて 神々は二柱の意思を知った

二柱の存在なく 世界が滅びることはない

二柱の存在なく 新たな世界は生まれない


息子なる破壊は 父なる死に向かって言った

父なる男よ

神々は皆 あなたの戻りを待っている と


死なる男は答えて言った

息子なる破壊よ

闇色だった私の瞳は すっかりあかに染まってしまった

我が子なる世界を恋いしたうあまり

私と相反する命の色に

こんなにも世界をおもっていても

誰があのまわしき神々の元へ戻るものか と


娘なる月は 母なる夜に向かって言った

母なる乙女よ

神々は皆 あなたの戻りを待っている と


夜なる乙女は答えて言った

娘なる月よ

闇色だった私の瞳は すっかりあおに染まってしまった

我が子なる世界を恋い慕うあまり

あの憎らしき弟の色に

こんなにも世界を想っていても

誰があの忌まわしき神々の元へ戻るものか と


強き賢き碧の神は かつての兄と姉に言った

世界の祖なる二柱よ

私もまた 世界を想っている

あなたたちが戻るなら わたしはどんなつぐないもしよう と


兄なる死は答えて言った

最も偉大なる弟よ ならば私の似姿にすがたを創るがいい

私は滅ぶべき男となって 世界の過去を壊すだろう

いつか必ず貴様の子供が 私によって滅びるだろう と


姉なる夜は答えて言った

最も偉大なる弟よ ならば私の似姿を創るがいい

私は滅ぶべき女となって 世界の未来を創るだろう

いつか必ず貴様の子供が 私によって滅びるだろう と


弟なる天空はこれに同意し 二柱の似姿を連れ帰った

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