黒き風の留まる時When Black Skyes Rest on Perch
あらすじとかよしなしごと

 割とまともなあらすじ
 琺夜ほうや国の第四王子琅珂ろうが君は、色々あって、幼くして祖国を追放されました(厄介もんは不法投棄せずに身内で何とかしましょう)。親に捨てられ、家をおん出され、天才幼児は見事にぐれました。それも並大抵のぐれ具合ではありません。天から与えられたあらゆる才能を駆使して、荒んだ生活をしぶとく生き延びています。
 そんな彼が、どす黒い日常生活の中で不思議な老婆と出会います。彼女の奇妙な言葉に呪いをかけられたかのように、その後、彼の運命は、老婆とも関わりのある一人の少女に引き寄せられていきます。
 そこに突如現れるのは、琅珂がぐれる前の数少ない友達、エパノス。
 琅珂ろうが霓葩けいは。二人の類稀なる天才児の間に、「僕が年上なんだって!」と主張する医者の卵が割り込んで、物語は迷走して行きます。

 作者的あらすじ
 フランス文化の中国人もどき二人と、フランス人もどき×天上人なドイツ人もどきのハーフがメインキャラの、ミソロジカルシリアスファンタジー。
 ウェールズ地方をイメージした農村、大英帝国の都ロンドンっぽい都会、エジプトシリアギリシアごっちゃな砂漠へと物語の舞台は移り変わり、どいつもこいつも大暴れ。

 題名について
 英語の副題を直訳すると、「黒い翼たちが止まり木で休む時」。
 プチ造語が1個入っています。"skyes"。
 ある時、スコットランドの旅行雑誌を見ていると、スカイ島という島の名前が目に止まりました。英語の綴りは"The Isle of Skye"。島が鳥の翼のような形であることから、ゲール語で「翼」を意味する「スカイ」と名付けられた、とあります。
 「空」の"sky"(こいつは古ノルド語の「雲」に由来)と同じ音で「翼」。何とも素敵です。
 是非この言葉を使ってみたい!と思いましたが、英語の"skye"は単に島の名前で固有名詞。"wing"の意味はありません。スコティッシュ・ゲール本来の「翼」は"sgèthe"。これでは「スカイ」と読み難いですし、"sky"を連想できません。それに、複数形だと形が変わってたぶん「スカイ」じゃなくなります。
 どうしても"skye"が使いたかったんです。皆様、辞書に載ってなくても"Skyes"は「翼」の複数形だと思って下さい。