Chi vuol la zingarella

Giovanni Paisiello (1740 - 1816) :作曲
Giuseppe Palomba (1769-1825):作詞

Chi vuol la zingarella
graziosa accorta e bella?
Signori, eccola qua.

Le donne sul balcone
so bene indovinar.
I giovani al cantone
so meglio stuzzicar.


A vecchi innamorati
scaldar fo le cervella.
Chi vuol la zingarella?
Signori, eccola qua.


"Gli zingari in fiera"(市場のジプシーたち)より
 ↓は、オペラ本編を知らず、志方さんの「ロマの娘」の雰囲気とオペラでよくある「ジプシー女」のステレオタイプ(歌や踊りが得意、フラメンコの元祖、占いや呪いが得意、エキゾチックで妖艶、狡賢い、みたいな)をイメージしながら訳したもの。取り間違いや誤訳もあるけど、そのままにしときます。

 zinga〜は現代では差別用語と見なされるらしいけど、古典は古典だから仕方ない。特に二つ目の詩節の脚韻が素敵だと思う。志方さんが「ロマの娘」の間奏で歌ってるのは、一つ目と二つ目の詩節。もう一箇所何言ってるのか分からないところがあるけど、A vecchi innamorati ..じゃない。

ズィンガッラ
Chi vuol la zingarella
代名詞 他動詞(原形:volere) 冠詞 名詞
(それが)欲しがる ジプシー娘(単)
ジプシー娘を欲しがるのは誰?

Chiは無変化の疑問詞。英語のWho。
vuolはvuoleのトロンカメント(語尾切断)形。
ziの発音は「ツィ」、「ズィ」、どっちもあり。

グラッツィーザ アッルタ ッラ
graziosa accorta e bella?
形容詞 形容詞 接続詞 形容詞
優美な 抜け目のない そして 美しい
優雅で聡明 そして美しい(ジプシー娘を)

accortaは再帰動詞accorgersiの過去分詞形。mi sono accortaだと「私は気付いた」。
何故か「慎重な、賢い、抜け目のない」という意味の形容詞にもなるらしい。・・うん。分かんない。
ここのフレーズで、当時のナポリ男(パロンバさん)が「ジプシー娘」をどう見ていたか分かるような気がする。

スィンニョーリ ッコラ
Signori, eccola qua.
名詞 副詞+代名詞 副詞
紳士(複数) ecco la Here she is さあ(ここに)
紳士諸君、ここにいますよ。

Signoriは冠詞つけずに呼びかけの形。
友達と待ち合わせの時に、「お待たせ、来たよ!」って感じでeccomi qua!とか言うらしい。

ンネ スル バルーネ
Le donne sul balcone
冠詞 名詞 縮約冠詞 名詞
婦人(複) su il 〜の上に バルコニー
バルコニーの上にいるご婦人方を

le・・女性名詞複数形につく定冠詞。でもフランス語だと男性名詞単数形につく定冠詞なんですよね。そっちは「ル」って読むんだけど。
あと、フランス語だと男女問わず名詞の複数形につく定冠詞がlesで、これを「レ」って読むんですよね。
ilなんかも伊語だと男性名詞単数形につく定冠詞だけど仏語だと人称代名詞「彼(he)」だったり・・
ロマンス語系統は同時に勉強すると身につくのが早いとか言うけど、常にごっちゃになって頭ぐるぐる。る〜ら〜れ〜♪

ーネ インドヴィール
so bene indovinar.
他動詞(原型:sapere) 副詞 他動詞
(私は)できる うまく 占うこと
うまく占うことができますよ

indovinarは不定詞のトロンカメント(語尾切断)形でいいのだろうか。

ジョーヴァニ アル カンーネ
I giovani al cantone
冠詞 名詞 縮約冠詞 名詞
若者(複) a il 〜の
街角の若者達の

cantone・・「部屋の隅」ではない筈。
状況分からんけど「バルコニーのご婦人方」にも話しかけてるなら、屋外だよな。

ッリョ ストゥッツィール
so meglio stuzzicar.
他動詞(原型:sapere) 副詞 他動詞
(私は)できる もっと 刺激すること
興味を引くことができますよ

stuzzicareは「つつく、いじくる、嫌がらせをする、そそる」。
これもトロンカメント。

ヴェッキ インナモーティ
A vecchi innamorati
前置詞 名詞 形容詞
〜に 老人(複) 恋をした(複)
恋するご老人たち

vecchioの男性・複数形はvecchi。

スカルール フォ チェルヴェッラ
scaldar fo le cervella.
他動詞 他動詞(原型:fare) 冠詞 名詞
熱する (私が)〜させる 脳(複)
あなたたちの頭を興奮させましょう

scaldareがトロンカメント。fare+不定詞で「〜させる」。
fareの1人称単数直説法はfaccioだけど、省略してfoにすることもありとか・・勘弁してよ。
leって三人称単数の人称代名詞(敬称)?でもlが大文字じゃないし。冠詞?なんでcervelloがaになって女性形に?
男性名詞cervelloは複数形になると性転換することもあるらしい・・
女性単数形っぽい見た目になって女性複数形用の冠詞を伴うという・・でも現代語ならi cervelliの方が主流か?使い分けが分からない。

さて、意訳してみる。


ジプシー娘をお望みなのはどなた?
優雅に踊り 知恵深く 美しい私でしたら
皆様 ここにおりましてよ
 
バルコニーのご婦人方
あなたの運勢を占って差し上げましょうか
街角の若殿方
遊んであげてもよろしくてよ

私に釘づけの老紳士方
心を蕩かせて差し上げましょうか
ジプシー娘をお望みなのはどなた?
皆様 ここにおりましてよ



・・何かエロいのは私のせいじゃないと思う。こんな女を妄想して喜んでた18世紀のナポレターノがいけないんだ。
でも志方さんが歌ってると思ったら燃えないか?萌えでもいいけど。
勝手に一人称的になってるのは↑なこと考えた私のせいです。ごめんなさい。


歌詞は『古典イタリア名曲撰集T 中声用』より