『花帰葬』、PC版サントラのボーナストラック「始まりを告げるもの」で日本語朗読の後に入るイタリア語歌詞、及び
『SHADOW HEARTS FROM THE NEW WORLD』のゲームオーバーBGM「Un gemito dell'estinto」イタリア語コーラスの元ネタです。
「始まりを告げるもの」では最初の詩節青字部分が、「Un gemito dell'estinto」コーラスでは茶色部分が歌われています。
Un gemito dell'estinto(ウン・ジェーミト・デッレスティント)っつーのは、「死人のうめき声」という意味。うわ〜・・

Nebbie

Ottorino Respighi(1879〜1936):曲
Ada Negri (1870〜1945):詞

Soffro,
Lontan lontano
Le nebbie sonnolente
Salgono dal tacente
Piano.


Alto gracchiando, i corvi,
Fidati all'ali nere,
Traversan le brughiere
Torvi.

Dell'aere ai morsi crudi
Gli addolorati tronchi
Offron, pregando, i brochi nudi.
Come ho freddo!

Son sola;
Pel grigio ciel sospinto
Un gemito destinto
Vola;

E mi ripete: Vieni;
È buia la vallata.
O triste, o disamata
Vieni! Vieni!


 原曲はお馴染みのアーダ・ネグリさん作詞、オットリーノ・レスピーギさん作曲。Nebbie(ッビエ)とは、「霧」を意味する女性名詞の複数形です。

ッフロ
Soffro,
自動詞(原形:soffrire)
(私は)苦しむ
私は苦しむ


ロン ロンーノ
Lontan lontano,
副詞
遠く
遠く 遠い

繰り返しでトロンカメント(語尾脱落)。

ッビエ ソンノンテ
Le nebbie sonnolente
冠詞 名詞 形容詞
霧(複) 眠気を誘う
眠りを誘う霧が

sonnnolenteは「緩慢な」とも訳せる。

ルゴノ ダル チェンテ
Salgono dal tacente
自動詞(原形:salire) 縮約冠詞 自動詞(原形:tacere)
(それらが)昇る、上がる da il 〜から 黙った
黙った〜から昇る

tacenteはtacere(黙る、隠す)の現在分詞。

ーノ
Piano,
名詞
平野
平野(から)

pianoの意味が多過ぎて絞れないけど、たぶんこれでいいハズ。
でもpiano, piano..と繰り返す「始まりを告げるもの」では、後ろのpianoは副詞かも。
「静かな平野からゆっくりと・・」かもしれない。


ルト グラッキャンド ルヴィ
Alto gracchiando, i corvi,
副詞 自動詞(原形:gracchiare) 冠詞 名詞
高く カーカー鳴きながら カラス(複)
甲高くカーカーと カラスが鳴きながら

gracchiareは「(カラスやカエルが)鳴く」。あるいは比喩的に「ぶつくさ不平を言う」。
gracchiandoはジェルンディオ。

フィーティ アッーリ ーレ
Fidati all'ali nere,
自動詞(原形:fidare) 縮約冠詞+名詞 形容詞
信用した a l' ali 翼(複)で 黒い
信頼の置ける黒い翼で

女性名詞複数形なのにle aliじゃないのは、やっぱ二枚一組で単数扱いなの?
「Un gemito dell'estinto」では、志方さんalle ali(アッレ・ーリ)と歌ってるみたいだけど。
fidatiは過去分詞。

トラヴェルサン ブルギーレ
Traversan le brughiere
他動詞(原形:traversare) 冠詞 名詞
(それらは)横切る 荒野(複)
荒野を横切る

traversanoがトロンカメント。

ルヴィ
Torvi.
形容詞
険しい
険しい(荒野)

le brughiereにかかる


デッエレ アイ ルスィ ーディ
Dell'aere ai morsi crudi
縮約冠詞+名詞 縮約冠詞 名詞 形容詞
di l' aere 空気の a i 〜で 噛み傷(複) 容赦のない
空気の辛辣な噛み傷で

語順が・・

アッドローティ ンキ
Gli addolorati tronchi
冠詞 形容詞 名詞
深く悲しんだ 幹(複)
深く悲しんだ幹は、


ッフロン プレンド ーキ ーディ
Offron, pregando, i brochi nudi.
他動詞(原形:offrire) 他動詞(原形:pregare) 冠詞 名詞 形容詞
(それらは)捧げる、提供する 祈りながら 枝(複) 裸の
祈りながら、裸の枝々を捧げる

offronoがトロンカメント。
brochiはbroccoの詩形で複数形?
pregandoはジェルンディオ。

ーメ ッド
Come ho freddo!
副詞 他動詞(原形:avere) 形容詞
なんと (私は)〜を持っている I have 寒い
「なんて寒いのだろう!」

Comeは感嘆詞。
ここは木のセリフ。


ーラ
Son sola;
自動詞(原形:essere) 形容詞
(私は)〜だ ひとりぼっち
私は孤独だ。

sonoがトロンカメント。
solaなので「私」は女性。

ペル ージョ チェール ソスント
Pel grigio ciel sospinto
縮約冠詞 形容詞 名詞 他動詞(原形:sospingere)
per il 〜へ 灰色の 届けられた
灰色の空へと届けられた

現代語ではperとilってくっつかない。
sospintoは過去分詞。

ウン ジェーミト デスティント
Un gemito destinto
不定冠詞 名詞 ?前置詞+名詞?
呻き声、嘆き ?故人の?
故人の呻き声は、

destintoって・・こんな形の形容詞やら過去分詞やら探してみても見つからない。
なのでd'estintoと解釈。

ヴォーラ
Vola;
自動詞(原形:volare)
(それは)飛ぶ、早く伝わる
飛ぶように伝わる。


ーテ ヴィーニ
E mi ripete: Vieni;
接続詞 人称代名詞 他動詞(原形:ripetere) 自動詞(原形:venire)
そして 私に (それは)繰り返して言う (君が)来い
そして、私に「おいで」と繰り返す。


イア ヴァッータ
È buia la vallata.
自動詞(原形:essere) 形容詞 冠詞 名詞
(それは)〜だ 暗い 開けた谷間
開けた谷間は暗い

またしても倒置。

ステ ディザータ
O triste, o disamata
間投詞 形容詞 間投詞 ?形容詞?
おお 悲しい おお ?愛情をなくした?
「おお 憂鬱な(者)よ 愛情を失くした(者)よ

disamataとは何ぞや?
他動詞disamorare(愛情を失わせる)の過去分詞disamoratoの古形で女性形?
それともdisarmato(無力な)の方?
何にせよ、ここの形容詞は「私」を指すんだろうな。

ヴィーニ ヴィーニ
Vieni! vieni!
自動詞(原形:venire)
(君が)来い
おいで おいで!」


以下、意訳のような何か。詩的過ぎる語順を守るのはきっぱり諦めた。


私は苦悩する
遥か遠い 沈黙の平原より
眠りに誘う霧が迫り来る

カラスは甲高く啼き
その黒い翼を頼りに
恐ろしい荒野を飛び過ぎて行く

嘆きの樹々は  非情な風のあぎと
祈りながら 無防備な枝を差し出す
「なんと寒いのか!」

私は独り
亡き人の呻き声は矢の如く疾り
灰色の空に響く

私を呼び続ける。
「おいで 谷間は暗い」と。
「おお 陰鬱な人 おお 愛を失くした人よ
おいで おいでなさい!」

 これなんてホラー。

はい。著作権的に駄目なら消します。


背景素材をお借りしました

The Lied and Art Song Texts Page:http://www.recmusic.org/lieder/get_text.html?TextId=12019
詩は↑のサイト様より。