caTra 謎語が分からん

ネタバレ注意と書こうにも、生憎さっぱり分からん。
とりあえずアルファベット対応表。

以下、メモ

透明ジャケット、歌詞カード?表紙

  catra  shikata akiko
catra ripcatan stla
 ellusia fan t see rfia
 oluuushyu ka lessyut aala

 エルーシア ellusia
 夜月さんのブログにおいて、「エルーシア」の元ネタは古代ギリシャの死後の楽園「エリュシオン」ではないか?との考察を見たことによる備忘録。
 「エルーシア」の「解放」という意味に掠るような掠らないようなネタを見つけたので書いてみる。
 まず、Ἠλύσιον(エーリュスィオン)は古代、古典ギリシア語の中性固有名詞。複数主格はἨλύσια(エーリュスィア)。
 または形容詞Ἠλύσιος(エリュシオンの)の男性単数対格または中性単数主、対、呼格。
 固有名詞なのに何で複数?に関しては後で。

 ピンダロスの『オリュンピア祝勝歌』第2歌、紀元前476年に戦車競走で優勝したアクラガス(現アグリジェント)のテロンのために謳われた讃歌70行目に、エリュシオンとは書いてないけど、エリュシオンについて触れている箇所がある。
 該当箇所前後の英語訳が以下。英語訳全文はこちら
 "Those who have persevered three times, on either side, to keep their souls free from all wrongdoing, follow Zeus' road to the end, to the tower of Cronus, where ocean breezes blow around the island of the blessed,"
 ざっくり訳すと、「どちらの側でも、魂をあらゆる不正から解放しておくために、三度耐え忍んだ者は、ゼウスの道を最後まで通って、クロノスの塔へ到る。そこでは大洋からの風が祝福の島の周りを吹き抜ける」。
 "to keep their souls free from all wrongdoing"で、あれ?これ「解放」って訳せるんじゃね?ひょっとして、志方さんはこれを読んで「エルーシア(解放)」という言葉を創造したんじゃね?とか思いついたら居ても立ってもいられず(たぶん違う)。

 猶、ギリシア語原文はこちら
 あー、そっか。"μείναντες ἀπὸ πάμπαν ἀδίκων"で「完全に不正から離れて踏み止まった者たちは」になるのか。
 μείναντεςは、「とどまる、踏みとどまる、待つ、期待する」みたいな意味の動詞μένωのアオリスト能動分詞男性複数主格形で、「とどまった者たち」。英訳とはちょっとニュアンスが違うな。原文からは「解放」的な文意は読み取れない。
 さて、英語ではisland of the blessedと訳されてるμακάρων νᾶσος(マローン ーソス)、直訳すると「幸せな人らの島」って感じ。かっこよく言えば「至福者らの島」。単数形。エリュシオンとは書いてないけど、これはエリュシオンのことを指している。

 Ἠλύσιον(エーリュスィオン)という言葉が出て来る現存最古の例は、ご多分に漏れずホメ―ロス。『Ὀδύσσεια(オデュッセイアー)』第4歌、563行目。
 『ところで、ゼウスが護り立てられるメネラーオスよ、神々の仰せによると、そなたは草をはむアルゴスで生を終え、寿命を果たすではなく、世界の涯の極楽(エーリュシオン)の野へ、不死である神々たちはそなたを送り届けるであろう、そこは金髪のラダマンテュスが(治めるところで)、人間にとり生活のこの上もなく安楽な国とて、雪もなく、冬の暴風雨(あらし)も烈しからず、大雨とてもかつて降らぬ、年がら年じゅう太平洋(オーケアノス)が、音高く吹く西風(ゼピュロス)のつよい息吹きを送りこして、人間どもに、生気を取り戻させるという』
――『ホメーロス オデュッセイアー 上 呉茂一訳』(岩波文庫 1981第12刷)p128より引用
ギリシア語原文はこちら
 "Ἠλύσιον πεδίον"(エーリュスィオン ペディオン)=エリュシオンの野。ここでも単数形。

 そして「至福者らの島」の最古例はヘーシオドスの『Ἔργα καὶ Ἡμέραι(仕事と日々)』170行目。
 『彼らはかくしてあるものはこの地で討死し、その生を終えたが、一部のものには、クロノスの御子、父なるゼウスが、人の世からは離れた大地の涯に、命の糧と住居とを与えて住まわせられた。かくてこれらのものたちは、心になんの憂いもなく、深く渦巻くオーケアノスのほとり、「至福者の島(マカローン・ネーソイ)」に住んでおるのだ』
――『ヘーシオドス 仕事と日 松平千秋訳』(岩波文庫 1993第5刷)p30~31より引用
ギリシア語原文はこちら
 『「至福者の島(マカローン・ネーソイ)」に』の部分は"ἐν μακάρων νήσοισι"。日本語訳だと分からんけど、νήσοισιは複数与格。「島々」になってる。主格にするとμακάρων νῆσοι(マローン ーソイ)。
 ※ちなみにνῆσοιの単数主格はνῆσος(ーソス)。ピンダロスはドーリス方言、ヘーシオドスはイオニア詩形を使ってるから、ちょっと違う。
 つまり、「エシュシオン」は「島々」。複数ある。現代ギリシア語で「エリュシオン」はΗλύσια(イスィア)またはΗλύσια Πεδία(イスィア ペズィア)。基本的には複数形で使われるみたい。
 だからどうしたと言われたらどうもしない。



 螺旋の涙 lacrise mona(ラクリゼ・モナ)
   lacrima(ークリマ)・・「涙」。イタリア語の女性名詞
   lacrimosa(ラクリーザ)・・「涙でいっぱいの、悲しい」。イタリア語の形容詞lacrimosoの女性単数形。

 キオカイト kiokait

※フォントの著作権ってどうなってるんでしたっけ・・?
とりあえず上げてしまいましたが、場合によっては消すかもしれません。