Istoria~Kalliope~ ギリシア語(ギリシャ語)メモ10.英雄葬
英雄葬 Σ᾿έναν ήρωα |
※志方さんのδはやっぱり「ザ、ズィ、ズ、ゼ、ゾ」より「ダ、ディ、デュ、デ、ド」の方が近いよなぁ。公式でδのルビはダ行になってるもんなぁ・・と思いつつ、相変わらずザ行で読み仮名振ってます。気になる方は適当に置き換えてお読み下さい。
※動詞の相(アスペクト)は、「アオリスト相」とか「完了相」とか書いてない限り継続相、態(ヴォイス)は特に断りがない限り能動態です。
※ここでは、「古典語」=「だいたいコイネー、そのちょっと前後も含む」、「現代語」=「基本的にディモティキ」です。授業科目の「古文」と「現代文」ぐらいざっくり。
・Θέτις(テティス)・・「テティス」。古典ギリシア語の女性固有名詞。ラテン語ではThetis(テティス)。現代ギリシア語では古典語と同綴りで「セティス」みたいに読む。
ギリシア・ローマ神話における海の女神。ネーレイデス(Νηρηΐδες:ネーレウスとドーリスの娘たち)の一人。英雄アキレウス(Ἀχιλλεύς)の母。ゼウスやポセイドーンに我がものにせんと狙われるも、「彼女から生まれた子はその父より強くなる」との予言によって、プティエーの王ペーレウスと娶せられる羽目に。その婚礼の席に投げ込まれた黄金の林檎こそ、いくつもの叙事詩に語られるトロイア戦争の引き金となる。
アキレウスの生前は、早世しないよう女装させて隠し、本人がいざ戦士として身を立てると決起した後には、武具を手配し、助言を送り、息子の憤懣を雪ぐためならゼウスにさえも懇願に行った。後には孫のネオプトレモス(Νεοπτόλεμος)にも何度か助言を与えている。地味な逸話だけど、ヘーラーの指示によってアルゴナウタイが危険な海域を通過するのを助けたり、ゼウスとヘーラーの夫婦喧嘩に巻き込まれて天空から落とされたヘーパイストスを助けたりもしている。逸話を見る限り、わりかしヘーラーと仲がいい気がする。ゼウス様が絶対に手を出さないからだろうか・・
『白銀の沓(くつ)はく女神テティスは ペレウスの情けに添って/軍勢を撃ち破り 獅子の胆もつアキレウスを生まれた』
(『神統記』 岩波文庫 1984 P124/1006-1007行より引用)
『すると、彼女に、ムーサのカルリオペーみずからしっかり性根を据えて、はなしかけた。「嘆くのをおやめなさい、女神テティス様。そして、わが子のことで狂乱して、神々と人間を支配される方に八つ当たりしてはいけません。強く雷鳴をとどろかせる王ゼウスのお子たちも同様に、まがまがしい運命に倒され、殺されているのです。それに、私自身が神であるにもかかわらず、息子オルペウスは身まかりました。あらゆる森が、ごつごつしたすべての岩山が、川という川の流れが、さらには、吹きそよぐひびきも美しい風が、そしてすばやい翼で飛びたつ鳥たちが、息子の歌声を慕ってついていったものです。それでも私はこの大きな痛手に耐えました。神たる者がこのようなむごい痛手や苦痛で愁嘆するのは正しくないからです。そういうわけで、つらいでしょうが、あなたも高貴なご子息のために袖を濡らすのはもうおやめなさい。ご子息の栄光と武勲はいつも吟唱詩人らが人々に歌ってきかせるでしょうから、私と他のピーエリスらの指図に従って。』
(『トロイア戦記』 講談社学術文庫 2000 P120より引用)。
・Σ'έναν ήρωα(セナン イロア)・・「とある英雄へ」とか「さる英雄に寄せて」ぐらいの意味。
・μια(ミア)・・「ひとつの」。基数詞の1、または不定冠詞の女性(単数)主格か対格。
・εποχή(エポヒ)・・「時代が」。女性名詞単数主格か対格。ここでは主格。「時代、時期、歴史上の時代区分、季節」などの意味がある。
・τελειώνει(テリオーニ)・・「(それは)終わる」。自・他動詞τελειώνω(~を終わりにする、終える、全うする、終わる)の現在三人称単数形。
『一つの時代が終わる』
・όπως(オポス)・・「~のように、~のごとく」。同等比較の副詞。
・κλείνουν(クリヌン)・・「(それらを)閉じる」。自・他動詞κλείνω(閉める、閉じる、閉まる)の現在三人称複数形。
・τα(タ)・・中性名詞の複数主格か対格につく定冠詞。
・κουρασμένα(クラズメナ)・・「疲れた」。他動詞κουράζω(疲れさせる、うんざりさせる)の受動分詞κουρασμένος(疲れた、うんざりした)の中性複数主格形または対格形。
・μάτια(マティア)・・「両目を」。中性名詞μάτι(目、視力、芽、蕾)の複数主格または対格。ここでは対格。
『疲れた目を閉じるように』
・μια(ミア)・・「ひとつの」。基数詞の1、または不定冠詞の女性(単数)主格か対格。
・εποχή(エポヒ)・・「時代が」。女性名詞単数主格か対格。ここでは主格。「時代、時期、歴史上の時代区分、季節」などの意味がある。
・τελειώνει(テリオーニ)・・「(それは)終わる」。自・他動詞
『一つの時代が終わる』
・μια(ミア)・・「ひとつの」。基数詞の1、または不定冠詞の女性(単数)主格か対格。
・ιστορία(イストリア)・・「歴史、物語が」。女性名詞単数主格または対格。ここでは主格。
・ολοκληρώνεται(オロクリローネテ)・・「(それは)仕上げられる、完結する」。他動詞ολοκληρώνω(完成する、仕上げる、完全なものにする)の受動態現在三人称単数形。
『一つの物語が完結する』
・και(キェ)・・「~と、そして」。接続詞。
・οι(イ)・・男性または女性名詞の複数主格につく定冠詞。
・συμπολεμιστές(スィンボレミステス)・・「戦友たちは」。男性名詞συμπολεμιστής(戦友)の複数主格か対格。ここでは主格。
・του(トゥ)・・「彼の」。三人称単数男性(または中性)の人称代名詞。属格弱形。
・τον(トン)・・「彼に」。三人称単数男性の人称代名詞。対格弱形。
・αποχαιρετούν(アポヒィェレトゥン)・・「(それらは)別れを告げる」。他動詞αποχαιρετώ(別れを告げる、さよならを言う)の現在三人称複数形。
『そうして 戦友たちは彼に別れを告げる』
・ένα(エナ)・・「ひとつの」。基数詞の1、または不定冠詞の中性(単数)主格か対格または男性(単数)対格。
・όνομα(オノマ)・・「名前が」。中性名詞単数主格または対格。ここでは主格。
・χαράσσεται(ハラセテ)・・「(それは)刻まれる」。他動詞χαράσσω(彫り込む、刻む)の受動態現在三人称単数形。
・στην(スティン)・・「~に、~で、~において、~の中で」。対格につく前置詞σε(幅広くat in onの意味を持つ)と定冠詞την(女性単数対格につく)の省略形。
・ιστορία(イストリア)・・「歴史、物語に」。女性名詞単数主格または対格。ここでは主格。
『一つの名が歴史に刻まれる』
・σαν(サン)・・「~のように、~みたいな」。ここでは比較・類似の接続詞。
・μετάλλιο(メタリオ)・・「メダル(に)」。中性名詞単数主格または対格。ここでは対格。
・που(プ)・・「~するところの、that」。関係代名詞。
・απονέμεται(アポネメテ)・・「(それは)授与される」。他動詞απονέμω{(功績に応じ)分け与える、(勲章を)授与する、(年金を)給付する}の受動態現在三人称単数形。
※カサレヴサの単語。
・σ'έναν(セナン)・・「ある~へ」。対格につく前置詞σε(幅広くat in onの意味を持つ)+έναν(基数詞の1、または不定冠詞の男性(単数)対格。
・ηρώα(イロア)・・「英雄(に)」。男性名詞ήρωας(英雄、ヒーロー)の単数属格または対格。ここでは対格。
『勇士に与えられるメダルのように』
・έλα(エーラ)・・「(君が)来い、さあ」。異態動詞έρχομαι(来る、やって来る、行く、~になる)の命令法アオリスト相(二人称)単数形。
・κοιμήσου(キミス)・・異体動詞κοιμάμαι(眠る、寝る)の命令法アオリスト相(二人称)単数形。
・ήσυχα(イースィハ)・・「静かに、穏やかに」。形容詞ήσυχος(静かな、静粛な、平穏な)を中性複数主格形にして、ここでは副詞化。
『さあ、静かにおやすみなさい』
・ένα(エナ)・・「ひとつの」。基数詞の1、または不定冠詞の中性(単数)主格か対格または男性(単数)対格。
・ένα(エナ)
・πεφταστέρι(ペフタステリ)・・「流れ星が」。中性名詞単数主格または対格。ここでは主格。
・που(プ)・・「~するところの、that」。関係代名詞。
・φαίνεται(フェネテ)・・「(それは)現れる」。異態動詞φαίνομαι(見える、見えてくる、現れる、出現する)の現在三人称単数形。
※サンスクリット語のbhā-(輝く)に由来する。
・για(ヤ)・・「~に、~のために」。対格につく前置詞。
・μια(ミア)・・基数詞の1、または不定冠詞の女性(単数)主格か対格。
・στιγμή(スティグミ)・・「瞬間、一瞬(に)」。女性名詞単数主格。
・με(メ)・・「私を」。一人称単数の人称代名詞。対格弱形。
・συγκινεί(スィンギニ)・・「(それは)感動させる」。他動詞συγκινώ(感動させる、心に訴える)の現在三人称単数形。
『瞬く間に現れ(消える)流れ星が 私の心を揺り動かす』
・πιο(ピオ)・・「より、もっと」。形容詞や副詞と共に優等比較級を作る副詞。
・πολύ(ポリ)・・「多く、たくさん」。副詞。
・από(アポ)・・対格につく前置詞。ここでは比較の対象について「~よりも」。
・τα(タ)・・中性名詞の複数主格か対格につく定冠詞。
・αστέρια(アステリア)・・「星々(に)」。中性名詞αστέρι(星)の複数主格または対格。ここでは対格。
※歌詞カードではαστερία。なんかアクセントの位置が違う。コイオスとポイベーの間に生まれた女神アステリアーの現代語綴りならΑστερία(アステリア)だけど。
・που(プ)・・「~するところの、that」。関係代名詞。
・λάμπουν(ランブン)・・「(それらは)輝く」。自動詞λάμπω(輝く、光る、照る)の現在三人称複数形。
・μόνιμα(モニマ)・・「永久的に」。形容詞μόνιμος(安定した、永久の、絶えず、ずっと)の中性複数主格形または対格形。
・στο[στον](スト)・・「~に、~で、~において、~の中で」。対格につく前置詞σε(幅広くat in onの意味を持つ)と定冠詞τον(男性単数対格につく)の省略形。
※νで終わる冠詞、人称代名詞、否定辞は、後ろにβ,γ,δ,φ,χ,θ,λ,μ,ν,ρ,σ,ζで始まる単語が続く時、よく語末が省略される。
・νυχτερινό(ニフテリノ)・・「夜の」。形容詞νυχτερινός(夜の、夜間の)の男性単数対格形。
・ουρανό(ウラノ)・・「天(に)」。男性名詞ουρανός(空、天空)の単数対格。
『永久に夜空に輝く星々よりもなお』
・τραγουδήστε(トラグズィステ)・・「(君たちが)歌え」。自動詞τραγουδώ(歌う)の命令法アオリスト相(二人称)複数形。
・δυνατά(ズィナタ)・・「力強く、激しく、大声で」。副詞。
・το(ト)・・中性名詞の単数主格または対格につく定冠詞。
・πάθος(パソス)・・「情熱を」。中性名詞単数主格または対格。ここでは対格。「病気、苦難、情熱、熱狂、パトス」などを意味する。
・του(トゥ)・・男性名詞の単数属格につく定冠詞。
・ηρώα(イロア)・・「英雄の」。男性名詞ήρωας(英雄、ヒーロー)の単数属格または対格。ここでは属格。
『謳え 英雄のパトスを』
・εκθειάστε(エクスィアステ)・・「(君たちが)褒め称えろ」。他動詞εκθειάζω(褒め称える、絶賛する)の命令法アオリスト相(二人称)複数形。
・πολλές(ポレス)・・「多くの」。形容詞πολύς(多くの、たくさんの)の女性複数主格形または対格形。
・τιμές(ティメス)・・「栄光を」。女性名詞τιμή(値段、価格、価値、尊敬)の複数主格または対格。ここでは対格。複数形になると「儀礼、叙勲、名誉、名声」のような意味になる。
・τις(ティス)・・女性名詞の複数対格につく定冠詞。
・οποίες(オピエス)・・代名詞οποίοςの女性複数主格形または対格形。ここでは冠詞と共に関係代名詞。"τις οποίες~"で「~する(人、もの)を」。
・θα (サ)・・小辞。ここでは継続相過去と共に話者の推量を表している。
・ζήλευαν(ズィレヴァン)・・自・他動詞ζηλεύω{(人のものを)欲しがる、羨望する、妬む、やきもち焼きである}の過去三人称複数形。"θα ζήλευαν"で「(それらは)羨んだであろう」。継続相なので「羨み続けた」ニュアンス。
・και(キェ)・・接続詞。ここでは副詞的に「~ですらも」。
・οι(イ)・・男性または女性名詞の複数主格につく定冠詞。
・Θεοί(セイ)・・「神々が」。男性名詞θεόςの複数主格。
『讃えよ 神々さえも羨んだ栄光の数々を』
・μια(ミア)・・基数詞の1、または不定冠詞の女性(単数)主格か対格。
・φλόγα(フローガ)・・「炎は」。女性名詞単数主格または対格。ここでは主格。
・ανεβαίνει(アネヴェニ)・・「(それは)上がる」。自・他動詞ανεβαίνω(上がる、上昇する、登る)の現在三人称単数形。
・με(メ)・・「~と共に、~をして」。対格につく前置詞。
・τον(トン)・・男性名詞の単数対格につく定冠詞。
・άνεμο(アネモ)・・「風(に)」。男性名詞άνεμος(風)の単数対格。
『炎は風に巻かれて立ち上る』
・σαν(サン)・・「~のように、~みたいな」。ここでは比較・類似の接続詞。
・να(ナ)・・動詞の接続法につく小辞。
・θλίβεται(スリヴェテ)・・「(それは)悲しむ」。他動詞θλίβω(押し潰す、握り締める、悲しませる)の中動態接続法三人称単数形。
※接続法継続相。「悲しみ続ける」ニュアンス。この場合の接続法は動詞の名詞化。昔は「~すること」を表すのは「定冠詞τό+不定法」だったけど、現代ギリシア語では不定法がなくなってしまったので、接続法がこの役割をするようになった。
・για(ヤ)・・「~に、~のために」。対格につく前置詞。
・το(ト)・・中性名詞の単数主格または対格につく定冠詞。
・κρύο(クリオ)・・「冷たい」。形容詞κρύος(冷たい、寒い、冷淡な)の中性単数主格形か対格形(または男性単数対格形)。
・πτώμα(プトーマ)・・「死体(を)」。中性名詞単数主格か対格。ここでは対格。
『冷たい亡骸をいつまでも悼むように』
・σύννεφα(スィネファ)・・「雲(複)が」。中性名詞σήννεφο(雲)の複数主格または対格。ここでは主格。
・εμφανίζονται(エムファニゾンデ)・・「(それらは)姿を見せる、現れる」。他動詞εμφανίζω{(隠れていたものを)現す、明らかにする、見せる}の中動態現在三人称複数形。
・στον(ストン)・・「~に、~で、~において、~の中で」。対格につく前置詞σε(幅広くat in onの意味を持つ)と定冠詞τον(男性単数対格につく)の省略形。
・ουρανό(ウラノ)・・「天(を)」。男性名詞ουρανός(空、天空)の単数対格。
『雲が空に現れる』
・σαν(サン)・・「~のように、~みたいな」。ここでは比較・類似の接続詞。
・να(ナ)・・動詞の接続法につく小辞。
・θλίβονται(スリヴォンデ)・・「(それらは)悲しむ」。他動詞θλίβω(押し潰す、握り締める、悲しませる)の中動態接続法三人称複数形。
・για(ヤ)・・「~に、~のために」。対格につく前置詞。
・την(ティン)・・女性名詞の単数対格につく定冠詞。
・ψύχη(プスィヒ)・・「魂(を)」。女性名詞単数主格または対格。ここでは対格。「精神、心、魂、活気、蝶々」などを意味する。
・που(プ)・・「~するところの、that」。関係代名詞。
・κατεβαίνει(カテヴェニ)・・「(それは)降りる」。自・他動詞κατεβαίνω(降りる、下がる、落ちる、下方へ向かう)の現在三人称単数形。
・στον(ストン)・・「~に、~で、~において、~の中で」。対格につく前置詞σε(幅広くat in onの意味を持つ)と定冠詞τον(男性単数対格につく)の省略形。
・Άδη(アズィ)・・「ハデス(冥府)に」。男性固有名詞Άδης(ハデス)の単数属格か対格。ここでは対格。神名「ハデス」の他、「冥府、地下」などを意味する。
『冥府へと降りていく魂を悼み続けるように』
・τραγουδήστε(トラグズィステ)・・「(君たちが)歌え」。自動詞τραγουδάω(歌う)の命令法アオリスト相(二人称)複数形。
・τραγουδήστε(トラグズィステ)
・για(ヤ)・・「~に対して」。対格につく前置詞。
・την(ティン)・・女性単数対格につく定冠詞。
・ομορφιά(オモルフィアー)・・「美しさを」。女性名詞ομορφιά(美しさ)の単数主格か対格。ここでは対格。
・ομορφιά(オモルフィアー)
・της(ティス)・・女性名詞単数属格につく定冠詞。
・θνητής(スニティス)・・「やがては死ぬべき運命の」。形容詞θνητόςの女性単数属格形。こういう形容詞があるところがギリシア語だなぁ。
・ζωής(ゾイース)・・「命の」。女性名詞ζωή(命、生命、寿命)の単数属格。
・ζωής(ゾイース)
『謳歌せよ 死すべき命の美しさを』
・εκθειάστε(エクスィアステ)・・「(君たちが)褒め称えろ」。他動詞εκθειάζω(褒め称える)の命令法アオリスト相(二人称)複数形。
・τον(トン)・・男性名詞単数対格につく定冠詞。
・άνθρωπο(アンスロポ)・・男性名詞άνθρωπος(人、人間)の単数対格。
・ο(オ)・・男性名詞単数主格につく定冠詞。
・οποίος(オピオス)・・「~する人(もの)は」。代名詞。男性単数主格形。ここでは冠詞とセットで関係代名詞。
・έχει(エヒ)・・英語のhave動詞に当たる助動詞έχωの現在三人称単数形。ここでは完了基と共に完了相現在三人称単数形を作っている。
・κρατήσει(クラティスィ)・・他動詞κρατώ(支配する、持つ、保持する)の完了基(不変化)。"έχει κρατήσει"で「(それは)保持した」。
※完了相現在。「今は失ったけど全うした」ニュアンス。
・την(ティン)・・女性単数対格につく定冠詞。
・αγάπη(アガピ)・・「愛を」。女性名詞単数主格か対格。ここでは対格。
・του(トゥ)・・「彼の」。人称代名詞。三人称単数男性(または中性)の所有代名詞。
・και(キェ)・・「そして」。"and"。
・κλαίει(クレイ)・・「(それが)嘆く」。自・他動詞κλαίω(泣く、~を嘆く、~の死を悼む)の現在三人称単数形。
『称えよ その愛を貫き その喪失を悼む者を』
・τραγουδήστε(トラグズィステ)・・「(君たちが)歌え」。自動詞
・δυνατά(ズィナタ)・・「力強く、激しく、大声で」。副詞。
・το(ト)・・中性名詞の単数主格または対格につく定冠詞。
・πάθος(パソス)・・「情熱を」。中性名詞単数主格または対格。ここでは対格。「病気、苦難、情熱、熱狂、パトス」などを意味する。
・του(トゥ)・・男性名詞の単数属格につく定冠詞。
・ηρώα(イロア)・・「英雄の」。男性名詞
『謳え 英雄のパトスを』
・εκθειάστε(エクスィアステ)・・「(君たちが)褒め称えろ」。他動詞εκθειάζω(褒め称える、絶賛する)の命令法アオリスト相(二人称)複数形。
・πολλές(ポレス)・・「多くの」。形容詞πολύς(多くの、たくさんの)の女性複数主格形または対格形。
・τιμές(ティメス)・・「栄光を」。女性名詞τιμή(値段、価格、価値、尊敬)の複数主格または対格。ここでは対格。複数形になると「儀礼、叙勲、名誉、名声」のような意味になる。
・τις(ティス)・・女性名詞の複数対格につく定冠詞。
・οποίες(オピエス)・・代名詞οποίοςの女性複数主格形または対格形。ここでは冠詞と共に関係代名詞。"τις οποίες~"で「~する(人、もの)を」。
・θα (サ)・・小辞。ここでは継続相過去と共に話者の推量を表している。
・ζήλευαν(ズィレヴァン)・・自・他動詞ζηλεύω{(人のものを)欲しがる、羨望する、妬む、やきもち焼きである}の過去三人称複数形。"θα ζήλευαν"で「(それらは)羨んだであろう」。継続相なので「羨み続けた」ニュアンス。
・και(キェ)・・接続詞。ここでは副詞的に「~ですらも」。
・οι(イ)・・男性または女性名詞の複数主格につく定冠詞。
・Θεοί(セイ)・・「神々が」。男性名詞θεόςの複数主格。
『讃えよ 神々さえも羨んだ栄光の数々を』
・μια(ミア)・・「ひとつの」。基数詞の1、または不定冠詞の女性(単数)主格か対格。
・ζωή(ゾイー)・・「命が」。女性名詞単数主格または対格。ここでは主格。
・γεννιέται(ゲニエテ)・・「(それは)生まれる」。他動詞γεννώ(生む)の中動態現在三人称単数形。
『ひとつの命が生まれる』
・δίπλα(ズィプラ)・・「隣に、側に」。副詞。"δίπλα σε~"で「~の隣に、~の側に」。
・στο(スト)・・「~に、~で、~において、~の中で」。対格につく前置詞σε(幅広くat in onの意味を持つ)と定冠詞το(中性単数主格か対格につく)の省略形。
・σκουριασμένο(スクリアズメノ)・・「錆びついた」。自・他動詞σκουριάζω(錆びつかせる、錆びる)の受動分詞σκουριασμένος(錆びている、古臭い)の中性単数主格形か対格形。
・σπαθί(スパスィ)・・「剣、刀(に)」。中性名詞単数主格または対格。ここでは対格。「(トランプの)クラブ」の意味もある。
『錆びついた剣の傍らで』
・με(メ)・・「~と共に」。対格につく前置詞。
・αγκαλιά(アンガリア)・・「抱きしめて」。副詞。女性名詞としては「腕の中、懐」などを意味する。
・την(ティン)・・女性名詞の単数対格につく定冠詞。
・λύπη(リピ)・・「哀悼を」。女性名詞単数主格または対格。ここでは対格。「悲しみ、悲痛、哀悼、服喪、遺憾、同情」などを意味する。
・και(キェ)・・「~と、そして」。接続詞。
・την(ティン)・・女性名詞の単数対格につく定冠詞。
・χαρά(ハラ)・・「喜びを」。女性名詞単数主格か対格。ここでは対格。
『哀悼と喜びを抱いて』
この文章書いてる人は素人です。結構適当書いてます。
このページはあくまで『Istoria~Kalliope~』買った人向け、参考にならない辞書もどきであって、
著作権侵害の意図はこれっぽっちもありません。が、もし怒られたら消えます。
主要引用・参考資料
1.『現代ギリシア語辞典』(リーベル出版 第3版増補版 2004)
2.『現代ギリシア語文法ハンドブック』(白水社 2009)
3."Pocket Oxford Greek Dictionary"(Oxford Univ Pr. 2000 2nd Edition)
現代ギリシア語⇔英語辞書
4.『神統記』(岩波文庫 1984)
紀元前8世紀の詩人ヘーシオドス(Ἡσίοδος)さんの著作テオゴニアー(Θεογονία)の邦訳版。ギリシア神話に登場する神々の系譜を壮大に物語る。コイネーよりもかなり古いギリシア語で書かれている。廣川洋一さんの訳。注釈が非常に充実してる。
5.『トロイア戦記』(講談社学術文庫 2000)
3世紀頃の詩人、スミュルナのクイントゥスまたはコイントスさん(Quintus Smyrnaeus/Κόϊντος Σμυρναῖος)によるギリシア語叙事詩の邦訳版。松田治さんによる訳。作者がタイトルをつけなかったので、ポストホメリカ(Posthomerica)とかタ・メタ・トン・ホメーロン(Τὰ
μετὰ τὸν Ὅμηρον )とか通称されている。要するに「ホメーロスの続き」。
紀元前8世紀頃に書かれたというホメーロスの『イーリアス(Ἰλιάς)』は、ペーレウスの子アキレウスがトロイアの王子ヘクトールを討ち、親友を殺された怒りのままに遺体を辱めるも、自ら嘆願に訪れた老王プリアモスに心動かされて遺体を返還、手厚い葬儀を許した後、トロイアの女たちが号泣するところで終わる。そして『オデュッセイア(Ὀδύσσεια)』は、トロイア戦争終結後、智将オデュッセウスが故郷のイタケーに帰ろうと苦心する物語。話の中でちょくちょく「あの時のあれが~」は言及されるものの、戦争の結末、武将たちや女たちのその後については、ばっさりと省かれている。アキレウスとかいつの間にか死んでるし、例の木馬も出て来ない。
二つの叙事詩に謳われるのは、更に遡って紀元前12世紀頃の出来事らしい。ホメーロス当時に詩人たちの謳い語りを聴いていた人々は、この間を埋めるエピソードも当然聴き知っていたのだろう。実際、現在では断片的にしか残っていないものがほとんどだけど、多くの詩人、作家たちが補い合うようにトロイア戦争の物語を書き残している。紀元後3世紀当時によく知られていたこれらのエピソードを一つに纏め、クイントゥスさんなりのアレンジも加えて編集した作品がこの叙事詩。ホメーロスさんから約千年を経てこの時点で何次創作?とか考え始めたら色々と胸熱。
6."An intermediate LIDELL AND SCOTT'S Greek-English Lexicon"(Oxford
Univ Pr. 1945 7th Edition)
古典ギリシア語→英語辞書。