イタリア古典・ラテン語読解用参考文献


イタリア語

文法書
 『イタリア語 速修15日』(創拓社 1998)
 白崎容子さんの著作。CD付き。色分けやイラストを多用した分かり易い入門書。カラー満載な分、ページ数の割に定価はあんまりお安くないけど、良書だと思う。しばしば、構文理解の補助として対応する英語が添えられている。ある程度英語を学んだ高校生以上の初学者におすすめ。巻末の文法索引もありがたい。ちなみに、大学書林の『〜語〜週間』ほどの無茶振りじゃないけど、15日で修了しようとすると私みたいに投げたくなるから注意。

 『しっかり学ぶイタリア語―文法と練習問題』(べレ出版 2001)
 一ノ瀬俊和さんの著作。CD付きでお手頃な値段。文法が項目ごとに参照し易く纏められている。実は一度手放しちゃって古本屋で買い直した。遠過去時制とかはカバーしてないので、あくまで基礎固めって感じ。「それはどうしてこうなるか」を割としっかり教えてくれる。

 『現代イタリア語文法〔新装版〕』(白水社 2010第2刷)
 坂本鉄男さんの著作。分厚くてお硬くて字の小さい文法書。坂本さんがはしがきを書いた日付が1979年3月ということでそれなりに古いけど、2013年11月現在、これ以上詳しいイタリア語文法書はないんじゃないかな。イタリア語の文章を読解するのに、まともな辞書とこれ一冊あったらまず困ることはない。80年代以降できた表現やネットミームなんかには当然対応してないけど。

辞書
 『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館 2001)
 言うまでもなく日本語⇔伊語。ポケット辞書の割にはお利口。日本語から直接伊語を引けると思えば、この値段で満足するべきか。発音記号はないけど、主要な単語にはカタカナ読みがついているので初心者に親切。中級者以上にはウザいであろう。今頃になってハローキティ版が出るなんて聞いてないよ。本格的にイタリア語やるなら伊和中辞典を買うべき。誰が買うか!高いわ!・・と思ってたけど古本屋で半額以下の見かけたら買うかもしれない。ポケット辞書はやっぱり用例が少ないんだよな。

 『伊和中辞典 第2版』(小学館 2009第10刷)
 伊語→日本語。結局買っちまったよ。見出し語数7万5千、用例9万。うん、やっぱ必要だなコレは。同規模の英和と比べたら値段の違いに腹が立つけど、ギリシア語→日本語に比べたら安いもんだ。池田廉さん他編集委員の人達にエールをおくるべし。使い易いけど、不規則動詞以外の活用形なんてもちろん見出しにないし、『ポケット〜』みたいなルビもない。イタリア語の語形変化がさっぱり分からない初心者は、webの『Amore〜』と併用するといいかも。
 追記:2011年に白水社から『プリーモ伊和辞典 和伊付』が出た。これは学習辞典ということで、見出し語数は伊和で3万3千とやや少ないながら、最近の言葉やEメールの書き方なんかも収録されている。そしてカナ読み付。ビジネスやSNSでイタリア人とやり取りしたい向きには、圧倒的にこっちをおすすめ。私みたいに古詩や専門用語多発の論文を訳したいなら、語数の多い小学館が向いてる。

 『The Oxford New Italian Dictionary』(Berkley Books 2007)
 英語⇔伊語のポケット辞書。使えない子。この単語が英語でこういう意味って参考にはなるけど、マイナー単語はのってない。300円だったから仕方ないか。新品でも5ドルと99セントだし。NYの会社なのに何でOxfordなのかと言うと、published by arrangement with Oxford University Pressだって。ちょっと高いPocket Oxford Italian Dictionaryとどう違うのかは不明。米語と英語?マンガは高いが辞書は安い。それがUSAクオリティ。

 『Amoreイタリア語辞書』http://www.notitle.ne.jp/~amore/
 無料ですぐに使えるweb辞書。もっと早く見つけてればと地団太踏んだり。日本語⇔伊語で、詩形、古形の語彙も豊富。原形が分からない動詞の活用形でも、入力するとだいたい辞書形を教えてくれる。すごく便利だけど用例は期待できないので、前置詞や多様な意味を持つ動詞、助動詞に関しては、紙の辞書を参照すべし。

 『lo Zingarelli Vocabolario lingua Italiana』(Zanichelli)
 伊⇒伊辞典。毎年発行されるイタリアの広辞苑的なやつ。紙媒体、DVD、アプリ版と色々出てて便利。私が使ってるのはDVD。

その他
 『古典イタリア名曲撰集T 中声用』(東京音楽書院 1998)
 『古典イタリア名曲撰集U 中声用』(東京音楽書院 1999第2刷)
 KEI音楽学院院長川村敬一さん編著の、声楽初心者の為の楽譜。ピアノ初心者にとってのバイエルやブルグミュラー的(なのかなぁ?)声楽曲がそれぞれ28曲掲載。
 最初に歌詞全文の日本語訳があり、楽譜の中に書き込まれた歌詞の下には単語ごとの意味が書いてあるという親切構成。ウザオタクとは比べ物にならない素敵な翻訳を見ることができる。巻末にはイタリア語の発音指導と楽語一覧表までつけてくれて至れり尽せり。イタリア語はあんまり分からないけど、歌の意味を理解して心を込めて歌いたいという人に最適な楽譜集。一時絶版だったけど、kmpが再版してくれた。kmp版は書院版よりちょびっと小さくて表紙がつるつるしてるらしい。
 ちなみに志方あきこオタクさん、元ネタ色々転がってますよ。

 『歌うイタリア語ハンドブック』(株式会社ショパン 2006)
 副題は「歌唱イタリア語の発音と名曲選」。声楽家でオペラ研究者の森田学さんの著作。カラオケでカタカナ読みが歌えるレベルじゃ嫌、ちゃんと「イタリア語」を歌いたい、という人におすすめの本。イタリア語の文法や日常会話についてもごく簡単に触れられてるけど、何よりも「歌唱のためのイタリア語」を学ぶことに特化している。逐語訳、発音、脚韻など濃やかな解説付の名曲選も魅力。音大でちゃんとプロの先生に指導して貰うのが一番良いんだろうけど、この教本を読み込んで、プロの声楽家が歌う音源をよく聴いて習えば、アマチュアなりにそこそこのレベルに行けそう。

 『イタリア歌曲を朗読しよう』(株式会社ヤマハミュージックメディア 2010第2版)
 副題は「歌唱のための発音入門」。↑と同じく森田学さんの著作。CD付き。曰く『歌のためのイタリア語発音マニュアル』。イタリア語の母音、子音ひとつひとつの発音、リズム感、アクセントについて丁寧に指導してくれる。後の章では、有名な詩歌を教材に韻律、拍について触れ、表現豊かな朗読を実践できるようになっている。『歌唱のための』とあるけど、この本で扱っているのは、まずは詩歌を朗読するところまで。イタリア古典歌曲の初心者、特に独習者なら、これを一通りやってから↑のハンドブックに行くといい感じ。すごく分かり易い良書。

 『イタリアの詩歌』(三修社 2010)
 副題は「音楽的な詩、詩的な音楽」。↑の森田学さんの他、イタリア文学・文化研究者の天野恵さん、イタリア語・ラテン語・ルーマニア語の言語学博士鈴木信吾さんによる共著。イタリア詩の韻律法、詩形、韻文と音楽との密接な関わりについての専門書。明解な日本語で分かり易く・・書かれてはいるんです、ハイ。読んでて眠くなったり、「なるほど、わからん」になるのは読み手の責任ということでorz


ラテン語

文法書
 『初級ラテン語入門』(白水社 2004第34刷)
 有田潤さんの著作。初版は1964年。ラテン語の文法書としては分かり易い方。とは言え、需要がある英語その他の入門書みたいな多色刷りコラム満載、やさしい日本語で読者のモチベーションにまで気を遣ってくれる本を期待してはいけない。

 『古典ラテン語文典』(白水社 2007)
 中山恒夫さんの著作。『初級ラテン語入門』で分からなかったところを色々と教えてくれる。慣れたら便利なんだけど、お堅い。微に入り細に入って説明してくれているところは、前知識なく読むと意味不明。もうちょっと簡単なところから入らないと、いきなりこれに手を出すと、おそらく挫折する。

辞書
 『羅和辞典 田中秀央編』(研究社 2005 第39刷)
 今のところまあ手に入る唯一のラテン語⇒日本語辞典(大学書林の『古典ラテン語辞典』は諭吉さん4枚弱というありえないお値段)。逆は引けないけどなかなか便利。今頃になって改訂版が出るなんて聞いてないよ。ちなみに和羅辞典を出してるのは国際語学社。
 
 『The New College Latin & English Dictionary』(Bantam Books 2007)
 非常に安い上に使える子。現代英語をラテン語でどう言うか知りたい時に最適。ただし、古いラテン語を古めかしくて詩的な英語に訳したいなら、もっと古くさい辞書を使うべし。
 
 『Pocket Oxford Latin Dictionary』(Oxford University Press 2005)
 オックスフォード大学出版の辞書。ポケットの割には使えるかなぁ。学術語の検索に良いかも。PocketがつかないOxford Latin Dictionaryは大学書林ばりにありえないお値段(欲しい人はテムズ川に身投げするノリで円高の内に)だけど、この子なら英世さんが2枚あればお釣りが来る。

その他
 『現代ラテン語会話 カペラーヌス先生の楽しいラテン語会話教室』(大学書林 1993)
 ドイツ人のCapellanusさんの著書“Sprechen Sie Lateinisch?―Moderne Konversation in lateinischer Sprache.”の翻訳版。編訳者は有川貫太郎さん、長谷川洋さん、鈴木繁夫さんの3人。文法書ではない。ラテン語で日常生活したらどんな言い回しするよ?を教えてくれる愉快な本。古代のことわざ、名句、珍句も紹介されている。決してリーズナブルではないけど、面白い。