3000HITリクエスト企画

 灯桜 玲さんより、『腹黒が完成されきって(又はその前後)からの琅珂:古代神聖語とかそっち系の戦い』OR『国王議会で海千山千の大臣達を相手に熾烈な政治論争を繰り広げる』もしくは『そのミックス』で、『とりあえず琅珂の腹黒が見たい』という何とも愉快なリクエストを頂きました。
 一部は私の提案と言うか冗談と言うか・・メールのやりとりでこんなことになってしまったと言うか・・。
 んで、とりあえずプロジェクト始動。君影脳のメモリーストック・作品構想編の中からリクエストに合いそうなのを探ってみましたら、こんなのがありましたですよ。

 物語の舞台は、『傍観神話』の6年前。真冬の『西』琺夜ほうやシェオ・フローリィ宮。
 国王e葵しゅうきは四六歳の誕生日を前に、次期国王となる王太子を指名する。それは、誰もが予想もしなかった人物だった!
 勝手な王様の気紛れな発言が、雪の降りしきる琺夜に白熱の騒乱を引き起こす!
 王位継承けいしょうを巡る、腹黒一族スノゥリィ家のどたばた殺伐さつばつ家族コメディ(?)!



 ・・なんてのはどうでしょう?
 もしこれでよろしければ、3〜5話ぐらいの中編を書かせて頂きたいと思います。これで駄目なら、妄想ストックからまた違うのを発掘致しますので。
 灯桜さん、連絡お待ちしております(^_^)v

 (3/13追記: OK頂きました!執筆開始します!)

 以下、無駄に長い人物紹介。太字じゃない名前は、たぶん直接出て来ません。


*スノゥリィ家の人々


※腹黒熟成度は性格の良し悪しとは関係なく、「ポーカーフェイスで黒いことを考え、実行できる能力」の数値。勿論適当。

e葵しゅうき (スノゥリィ家)

 琺夜国王。四六歳。瑜威紀胡ゆいきこの息子。紋章はゼニアオイ。
 色素欠乏症アルビノ虹彩異色症ヘテロクロミア。髪の色はプラチナ・ブロンド。瞳の色は右が赤、左がみどり(瞳孔は赤)。暗いところでは熱視覚ヒート・ヴィジョンに切り替わり、両目とも紅く光る。素晴らしく均整の取れた体つきをした美男。肌には全く色素がなく、真っ白。
 先天的に弱視、難聴、日光に弱い、などの障害を持っていたが、ある魔術師から怪しい治療を受け、現在では克服こくふくしている。
 父の「弱者生存するべからず」という信条によって、生まれてすぐに遺棄いきされ、ノワール族の隊商キャラバンに拾われて育った。祖国がセルズに征服されて親兄弟が皆殺しにされたことを知ると、ノワール族の女王と共に琺夜を攻め落とし、王を名乗った。・・とかいう凄まじい過去を持つ。
 本名でなく、瑜威紀胡ゆいきこ二世を名乗ることもある。琺夜の国民感情を考え、「セルズ人に負けた事実などなかったことにしよう」というノリで。あるいは「我こそ正統な王位継承者」という意味を込めて、父の名を使うらしい。
 我儘わがままで乱暴で自分勝手。気に入ったものは何でも手に入れずにはおかない。自分を傷つけようとする者にはとことん残酷な復讐をする。目的を達する為には凄まじい集中力と知略ちりゃくを発揮するが、一旦獲物を手に入れたらすぐに飽きる。魅力的な容姿や同情を誘う過去を大いに活用し、人をだまして利用するのが得意。
 ノワール族の女王に恋をし、それが実らなかったせいで手当たり次第に女をあさるようになったのだという噂もあるが、本人が女性の同情を引くために流したものである可能性が高い。私生児も含めて百人を下らない子供を作っているが、一度として父親の責任を果たしたことはない。そんな自分の性格を理解した上で側にいる妻や数少ない友人には、それなりに愛着を感じているが、自分の子供達に愛情を持って接したことはない。たまに目を留めても、虐待ぎゃくたいするしか能がない。子供達からは憎まれている。
 簡潔に言って、最低の男。腹黒とかいう以前の問題。現代日本にいたら、反社会性人格障害サイコパスと診断されることは間違いない。


瞭桜りょうおう (フロコンドネージュ=スノウリィ家)

 琺夜国第一王妃。二七歳。愛称は瞭。紋章はスノーフレーク(スズランスイセン)。
 やや栗色がかった黒髪。翠色の瞳。暗いところでは目が紅く光る。典型的な琺夜族。小柄で華奢きゃしゃだが、ひょうのように俊敏しゅんびん。絶世の美女。
 e葵しゅうき従妹いとこで、断絶したフロコンドネージュ公爵家の唯一の生き残り。家族は全てセルズとの戦いで死亡している。琺夜族スノゥリィ・ケルズの血統を維持する為にe葵と結婚したものの、育児への関心は薄い。内助の功と言うか、実質君主。戦争と子作りにしか興味がない夫に代わって琺夜の実権を握っているが、おおやけの場では王を立てる。本来、琺夜国王妃の敬称は『妃殿下ソナルテス・ロワイヤル・ラ・プランセス』だが、彼女は『王后陛下サ・マジェステ・ラ・レーヌ』と呼ばれる。


・マルヴェ=ペリード・クリスタロス/青磁せいじ (ペリード=スノゥリィ家)

 ミル・フォン・ペリードの長男。二五歳。内務卿ないむきょう。紋章はホテイアオイ。
 髪の色は濃茶と金のまだらで、瞳の色はクリスタロス族らしい薄緑。決して身長が低くはないのに、丸っこく見えるほど太っている。
 母親が若くして亡くなった為、叔母のアサギに育てられる。琺夜国王の第一王子として十代後半から行政にたずさわり、やる気のない父親の代わりに国家分裂の危機を何度も救ってきた。今後も祖国の発展の為に尽力じんりょくしたいと思っている。幼い頃、初恋の女性(瞭桜)を父に取られたことを、ずっと根に持っている。
 外交官として長く碧龍天楼ルフトブルクで生活していたせいか、思考回路は資本主義、シビリアンコントロールの“天空の民シエリスタ”寄り。かつて武力を用いることなく社会を激変させたアサギを尊敬しているが、琺夜にはもっと緩やかな変化が必要だと感じている。世の森羅万象しんらばんしょうをいかに己の利とするかを常に考え、行動している。
 腹黒熟成度92%。


・アウグステ・フォン・ペリード/秘色ひそく (ペリード=スノゥリィ家)

 ミル・フォン・ペリードの長女。二二歳。紋章はヒナゲシ。
 母親をノイローゼにして死に追いやった琺夜族(特に父親)に嫌気がさし、今は碧龍天楼ルフトブルクで親戚と共に暮らしている。一年の大半を琺夜で過ごす叔母に代わって、ペリード家代々のやしきを管理している。


・ファルツ=ペリード・クリスタロス/風玻ふうば (ペリード=スノゥリィ家) 

 アサギ・フォン・ペリードの長男。二十歳。鉱物博士。愛称はファル。紋章はヤグルマソウ。
 髪の色は薄茶色。瞳の色は琺夜族らしい深い翠で、暗いところで赤く光る。ソフトマッチョ。
 アサギ公爵の第一子だが、マルヴェがいる為、家庭内でのポジションは冷静な仕切り屋の次男。琺夜族的な考えも“天空の民シエリスタ”的な考えも、それなりに理解を示す。既に妻帯し、一歳半になる息子がいる。自分や家族の身に直接影響がない限り、政治のことには興味がない。アウトドア派。
 腹黒熟成度60%。


・フルリール=ペリード・クリスタロス/萌芽ほうが (ペリード=スノゥリィ家)

 アサギ・フォン・ペリードの次男。十八歳。職業は歌手その他芸術芸能活動。愛称はフロー。紋章はバラ。
 髪の色は亜麻色交じりの金。瞳の色はクリスタロス族と琺夜族の中間。エメラルドのような神秘的な緑。
 奔放ほんぽうなナルシストの三男。初めて会う人は、100人中99人が美女と見間違える。その美貌びぼうと才能で大勢の人間をきつけ、とりこにするが、彼自身は他人に対して冷め切っている。ごく限られた人間にしか、情を持って接することができない。高い知能を持っている割に、スリルを好み、どこか抜けている。性格の悪い琅珂を嫌っているが、兄達からは同族嫌悪だと思われている。
 腹黒熟成度75%。


玉葉ぎょくよう (スノゥリィ家)

 瞭桜りょうおうの娘。十二歳。衛生隊第37連隊長。愛称は葉。紋章はヘレボルス(クリスマスローズ)。
 スノゥリィ家の次女。琅珂とは双子。異性一卵性双生児。性別が分かれた原因は、たぶん染色体異常。医学的にはクラインフェルター症候群しょうこうぐんかもしれないけど物語的にはどうでもいい
 やや栗色がかった黒髪。翠色の瞳。魔法を使っている時に左目だけが紅くなることがある。第二次成長期に発芽する熱視覚ヒート・ヴィジョンは、まだ備わっていない。母親似の美少女。弟同様、強大な神通力グリスの持ち主。
 絶対王政、軍国主義、統制経済を国家の指針と信じる生粋きっすいの琺夜族。マルヴェ同様愛国心が強いが、意見はまるでみ合わない。ペリード一族を琺夜の敵と見なし、手段を選ばず排除はいじょしたいと思っている。一方で、半分血の繋がった兄や弟に淡い情も感じている。
 双子の弟が精神的、肉体的に強いショックを受けた時、いつもシンクロして謎のダメージを負ってしまうので、いい加減にしてくれと思っている。
 腹黒熟成度80%。


琅珂ろうが (スノゥリィ家)

 瞭桜の息子。十二歳。騎兵隊第6大隊長。愛称は琅。紋章はスノードロップ。
 スノゥリィ家の四男。外見は、『傍観神話』時代(十八歳)とほとんど同じ。ちょっと背が低くて髪型が違う程度。
 髪は漆黒。瞳は右が紅、左が翠の虹彩異色症ヘテロクロミア。父親と違い、瞳孔には色素がある。やや遠視傾向だが、視力障害と言うほどのものではない(どころか抜群に良く見える)。熱視覚ヒート・ヴィジョン発芽前。色と性別の他は、姉に瓜二つ。薄暗いところにいるとほとんど見分けがつかない。目つきと態度が険悪な方が弟。
 敵をじ伏せて痛めつけることに喜びを感じるサディスト。まっとうな社会生活を営むにはかなり問題のある人格だが、幸い琺夜には必要とされる人材。きょうだいの中では比較的、父e葵しゅうきに目をかけられていて、本人はそれが嫌でたまらない。兄フルリールには蛇蝎だかつの如く嫌われている。顔も見たくないのはお互い様。
 弟のひきょうを唯一の家族だと思っている。玉葉と意識がシンクロすることがあるが、それが『思いやり』や『同情』、『恋情』であった場合、どういう類の感情なのか理解できず、勝手に腹を立てていることがある。いつかペリード一族と父親を国ごと焼き尽くしたいと思っているが、心優しい弟の手前、我慢に我慢を重ね、戦場でさ晴らしをするに留めている。
 腹黒熟成度60%。
 

ひきょう (スノゥリィ家)

 “黄の虹キトリノス”族の若葉わかばの息子だが、戸籍上は瞭桜の養子。十歳。王立技術兵学校学生。工兵隊第81フェビアン大隊所属第2特殊弩兵どへい小隊長。愛称は。紋章はエーデルワイス。
 髪は栗色で、瞳は琺夜族の翠色。熱視覚ヒート・ヴィジョン発芽前。この時期はまだ、琅珂より小さい。
 豊かな感情を持ち、穏やかで、そこにいるだけで他人をなごませる。人の笑顔を見ることが幸せ。
 自分の存在が兄弟間の闘争を緩和かんわしていることをそれとなく理解し、必要以上にお馬鹿に振舞うこともある。よくできた子。
 腹黒熟成度5%。


・フォーゲル=ペリード・クリスタロス/りん (ペリード=スノゥリィ家)

 アサギ・フォン・ペリードの三男。九歳。王立学士院学生。歩兵隊第122クレイ大隊所属第54アントニア中隊所属分隊長。紋章はワスレナグサ。
 髪はナチュラル・ブロンド。瞳はペリドットのような明るい薄緑。外見は完全にクリスタロス族。
 ご存知琳ちゃんお子ちゃまバージョン。『傍観神話』時代(十五歳)を小さくして、もみあげを伸ばした感じ。ペリード家では四男。スノゥリィ家では六男。濃い兄達に囲まれて、日々社会勉強に励む。年の割に口が達者で生意気なところもあるが、基本的には素直で頑張り屋のいい子。姉と兄達が家族間の闘争に「翡と琳は巻き込まない」ことを暗黙の了解にしていることなど、知る由もない。
 天真爛漫てんしんらんまんな末っ子。



●その他の人々


・アサギ・フォン・ペリード

 ペリード公爵。e葵の第二王妃。ファルツ、フルリール、フォーゲルの母親。
 琺夜の経済界を牛耳ぎゅうじる大富豪ふごう。かつて国王に中央銀行の設立を提案ていあんし、結果琺夜に高度経済成長とインフレスパイラルを引き起こし、『西』東部を大混乱におとしいれた張本人。経済の安定を好む琺夜国民からは嫌われているが、諸外国、特にセルジリア帝国からは高い評価を得ている。
 

・エパノス・フース=アッシュダーク

 琅珂の親友。十五歳。史上最年少の宮廷医師。親衛隊将軍グラジオ・リーク=アッシュダークの息子。


・クレイ・フェオ=ユーン

 フルリールの親友。十八歳。歩兵隊第112大隊長。クレイ・ジール=ユーンという名の兄がいる。財務卿の兄の方が有名人なので、この時代の琺夜でクレイ=ユーンと言えば兄のこと。弟のクレイは、ミドルネームスゴン・プレノンをつけて呼ばれることが多い。