コンドルは飛んでいく  KUNTUR PHAWAN

Daniel Alomia Robles作曲(編曲と言うべき?)


蒼穹そらかけるコンドルよ

峰を越えて戻り来たか 
※1インカよ

破壊されし帝国

かつて死へ飛び去りし われらが王 インカよ

※2古き峰 新しき峰を 舞い飛ぶ気高きコンドル

孤独の魂 戻り来たか



 辛き時代きたれど われら忘れぬ あの翼を

 戦い力尽きてなおも われら見守る蒼穹そらの王を



※注1 インカ(Ynca)・・ケチュア語(インカ帝国の公用語)で皇帝、または王のこと。ちなみに『インカ帝国』はケチュア語でタワンティンスーユ(Tawantinsuyu:4国連合)。
※注2 古き峰 新しき峰・・ 世界遺産マチュ・ピチュを取り囲む二つの山、マチュ・ピチュ(古い峰)とワイナ・ピチュ(新しい峰)のこと。壁紙の、有名な山がワイナ・ピチュ。


 
解説:インカ皇帝の末裔と称するホセ・ガブリエル・コンドルカンキ(トゥパク・アマル)は、1780年、当時アンデスを植民地支配していたスペインに対して反乱を起こすが、最後は捕らえられて処刑される。彼の魂はコンドルとなり、今も人々を見守っている。
 ちなみにこの人は、マンコ・インカ・ユパンキの息子で帝国最後の皇帝トゥパク・アマル(在位1571-1572)の末裔であると自称しているが、真偽のほどは定かではない。なお、ペルーの左翼武装組織と直接の関わりはない。


 『コンドルは飛んでいく』。日本ではペルー民謡、もしくはサイモン&ガーファンクルの歌として有名です。そもそもはフォルクローレ。ケーナの曲。
 小学校の音楽の授業で歌ったのがこの曲との出会いですが、「もしもできることなら〜空を〜飛べる〜雀なぁら〜うーれしい〜♪かたつみりみたいな〜野暮な〜生き方なんて〜♪今日限りで〜終ーわりさ〜♪」って
コンドルどこ!?幼心に疑問でした。

 中学になって英語を習い、“I'd rather be a sparrow than a snail〜♪ Yes I would〜 If I could〜♪”の方を歌うようになったけど、やっぱり何故かそこだけスペイン語の曲名(El Condor Pasa)以外にコンドルいないし。日本語版もサイモン&ガーファンクル版の訳詩だとゆーことは分かりましたが。てゆーか、外国の民謡の日本語版っておかしいの多いよね。ポーリシュカ・ポーレ♪それは愛のこーとーば♪とか。ロシア語の直訳見ると、「ポーリュシュカ・ポーリェ」って「野原よ、野原」って書いてるんだけど、これってどうよ?『野ばら』みたいに秀逸なのももちろんありますが。

 ・・脱線しました。元に戻します。いえね。母がね。地元のコーラスコンサートで日本語版を歌うことになったんですよ。私もね、サイモン&ガーファンクル版(英語)は好きだし、彼らの曲として歌うならいいと思うんですよ。でもペルーの歌として歌うからには、やっぱりいただけないかなぁと。インカ王女テーマのサルスエラ用として書かれた歌詞の方がいいんじゃないかなぁと。それもできれば征服者スペイン人の言葉ではなく、ケチュア語で。

 ヤゥ クントゥル リャクタイ ウルクピ ティヤク♪ マイマンタム〜カーワーム〜♪ ワチカンキ クントゥル〜クントゥル〜♪・・かわいいのに。

 などと言っても仕方がないので、とりあえずJulio Baudouin y Pazの歌詞を元に、日本語にしてみました。・・うん、勝手な思い入れとか「そんなん書いてないよ!?」な言葉とかいっぱい入ってますが。だって直訳だと音に乗らないんだもん。字数はすずめとかたつむりの日本語と同じなので、日本語版の楽譜でそのまま歌うことができます。

 何かコンドルカンキより初代トゥパク・アマルの歌っぽいけど。死者の魂が現世の人々と交流し続けるというのは、インカの思想だし。マチュ・ピチュ遺跡は上空から見るとコンドルの形してるらしいし(だからどうした?)。

 原曲はこちらのサイトでご覧下さい。ケチュア語、ドイツ語、英語、スペイン語の歌詞と、ピアノ用と歌用の楽譜があります。

 ところで、ただコンドルの為だけに(前から興味がなかった訳じゃないけど)古本屋漁って1000円で『実用ケチュア語入門』(戸田実之著 泰流社 1993 現在絶版)をゲットしましたが、ケチュア語って・・可愛い。「ベッド」が「プニュウナー」で「眠る」が「プニュイー」。「ベッドで寝る」は、「ぷにゅうなーぴ・ぷにゅに」(たぶん)。「風が家をつぶした」(こんな例文があったのよ)は、「ワイラ・ワシタ・パンパ・チャン」。いやん、可愛い♪

♪MIDIはこちらから借りました。