黎明の書 〜対話の章〜

虫が 獣が 鳥が 魚が 世界に蔓延はびこるようになり

あらゆる神々は気がついた

あらゆるものが 二つに分かれていることを

あらゆるものが 二つで一つになることを


ある時 天空の王が人間にたずねた

おまえはなぜあちらの人間と違うのか

おまえはなぜあちらの人間と二つで一つになるのか と


その人間は言った

お答えしましょう 偉大なるお方

あの人間と同じように あなたが私にして下さるのならば


天空の王はその通りにした

すると 人間は答えた

お答えしましょう 偉大なるお方

それは私が女であり あちらの人間が男であるから

虫も 獣も 鳥も 魚も 男と女に分かれている

男と女は二つで一つとなるからです


天空の王は更に訊ねた

二つで一つとなることに 何の意味があるのか と


人間の女は答えた

造るためでございます 偉大なるお方

偉大なる方々の造形物であるわれわれは

二つで一つとなり ようやく完全なものとなる

そうして初めて われわれは

偉大なる方々と同じことができるのです と


すると天空の王は怒り 更にこう訊ねた

私の造形物にすぎないおまえたちが

何故私の真似事をするのか と


人間の女は 神の怒りにおそれ入り こう答えた

偉大なるお方 それはわれわれが永遠でないから

われわれが造らなければ

神々の造形物が失われてしまうから と


天空の王は

神の造形物が永遠ではないことを知った

そして 人間の女の言い分をもっともなことだと思った


天空の王は更に訊ねた

おまえの眼に わたしの姿はどう映るのか

神々もまた 男と女に分かれているのか と


人間の女は答えた

偉大なるお方 あなたは男神おがみでございます

ですから 私と二つで一つになることができるのです

あなたは今 私と共に造ったのです と


天空の王は 全ての神々にこれを話した

こうして 神々は知ることとなった

男と女があることを

神の造形物が永遠ではないことを

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