Notte
Ottorino Respighi(1879〜1936):曲
Ada Negri (1870〜1945):詞
Sul giardino fantastico
Profumato di rosa
La carezza de
l'ombra
Posa.
Pure ha un pensiero e un palpito
La quiete
suprema,
L'aria come per brivido
Trema.
La luttuosa tenebra
Una
storia di morte
Racconta alle cardenie
Smorte?
Forse perché una pioggia
Di soavi rugiade
Entro i socchiusi petali
Cade,
Su
l'ascose miserie
E su l'ebbrezze perdute,
Sui muti sogni e
l'ansie
Mute.
Su le fugaci gioie
Che il disinganno infrange
La
notte le sue lacrime
Piange...
アーダ・ネグリさんの詩。押韻構成はabcb。よく分からんけど、オットリーノ・レスピーギさんが1905年にこれを合唱曲にして、1912年にソロアレンジして"Sei
Liriche"(6つの歌)に収録して、翌1913年にも管弦楽付?の別アレンジで"Tre
Liriche"(3つの歌)に載せたらしい。彼のお気に入りだったのか、それともすごく人気があったのか。レスピーギさんの歌曲の中でも"Notte"って結構有名らしい。ってぐーぐる先生が以下略。
志方さんが『緑の森で眠ル夜』で歌ってるので、例によって自重しないオタクが手を出してみました。これは前奏がかっこいいよな〜。「夢と現の狭間の森へ」というコンセプトにもぴったりだし。
スル | ジャルディーノ | ファンタスティコ |
Sul | giardino | fantastico |
縮約冠詞 | 名詞 | 形容詞 |
su il 〜の上で | 庭 園 | 幻想的な |
幻想的な庭の上で |
fantasticoは驚異的な、空想の、という意味も。
プロフマート | ディ | ローザ |
Profumato | di | rosa |
形容詞 | 前置詞 | 名詞 |
芳香を放つ | のof | バラ |
薔薇が香る |
profumatoは動詞profumare(香りをつける、香りを放つ)の過去分詞。
ここの形容詞はgiardinoにかかる。
ラ | カレッツァ | デ | ロンブラ |
La | carezza | de | l'ombra |
冠詞 | 名詞 | 前置詞? | 冠詞+名詞 |
愛撫 | di? 〜の | 影 | |
影の愛撫が |
de l'ombraって・・dell'ombraの古形か詩形?
ポーザ |
Posa. |
動詞(原形:posare) |
(それは)沈殿する |
留まる |
この場合は自動詞?
プーレ | ア | ウン | ペンスィエーロ | エ | ウン | パールピト |
Pure | ha | un | pensiero | e | un | palpito |
副詞 | 動詞(原形:avere) | 不定冠詞 | 名詞 | 接続詞 | 不定冠詞 | 名詞 |
それでも、〜もまた | (それは)〜を持つ | 考え | and | 心拍、感動 | ||
けれども それは思索と動悸を持つ |
haの主語はcarezza?志方さんはpure ha unを一息で歌ってるから「プン」ぐらいにしか聴こえない。
ラ | クイエーテ | スプレーマ |
La | quiete | suprema, |
冠詞 | 名詞 | 形容詞 |
静寂 | 最高の | |
最高の静寂 |
つまりla carezza de l'ombraのことか?
(追記:初め、"suprema"を「気高い」と訳してましたが、変更しました。「物凄く静かな夜の大気もちゃんと動いてるんだよ」って意味か?)
ラーリア | コーメ | ペル | ブリーヴィド |
L'aria | come | per | brivido |
冠詞+名詞 | 副詞 | 前置詞 | 名詞 |
空気 | するように | 〜を | 身震い |
身震いするような空気が |
トレーマ |
Trema. |
動詞(原形:tremare) |
(それは)震える |
揺れ動く |
ラ | ルットゥオーザ | テネブラ |
La | luttuosa | tenebra |
冠詞 | 形容詞 | 名詞 |
悼むべき | 闇 | |
悼むべき闇は |
tenebraの複数形tenebre(テネブレ)でufficio delle tenebre(暗闇の聖務)のこと。
カトリックにおける朝課。復活祭前の聖週間最後の三日間、キリストの死を悼んで闇の中で唱える哀歌。
ウナ | ストーリア | ディ | モルテ |
Una | storia | di | morte |
不定冠詞 | 名詞 | 前置詞 | 名詞 |
歴史、物語 | のof | 死 | |
死の物語を |
ラッコンタ | アッレ | カルデーニエ |
Racconta | alle | cardenie |
動詞(原形:raccontare) | 縮約冠詞 | 名詞 |
(それは)物語る | a le 〜に対して | くちなし(複) |
くちなしに物語るのか |
cardenieは、たぶんgardeniaの詩形で複数形。
次に?があるから疑問形。
ズモルテ |
Smorte? |
形容詞 |
青白い |
青ざめた |
cardenieにかかる。
フォルセ | ペルケ | ウナ | ピオッジャ |
Forse | perché | una | pioggia |
副詞 | 疑問副詞 | 不定冠詞 | 名詞 |
ひょっとして | それは〜だから | 雨 | |
ひょっとして雨が |
ディ | ソアーヴィ | ルジャーデ |
Di | soavi | rugiade |
前置詞 | 形容詞 | 名詞 |
のof | 甘美な | 露(複) |
甘い露の |
pioggiaにかかる。
Soaveって名詞なら、ヴェネト州ヴェローナの白ワイン。
Bollaのソアーヴェでボンゴレ・ビアンコ作ると最高。
エントロ | イ | ソッキューズィ | ペータリ |
Entro | i | socchiusi | petali |
前置詞 | 冠詞 | 形容詞 | 名詞 |
〜の中の | やや開いた | 花弁(複) | |
開きかけた花びらの中の |
カーデ |
Cade, |
動詞(原形:cadere) |
(それは)落ちる |
落ちるからだろうか |
perchéがここにかかってくる。
ス | ラスコーゼ | ミゼーリエ |
Su | l'ascose | miserie |
前置詞 | 冠詞+形容詞 | 名詞 |
〜の上に | 隠れた? | 貧しさ、苦悩(複) |
隠れた苦悩の上に |
ascoseは他動詞nascondere(隠す)の変形?ascondereの過去分詞女性複数形でいいのだろうか。
エ | ス | レッブレッツェ | ペルドゥーテ |
E | su | l'ebbrezze | perdute, |
接続詞 | 前置詞 | 冠詞+名詞 | 形容詞 |
and | 〜の上に | 陶酔(複) | 失った |
失った陶酔の上に |
perdutoは他動詞perdere(失う)の過去分詞。
スイ | ムーティ | ソンニ | エ | ランスィエ |
Sui | muti | sogni | e | l'ansie |
縮約冠詞 | 形容詞 | 名詞 | 接続詞 | 冠詞+名詞 |
su i 〜の上に | 黙ったままの | 夢(複) | and | 心配(複) |
沈黙の夢と心配の上に |
冠詞+形容詞+名詞の順序ばっかり。
ムーテ |
Mute. |
形容詞 |
黙ったままの |
沈黙の |
l'ansieにかかる。
ス | レ | フガーチ | ジョイエ |
Su | le | fugaci | gioie |
前置詞 | 冠詞 | 形容詞 | 名詞 |
〜の上に | 束の間の | 喜び(複) | |
束の間の喜びの上に |
ケ | イル | ディズィンガンノ | インフランジェ |
Che | il | disinganno | infrange |
(関係)代名詞 | 冠詞 | 名詞 | 動詞(原形:infrangere) |
That | 真実を悟らせること | (それは)破る | |
真実を悟らせることが破る |
うん。変な日本語。gioieにかかる。
ラ | ノッテ | ル | スエ | ラークリメ |
La | notte | le | sue | lacrime |
冠詞 | 名詞 | 冠詞 | 所有形容詞 | 名詞 |
夜 | それ(彼女)の | 涙(複) | ||
夜はその涙を |
ピアンジェ |
Piange... |
動詞(原形:piangere) |
(それは)涙を流す |
流す |
以下、書いてる人だけが楽しい意訳。
薔薇の薫る幻想の庭を
優しい翳の手が覆う
物思い 息衝くのは 比類なき静謐とてまた同じ
自ずから身震うが如く 大気はざわめく
哀悼の闇は 死の物語を
青白き梔子の花に語り聞かせるのか
それはもしや 綻びかけた花弁の内の
甘露の雨が
秘められた苦悩に 失われた陶酔に
物言わぬ夢と憂いの上に 降り注ぐからか
覚醒によって破られる うたかたの歓びに
夜はその涙を注ぐ
今更だけど、イタリア古詩って複雑な時制が滅多に使われてないことに気がついた。助動詞を伴った複合時制だとどうしても長くなるから、詩文のリズムには適さないのかも。それはありがたいんだけど、詩独特の表現とか辞書に載ってない形の単語とかは豊富。初心者の教材として良いのか悪いのか微妙。
臆病者です。著作権的にヤバイと思ったら消します。
http://www.karadar.com/
Lieder⇒Respighi, Ottorino (1879-1936)
歌詞は↑のサイト様より。