Ars et Magicus〜超能力と魔法〜
『傍観神話』の世界においては、大きく分けて3種類の「魔法(原理がどうなってんだかよく分からない不思議な力)」があります。古代神聖語(コリトプス)、超能力(アルス)、魔法(マギクス)です。3種類とは言ってもそれぞれが全く別という訳ではなく、コリトプスはアルスの中に含まれ、アルスはマギクスの中に含まれます。この3種類の「魔法」について、意味の狭い方から順番に語りたいと思います。
今更ですが、(そしてこのページに限りませんが)マニアックです。作者が自分の為に作っている資料ですので、そりゃあもうマニアックです。
※コリトプス、アルス、マギクスを使うには、神通力(グリス)が必要です。
グリスとは、神霊属なら誰もが生まれつき備えている特殊な生命エネルギーですが、「契約(ゲッシュ)」により、神霊属以外の生物がこの特殊な生命エネルギーを纏うことも可能です。簡単に言えばMP(マジックポイント)みたいなもの。
U.Ars
ラテン語で「技術(skill、art)、専門職(profession)」を意味する"ars"から。ちょうのうりょく。
解説
アルスとは、神霊属が神通力を使って行う「魔法」の中で、先天的に使える能力のことです。種族全体が使える能力も含みますが、主に個が使える特殊な能力について言います。特殊なアルスを使える神霊属のことを、アルセロイ(女性形はアルセイラ)と言います。
二つ以上のアルスを持つ神霊属もいれば、全く持っていない神霊属もいます。
例
種族全体が使えるアルス:翼馬の飛行能力、琺夜族の熱視覚(赤外線を見る能力)、シエリスタの冬眠(解毒、肉体回復能力)など。
個が使える特殊なアルス:緋紅、クレイの重力操作能力、萌黄の斥力操作能力、カリクシュールの邪眼(イービル・アイ)など。
V.Magicus
ラテン語で「魔法(Magic)」を意味する"magicus"から。まほう。
解説
マギクスとは、広義には神通力を使って行う「魔法」全般を言い、狭義には、神々あるいは精霊や神族との契約によって使える能力のことです。
マギクスを使えるようになるには
1.神様と契約する
『黎明の書』に出て来るような神々と契約するには、お好きな神様を祀る神殿に入門するのが一番です。神の僕になり、神官になれば、神のご加護によってマギクスを使えるようになります。神を讃え、「こうして下さい!」と強く祈れば、神様が代わりにコリトプスを唱えて願いを叶えてくれます。
神霊属は生まれつき祖先の神の加護を受けているので、契約の必要はありません。別の神様と契約することはできませんが、複数の神が祖先の場合(神霊属族同士の混血の場合)、特にご加護を受けたい神を選ぶことができます。選ばなかった神様のご加護を失うことを覚悟しましょう。
マギクスを使うのに何よりも必要なのは神への信仰心。相性の悪い神様や精霊の領域に手を出したり、分不相応に大きな願い事をすると、願いが叶わないどころか罰が当たることがあるので注意しましょう。一番全能性の高い(色々な魔法を使わせてくれる)神様は、魔術の女神アストラムです。
2.精霊、もしくは神族と契約する
自分でコリトプスを唱えてみたいという人は、まず、できるだけ若くて気の弱そうな神族か、人間の言葉が分かる精霊を捕まえて、「使い魔にして下さい」と頭を下げます。断られても拝み倒します。相手が折れたら互いの真の名(マァタ)を交換し、少しだけ血(体液なら何でも)を分けてもらい、契約を結びます。これで、晴れてマギクス(コリトプス)が使えるようになり、魔導士と呼ばれるようになります。
この方法だと、勉強の手間は省けます。マスター(契約した神族か精霊)の知識を共有できるので、努力の必要はありません。マスターの神通力をネコババできるので、自分が疲れることもありません。その代わり、マスターの命令には絶対服従しなければなりません。逆らったら一言で殺されます。その上、マスターが死んでしまったら呪文が使えなくなります。複数の相手と重複して契約すると、マスターの機嫌を損ねることがあるので注意しましょう。
3.闇の道に足を踏み入れる
まず、できるだけ弱そうな、もしくは究極にマゾヒストの神族を捕まえて、コリトプスの正確な意味や発音を教えて貰います。完璧に習得、または記録した後、その神族の肉体と魂が離れないように呪文をかけさせ、生かしたまま体の一部を削り取ります。削り取った神族の手や足なんかをミイラにして常に所持していれば、マギクス(コリトプス)を使えるようになります。ミイラの含有している魂(神通力)が尽きたら、また新しいものを手に入れましょう。犠牲となる神族の全面的な協力が必要不可欠です。
こんな倫理的にヤバイことをするような人でなしは、『闇の魔導士』とか『変質者』とか『鬼畜』とか呼ばれて社会から排斥されます。
4.魔導具を使う
熟練した神官や魔導士が作った魔法の道具を手に入れれば、何の努力もなしにマギクスが使えます。
露店に並ぶ品は、偽物や紛い物が多いので注意しましょう。神殿に行けば、碧龍天楼禁言院所属の魔法研究機関、『王立神事院魔導開発局』が季刊発行している魔導具のカタログを見ることができます。その神殿に注文してお金を払えば、最短2日〜最長1年で取り寄せてくれます。保証書もつけてくれます。少々値は張りますが、これが一番安全確実。
魔導具は説明書をよく読んで使用しないと、思わぬ災難に遭遇します。
例
・瞬間移動(テレポーテーション)
天空の神アテス、月の女神スゥルフィエ、風の神オブガルテス、七柱の虹の女神ウラニオトッカ、星の女神ルイヤ、魔術の女神アストラム、旅の女神ネク、噂の神パルスの領域。
ある場所から別の場所へ瞬時にして物体を移動させる、または自ら移動するマギクス。移動する場所を完璧に認識していることが条件。
目で見える範囲より遠くに物体を移動させたい時は、肉体から意識を離すマギクス、他の生物に意識を乗り移らせるマギクスなどを併用する必要があります。その為、長距離の瞬間移動は非常に高度な術とされています。
ただし“遠隔透視”のアルスを持つカリクシュール=ホルスケーラには、上記のような制限はありません。女神アストラムへの祈りさえ通じれば、彼は惑星球面の作る地平線の限界ぎりぎりまで移動することができます。
『傍観神話』作中では、緋紅と萌黄が初っ端に魔導具を使った瞬間移動を行っています。
・爆発(エクスプロージョン) ※萌黄のアルスのことではありません。
破壊の神ダイシェス、風の神オブガルテス、火の女神イフェスティア、星の女神ルイヤ、魔術の女神アストラム、音の神ムジカの領域。
物体を爆裂させるマギクス。何でも粉々に破壊してくれるのがダイシェス。オブガルテスの「爆発」は風圧による物体の破裂。イフェスティアだと爆発的燃焼、ルイヤ、アストラムだと内部膨張による破裂、ムジカは爆音と、祈る神様によって「爆発」にも個性があります。
『傍観神話』作中では、カリクシュール=ホルスケーラが琳と萌黄をびびらせる為に木を爆発させています。
※緋紅やクレイは、体内の重力を操作するアルスを持っています。このアルスによって自滅しないように、二人とも常識を超える強靭な筋力、骨格を備えています。このアルスの産物である「馬鹿力」は、神通力を必要としないのでマギクスとは呼びません。
♪Music by Vagrancy.「石の褥」