Istoria~Kalliope~ ギリシア語(ギリシャ語)メモ5.セイレーン‐Ήρωες Αργοναύτες‐
Σειρήνα Ήρωες Αργοναύτες |
※志方さんのδはやっぱり「ザ、ズィ、ズ、ゼ、ゾ」より「ダ、ディ、デュ、デ、ド」の方が近いよなぁ。公式でδのルビはダ行になってるもんなぁ・・と思いつつ、相変わらずザ行で読み仮名振ってます。気になる方は適当に置き換えてお読み下さい。
※動詞の相(アスペクト)は、「アオリスト相」とか「完了相」とか書いてない限り継続相、態(ヴォイス)は特に断りがない限り能動態です。
※ここでは、「古典語」=「だいたいコイネー、そのちょっと前後も含む」、「現代語」=「基本的にディモティキ」です。授業科目の「古文」と「現代文」ぐらいざっくり。
・Σειρήν(セィレーン)・・古典ギリシア語の女性固有名詞。複数主格はΣειρῆνες(セィレーネス)。
ギリシア・ローマ神話に登場する半人半鳥の姉妹。何人いるかは作家によってまちまち。
ラテン語では単数主格Sīrēn(スィーレーン)/複数主格Sīrēnes(スィーレーネス)。現代ギリシア語では単数主格Σειρήνα(スィリナ)/複数主格Σειρήνες(スィリネス)。
イタリアの南海岸にいて、美しい声で船乗りたちを惑わし、そこを通る船を遭難させた。彼女らの座っている浜には、人間の骨がうず高く積もっている。セイレーンたちの歌声を聞いて逃げ切ったのは、ブーテースを除くアルゴー丸の船員たちとイタケーの王オデュッセウス。
紀元後1~2世紀ごろに書かれたらしいアポロドーロスさんの『ギリシア神話』第1巻の3章と摘要の7章において、セイレーンたちは河の神アケローオスとメルポメネーの間に生まれた娘たちだとある。ところが、第1巻の7章にはアケローオスとステロペーの間に生まれたとの記述も。複数の伝承を書き残してるせいか、ところどころ矛盾があるのは仕様。
紀元前後1世紀のローマの作家オウィディウスさんは、『変身物語』第5巻で、セイレーンたちはアケオーロスの娘たちだとしながら、彼女らが乙女の顔を持つ鳥のような姿になった経緯を書いている。それによると、プロセルピーナ(ペルセポネー)が冥王ハーデスに誘拐された時、セイレーンたちは彼女と一緒に花を摘んでいた。いなくなった少女をどれだけ探し歩いても見つからず、かくなる上は海を飛んで捜索の手を広げられたら、と願ったところ、神々がそれを聞き届け、乙女たちの体は金色の翼に包まれた、とのこと。他にもそれはそれは違う話が多い。
半人半鳥だったハズなんだけど、時代が経つと何故かおっかない人魚のような姿で描写されることが多くなった。メルポメネーの娘たちなら、オルフェウスとは従姉弟ってことになるのか・・
『セイレーンはアケローオスとムーサの一人なるメルポメネーの娘で、ペイシノエー、アグラオペー、テルクシエペイアであった。この中の一人は竪琴を弾じ、一人は唱い、一人は笛を吹き、これによってそこを航し過ぎる船人を留まるように説かんとしたのである。太腿から下は彼女らは鳥の姿をしていた。』
(『ギリシア神話 高津春繁訳』 岩波文庫 1953 P205‐206より引用)。
・ήρωες(イロエス)・・「英雄たち」。男性名詞ήρωας(英雄、ヒーロー)の複数主格または対格。
・Αργοναύτες(アルゴナフテス)・・「アルゴナウタイ」。男性固有名詞Αργοναύτηςの複数主格または対格。古典語では単数主格がἈργοναύτης(アルゴナゥテース)、複数主格がἈργοναύται(アルゴナゥタィ)。現代語でも、古形に合わせて複数主格をΑργοναύται(アルゴナフテ)とすることもあるみたい。
英雄イアーソーンは、コルキスにあるという金羊毛皮を求めて冒険に出ることになった。船大工アルゴスが彼のために50の櫂を持つ巨大な快速船アルゴーを作り、イアーソーンの呼びかけに応じ、錚々たる顔ぶれの英雄たちがこの旅に同道した。彼らを指して、「アルゴーの船員たち(アルゴナウタイ)」と呼ぶ。
紀元前8世紀ごろ書かれたホメーロスさんの『オデュッセイア』第12書で既に「そうそう、みんな知ってるあのアルゴー」って感じで言及されてるから、すんごく起源の古い話だと思われる。アルゴナウタイの冒険に関しては、ロードスのアポローニオスさんが紀元前3世紀ごろに書いた『アルゴナウティカ』が詳しいみたい・・読めてないけど(昔講談社さんから出た日本語訳は2012年1月現在絶版なり。再版してくれんかな。Perseus
Digital Libraryさんで原文は見れるけど・・読めてたまるか)。
『セイレーンのそばを通った時にはオルペウスが対抗して歌を歌ってアルゴナウタイを船に引き留めた。しかしただ一人ブーテースのみは彼女らの方に泳ぎ去った』
(『ギリシア神話 高津春繁訳』 岩波文庫 1953 P63より引用)。
・γκρίζα(グリーザ)・・「灰色の」。形容詞 ※外来語。元はイタリア語の形容詞grigio(グリージョ:灰色の)。 ・σύννεφα(スィネファ)・・「雲(複)が」。中性名詞 ・στον(ストン)・・「~に、~で、~において、~の中で」。対格につく前置詞 ・ουρανό(ウラノ)・・「空を」。男性名詞 『空には灰色の雲』 ・κύματα(キマタ)・・「波(複)が」。中性名詞κύμα(波)の複数主格または対格。ここでは主格。 『獰猛な獣のように荒れ狂う波』 |
・το(ト)・・中性名詞の単数主格か対格につく定冠詞。
・τιμόνι(ティモーニ)・・「(船の)舵が」。中性名詞単数主格か対格。ここでは主格。
・του(トゥ)・・男性または中性名詞の単数属格につく定冠詞。
・σκάφους(スカーフス)・・中性名詞σκάφος(船、舟、船体)の単数属格。
・χάνει(ハーニ)・・「(それは)なくす」。自・他動詞χάνω(失くす、見失う、迷う、失敗する)の現在三人称単数形。
・τον(トン)・・男性名詞の単数対格につく定冠詞。
・έλεγχο(エレンホ)・・「コントロールを」。男性名詞έλεγχος(検査、点検、コントロール、制御、成績表、非難)の単数対格。
・και(キェ)・・「~と、そして」。接続詞。
・γλιστράει(グリストライ)・・「(それは)滑るように進む」。自・他動詞γλιστράω(滑る、滑走する、滑り込ませる)の現在三人称単数形。
『舵は制御を失い、船は滑るように進む』
・τα(タ)・・中性名詞の複数主格か対格につく定冠詞。
・πανιά(パニア)・・「帆(複)は」。中性名詞πανί(布きれ、おしめ、雑巾、帆)の複数主格または対格。ここでは主格。
・τρίζουν(トリーズン)・・「(それらが)軋む」。自動詞τρίζω(軋む、歯軋りをする)の現在三人称複数形。
・με(メ)・・「~と共に」。対格につく前置詞。
・δυνατό(ズィナト)・・「激しい」。形容詞δυνατός{強い、頑丈な、(風雨が)激しい、(音が)大きい}の男性単数対格形(または中性単数主格形か対格形)。
・ήχο(イホ)・・「音(を)」。男性名詞ήχος(音、音声)の単数対格。
『帆は大きな音を立てて軋む』
・το(ト)・・中性名詞の単数主格か対格につく定冠詞。
・σκάφος(スカーフォス)・・「船は」。中性名詞単数主格または対格。ここでは主格。
・σύρεται(スィレテ)・・「(それは)引き寄せられる」。他動詞σύνω(引く、引っ張る、引き寄せる、牽引する)の受動態現在三人称単数形。
※カサレヴサ(純正語)の単語。ディモティキならσέρνω(三単現受σέρνεται)の方が一般的。
・από(アポ)・・「~から」。対格(たまに主格)につく前置詞。
・μια(ミア)・・基数詞の1、または不定冠詞の女性(単数)主格または対格。
・αόρατη(アオーラティ)・・「目に見えない」。形容詞αόρατος(目に見えない、予想できない)の女性単数主格形または対格形。
・δύναμη(ズィナミ)・・「力に」。女性名詞単数主格か対格。ここでは対格。
『船は見えない力によって引き寄せられる』
・προς(プロス)・・「~の方へ、~に向かって」。対格につく前置詞。
・το(ト)・・中性名詞の単数主格か対格につく定冠詞。
・νησί(ニスィ)・・「島(に)」。中性名詞単数主格または対格。ここでは対格。
・των(トン)・・三性の複数属格につく定冠詞。
・Σειρήνων(スィレーノン)・・「セイレーンたちの」。女性固有名詞Σειρήνα(セイレーン)の複数属格。
『セイレーンたちの島へと』
・βγάλε(ヴガレ)・・「(君が)脱げ、外せ」。他動詞βγάζω(出す、連れ出す、脱ぐ、外す、取る)の命令法アオリスト相(二人称)単数形。
・τον(トン)・・男性名詞の単数対格につく定冠詞。
・βαρύ(ヴァリ)・・「重い」。形容詞βαρύς(重い、重量のある、辛い、重苦しい)の男性単数対格形(または中性単数主格形か対格形)。
・οπλισμό(オプリズモ)・・「武装を」。男性名詞οπλισμός(武装、装備)の単数対格。
『重い武装は外して』
・και(キェ)・・「~と、そして」。接続詞。
・έλα(エーラ)・・「(君が)来い」。異態動詞έρχομαι(来る、やって来る、行く、~になる)の命令法アオリスト相(二人称)単数形。
・στον(ストン)・・「~に、~で、~において、~の中で」。対格につく前置詞σε(幅広くat in onの意味を持つ)と定冠詞τον(男性単数対格につく)の省略形。
・κολπίσκο(コルピスコ)・・「入江(に)」。男性名詞κολπίσκος(入江、小さな湾)の単数対格。
『そうして入江においでなさい』
・θα (サ)・・動詞の未来形につく小辞。
・σού(ス)・・「君に」。二人称単数の人称代名詞。属格弱形。
※小辞を伴う動詞の直接または間接目的語の場合、小辞と動詞の間に挟むのが一般的。こういう時はなんかアクセントがつくことが多い。
・δώσω(ゾソ)・・「(私が)与えるだろう」。他動詞δίνω(与える、ただであげる、もらう、渡す)のアオリスト相未来一人称単数形。
・κόκκινα(コキナ)・・「赤い」。形容詞κόκκινος(赤い、赤色の)の中性複数主格形か対格形。
・ώριμα(オリマ)・・「熟れた」。形容詞ώριμος(熟れた、成熟した、円熟した)の中性複数主格形か対格形。
・φρούτα(フルッタ)・・「果物(複)を」。中性名詞φρούτο(果物、フルーツ)の複数主格または対格。ここでは対格。
※外来語。元はイタリア語の男性名詞frutto(フルット)。
『あなたに赤く熟れた果実をあげましょう』
・και(キェ)・・「~と、そして」。接続詞。
・γλυκιά(グリキア)・・「甘い」。形容詞γλυκός(甘い、おいしい、甘美な)の女性単数主格形か対格形。
・αγκαλιά(アンガリア)・・「抱擁を」。女性名詞単数主格か対格。「腕の中、懐、胸元」などの意味もある。
『それから甘い抱擁も』
・ακόμα(アコーマ)・・「まだ、なお、やはり、未だに」。副詞。
・κι(キ)・・等位接続詞και(~と、そして)が母音の前についた時の形。
・εάν(エアン)・・条件法(もし~ならば)を作ったり、間接疑問文(~かどうか)で使われたりする接続詞。"ακόμα κι εάν~"で、「たとえ~であろうとも」。
※やや文語的。
・κλείσω(クリーソ)・・自・他動詞κλείνω(閉める、閉じる、遮る、閉まる)のアオリスト相未来一人称単数形。ここではεάνを伴って条件法。"ακόμα κι εάν κλείσω
τ' αυτιά"で「(私が)耳を塞いだとしても」。
・τ' αυτιά(タフティア)・・「耳を」。定冠詞τα(中性名詞の複数主格か対格につく)+中性名詞αυτί(耳)の複数主格または対格。ここでは対格。
・ακούω(アクオ)・・「(私は)聞こえる」。自・他動詞ακούω(聞く、聞こえる、耳が聞こえる)の現在一人称単数形。ここでは条件節"ακόμα κι εάν κλείσω τ' αυτιά"に対する帰結節。
※条件文の帰結節が(直説法継続相)現在の場合、現実的な仮定に対する結果を表す。
・ένα(エナ)・・基数詞の1または中性名詞の(単数)主格または対格につく不定冠詞。
・τραγούδι(トラグディ)・・「歌を」。中性名詞単数主格または対格。ここでは対格。
・που(プ)・・「~するところの、that」。関係代名詞。
・αποδυναμώνει(アポズィナモーニ)・・「(それは)無力にする」。他動詞αποδυναμώνω(弱める、無力にする)の現在三人称単数形。
・την(ティン)・・女性名詞の単数対格につく定冠詞。
・καρδιά(カルズィア)・・「心を」。女性名詞単数主格か対格。ここでは対格。「心臓、気力、やる気、元気、勇気」などを意味する。
・σαν(サン)・・「~のように、~みたいな」。ここでは比較・類似の接続詞。
・δηλητήριο(ズィリティーリオ)・・「毒薬(に)」。中性名詞単数主格か対格。ここでは対格。
『耳を塞いでも 毒のように心を萎えさせる歌が聞こえてくる』
・έλα(エーラ)・・「(君が)来い、さあ」。異態動詞έρχομαι(来る、やって来る、行く、~になる)の命令法アオリスト相(二人称)単数形。
・αγάπη(アガピ)・・「愛しい人よ」。女性名詞単数呼格。主格と対格も同形。
・μου(ム)・・「私の」。一人称単数の所有代名詞。属格弱形。
『おいでなさい、愛しい人』
・βιάσου(ヴィアス)・・「(君が)急げ」。他動詞βιάζω(強いる、強要する、押し入る、強姦する、急き立てる)の中動態命令法アオリスト相(二人称)単数形。
・έλα(エーラ)・・「(君が)来い、さあ」。異態動詞έρχομαι(来る、やって来る、行く、~になる)の命令法アオリスト相(二人称)単数形。
・να(ナ)・・動詞の接続法につく接続詞。
・μ´ αγγίξεις(マンギクスィス)・・「(君が)私に触れに」。一人称単数の人称代名詞対格弱形με(私に)+自・他動詞αγγίζω(触る、触れる、口をつける、近づく)の接続法アオリスト相二人称単数形。
『急いで 私に触れにいらして』
・το(ト)・・中性名詞の単数主格か対格につく定冠詞。
・κρεβάτι(クレヴァティ)・・「ベッド、寝台が」。中性名詞単数主格または対格。ここでは主格。
・για(ヤ)・・「~のための」。対格につく前置詞。だいたい英語のforっぽい。
・σένα(セナ)・・「君(に)」。εσέναの語頭母音が消えた形。二人称単数の人称代名詞。属格または対格強勢形。ここでは対格。
『あなたのための寝台が』
・οι(イ)・・男性または女性名詞の複数主格につく定冠詞。 ・υπέροχες(イペロヒィェス)・・「この上なく素晴らしい」。形容詞 ・φωνές(フォネス)・・「声(複)が」。女性名詞 ・τους(トゥス)・・「彼らの、彼女らの、それらの」。三人称複数の所有代名詞。 ・μαγεύουν(マゲヴン)・・「(それらが)魅了する」。他動詞 『絶美なる声が魅了する』 |
※枠内"για σένα"と重なった別パート。
・είναι(イーネ)・・「(それは)ある」。連辞動詞είμαι(存在する、~だ:be動詞的なもの)の現在三人称単数もしくは複数形。ここでは単数現在形。
・η(イ)・・女性名詞の単数主格につく定冠詞。 ・σταθερή(スタセリ)・・「堅固な」。形容詞 ・απόφαση(アポファスィ)・・「決意が」。女性名詞単数主格または対格。「決めること、決定、決心、判決」などを意味する。 ・λυγίζει(リギズィ)・・「(それは)曲がる、屈服する」。自・他動詞 『固い決意が折れ曲がる』 |
※枠内"είναι"と重なった別パート。
・στο[στον](スト)・・「~に、~で、~において、~の中で」。対格につく前置詞
※νで終わる冠詞、人称代名詞、否定辞は、後ろにβ,γ,δ,φ,χ,θ,λ,μ,ν,ρ,σ,ζで始まる単語が続く時、よく語末が省略される。
・βυθό(ヴィソ)・・「底に」。男性名詞
・το(ト)・・中性名詞の単数主格か対格につく定冠詞。 ・εκπαιδευμένο(エクペゼヴメノ)・・「訓練された」。他動詞 ・σώμα(ソーマ)・・「体(が)」。中性名詞単数主格または対格。ここでは主格。「物体、~体」など、日本語の「体」に近い範囲の意味をカバーする。 ・το(ト)・・中性名詞の単数主格か対格につく定冠詞。 ・ακονισμένο(アコニズメノ)・・「砥がれた」。他動詞 ・ξίφος(クスィーフォス)・・「剣、刀(が)」。中性名詞単数主格または対格。ここでは主格。 ※カサレヴサ(純正語)の単語。 『鍛え上げられた肉体 砥ぎ上げられた剣・・』 |
※枠内"στο βυθό"と重なった別パート。
・της(ティス)・・女性名詞の単数属格につく定冠詞。
・θάλασσας(サラサス)・・「海の」。女性名詞
『海の底にあるの』
・κανένα(カネーナ)・・不定代名詞 ・όπλο(オプロ)・・「武器は」。中性名詞単数主格か対格。ここでは主格。 ・δεν(ゼン)・・「~ない」。否定の小辞。動詞の前について否定文を作る。 ・μπορεί(ボリ)・・英語のcanっぽい自動詞 ・να(ナ)・・動詞の接続法につく接続詞。 ・νικήσει(ニキースィ)・・自・他動詞 『どんな武器でも敵いはしない』 |
※枠内"της θάλασσας"と重なった別パート。
・σαν(サン)・・「~のように、~みたいな」。接続詞。
・αρχή(アルヒィ)・・「始まり(に)」。女性名詞単数主格か対格。ここでは対格。「始め、最初、起源、きっかけ」などの意味がある。
・μιας(ミアス)・・基数詞の1、または不定冠詞の女性(単数)属格。
・μιας(ミアス)
・τραγωδίας(トラゴズィアス)・・「悲劇の」。女性名詞τραγωδία(悲劇、悲劇的な出来事)の単数属格。
・τραγωδίας(トラゴズィアス)
『悲劇の始まりのように』
・μια(ミア)・・「ひとつの」。基数詞の1、または不定冠詞の女性(単数)主格または対格。
・σκιά(スキア)・・「影が」。女性名詞単数主格または対格。ここでは主格。
・έπεσε(エペセ)・・「(それは)落ちた」。自動詞πέφτω(落ちる、倒れる、陥落する)のアオリスト相過去三人称単数形。
・μια(ミア)
・σκιά(スキア)
・στη(スティ)・・「~に、~で、~において、~の中で」。対格につく前置詞σε(幅広くat in onの意味を持つ)と定冠詞τη(女性単数対格につく)の省略形。
・θάλασσα(サラサ)・・「海に」。女性名詞単数主格または対格。ここでは対格。
『ひとつの影が海に落ちた』
・ο(オ)・・男性名詞単数主格につく定冠詞。
・ήχος(イホス)・・「音が」。男性名詞単数主格。
・της(ティス)・・女性名詞の単数属格につく定冠詞。
・λύρας(リラス)・・「リュラー(リラ)の」。女性名詞λύρα(古代のリュラー型、現代のライアー型の竪琴)の単数属格。
・αντηχεί(アンディヒィ)・・「(それは)鳴り響く」。自動詞αντηχώ(反響する、鳴り響く)の現在三人称単数形。
・στη(スティ)・・「~に、~で、~において、~の中で」。対格につく前置詞σε(幅広くat in onの意味を持つ)と定冠詞τη(女性単数対格につく)の省略形。
・θάλασσα(サラサ)・・「海に」。女性名詞単数主格または対格。ここでは対格。
『竪琴の音が海に響き渡る』
・σαν(サン)・・「~のように、~みたいな」。接続詞。
・ένα(エナ)・・「ひとつの」。基数詞の1、または不定冠詞の中性(単数)主格または対格。
・βέλος(ヴェロス)・・「矢(に)」。中性名詞単数主格または対格。ここでは対格。
・που(プ)・・「~するところの、that」。関係代名詞。
・σκίζει(スキーズィ)・・「(それは)切り裂く」。他動詞σκίζω(二つに割る、切り裂く、引き裂く)の現在三人称単数形。
・τον(トン)・・男性名詞の単数対格につく定冠詞。
・αέρα(アエラ)・・「空気を」。男性名詞αέρας(空気、大気、風)の単数属格または対格。ここでは対格。
・τον(トン)
・αέρα(アエラ)
『空気を切り裂く矢のように』
・ισχυρός(イスヒィロス)・・「強い、強力な、強烈な、激しい」。形容詞男性単数主格形。
※ο ήχοςにかかる。
・σαν(サン)・・「~のように、~みたいな」。接続詞。
・τον(トン)・・男性名詞の単数対格につく定冠詞。
・πρωινό(プロイノ)・・「朝の」。形容詞πρωινός(朝の、朝の早い、早起きの)の男性単数対格形(または中性単数主格形か対格形)。
・ήλιο(イリオ)・・「太陽(に)」。男性名詞ήλιος(太陽)の単数対格。
『朝日のように鮮烈で』
・και(キェ)・・「~と、そして」。接続詞。
・όμορφος(オモルフォス)・・「美しい」。形容詞男性単数主格形。
※ここもο ήχοςにかかる。
・σαν(サン)・・「~のように、~みたいな」。接続詞。
・τη(ティ)・・女性名詞の単数対格につく定冠詞。
・βραδινή(ヴラズィニ)・・「宵の」。形容詞βραδινός(夕方の、晩の、宵の)の女性単数主格形か対格形。
・δροσιά(ズロスィア)・・「露(に)」。女性名詞単数主格または対格。ここでは対格。「爽やかさ、瑞々しさ」の意味もある。
・δροσιά(ズロスィア)
※「ドロスィア」に聞こえるけど、頭のδに母音ついてないから注意。
『夜露のように清冽な』
・ποιός(ピオス)・・「誰?」。疑問代名詞ποιος(誰が、何が、どれが)の男性単数主格形。
※よく分からんけど、アクセント記号はついたりつかなかったりするみたい。
・παίζει(ペズィ)・・「(それは)演奏する」。自動詞παίζω(遊ぶ、戯れる、演奏する)の現在三人称単数形。
・αυτήν(アフティン)・・「この」。三人称単数女性の指示代名詞。主格もしくは対格形。
・την(ティン)・・女性名詞の単数対格につく定冠詞。
・μουσική(ムスィキ)・・「音楽を」。女性名詞単数主格または対格。ここでは対格。
『この音楽を奏でるのは誰?』
・είναι(イーネ)・・「(それは)~である」。連辞動詞είμαι(存在する、~だ:be動詞的なもの)の現在三人称単数もしくは複数形。ここでは単数現在形。
・τόσο(トソ)・・「とても」。比較や程度(それほど、このくらい)を表す副詞。ここでは強調。
・όμορφη(オモルフィ)・・「美しい」。形容詞όμορφος(美しい、きれいな)の女性単数主格形または対格形。
※την μουσικήにかかる。
・και(キェ)・・「~と、そして」。接続詞。
・μισητή(ミスィティ)・・「憎たらしい」。形容詞μισητός(憎むべき、大嫌いな、嫌でたまらない)の女性単数主格形または対格形。
※ここもτην μουσικήにかかる。
『なんて美しく 憎らしい』
・οι(イ)・・男性または女性名詞の複数主格につく定冠詞。
・φωνές(フォネス)・・「声(複)が」。女性名詞φωνή(声)の複数主格または対格。ここでは主格。
・μας(マス)・・「私たちの」。一人称複数の所有代名詞。
・που(プ)・・「~するところの、that」。関係代名詞。
・τραγουδάμε(トラグザメ)・・「(私たちが)歌う」。自動詞τραγουδάω(歌う)の現在一人称複数形。
『私たちの歌声が』
・θα (サ)・・動詞の未来形につく小辞。
・σβήσουν(ズヴィスン)・・「(それらが)消えるだろう」。自・他動詞σβήνω{(火、明かりを)消す、(渇きを)癒す、(火、明かりが)消える、消滅する、絶える}のアオリスト相未来三人称複数形。
※将来のある時点で完了する動作。
・σαν(サン)・・「~のように、~みたいな」。接続詞。
・νεκρά(ネクラ)・・「死んだ」。形容詞νεκρός(死の、死んだ、生命のない、活気のない)の中性複数主格形または対格形。
・φύλλα(フィーラ)・・「葉(複)」。中性名詞φύλλο(葉、花びら、シート、ひらひらしたもの)の複数主格または対格。
『枯葉のように朽ちてしまう』
・δάκρυα(ザクリア)・・「涙(複)が」。中性名詞δάκρυ(涙、雫)の複数主格または対格。冠詞ないけどここでは主格。
・χαράς(ハラス)・・「歓喜の」。女性名詞χαρά(喜び、うれしさ、歓喜)の単数属格。
・γεμίζουν(ゲミズン)・・「(それらが)満ちる」。自・他動詞γεμίζω(満たす、いっぱいにする、満ちる、いっぱいになる)の現在三人称複数形。
『歓喜の涙が満ち満ちる』
・τα(タ)・・中性名詞の複数主格か対格につく定冠詞。
・βλέφαρα(ヴレファラ)・・「瞼(複)に」。中性名詞βλέφαρο(まぶた)の複数主格または対格。ここでは対格。
・που(プ)・・「~するところの、that」。関係代名詞。
・έχουν(エフン)・・haveっぽい助動詞έχωの現在三人称複数形。ここでは動詞の完了基と共に完了相現在を作っている。
・ξεχάσει(クセハスィ)・・自・他動詞ξεχνώ(忘れる、覚えていない、置き忘れる、忘れっぽい)の完了基。"έχουν ξεχάσει"で「(それらは)忘れてしまった」。
・να(ナ)・・動詞の接続法につく小辞。
・ανοιγοκλείνουν(アニゴクリノン)・・「(それらが)瞬きし続けることを」。他動詞ανοιγοκλείνω(開閉する、瞬きをする)の接続法(継続相)三人称複数形。
『瞬きを忘れたこの瞼に』
・ποιός(ピオス)・・「誰?」。疑問代名詞 ・παίζει(ペズィ)・・「(それは)演奏する」。自動詞 ・την(ティン)・・女性名詞の単数対格につく定冠詞。 ・μουσική(ムスィキ)・・「音楽を」。女性名詞単数主格または対格。ここでは対格。 『音楽を奏でるのは誰?』 ・έξαψη(エクサプスィ)・・「興奮、感激を」。女性名詞単数主格または対格。ここでは対格。 『魂に感動を』 |
※枠内、低い声で歌っている"Δάκρυα χαράς~να ανοιγοκλείνουν."までと重ねて歌っているようです。
・ποιός(ピオス)・・「誰?」。疑問代名詞
・παίζει(ペズィ)・・「(それは)演奏する」。自動詞
・αυτήν(アフティン)・・「この」。三人称単数女性の指示代名詞。主格もしくは対格形。
・την(ティン)・・女性名詞の単数対格につく定冠詞。
・μουσική(ムスィキ)・・「音楽を」。女性名詞単数主格または対格。ここでは対格。
『この音楽を奏でるのは誰?』
・προκαλεί(プロカリ)・・「(それは)引き起こす」。他動詞προκαλώ(挑む、引き起こす)の現在三人称単数形。
※主語はτην μουσική。
・έξαψη(エクサプスィ)・・「興奮、感激を」。女性名詞単数主格または対格。ここでは対格。
・στις(スティス)・・「~に、~で、~において、~の中で」。対格につく前置詞σε(幅広くat in onの意味を持つ)と定冠詞τις(女性複数対格につく)の省略形。
・ψυχές(プスィヒィェス)・・「魂(に)」。女性名詞ψυχή(精神、心、魂、活気、蝶々)の複数主格または対格。ここでは対格。
『魂に感動を呼び起こす』
・δάκρυα(ザクリア)・・「涙(複)が」。中性名詞
・χαράς(ハラス)・・「歓喜の」。女性名詞
・γεμίζουν(ゲミズン)・・「(それらが)満ちる」。自・他動詞
『歓喜の涙が満ち満ちる』
・τα(タ)・・中性名詞の複数主格か対格につく定冠詞。
・βλέφαρα(ヴレファラ)・・「瞼(複)に」。中性名詞βλέφαρο(まぶた)の複数主格または対格。ここでは対格。
・που(プ)・・「~するところの、that」。関係代名詞。
・έχουν(エフン)・・haveっぽい助動詞έχωの現在三人称複数形。ここでは動詞の完了基と共に完了相現在を作っている。
・ξεχάσει(クセハスィ)・・自・他動詞ξεχνώ(忘れる、覚えていない、置き忘れる、忘れっぽい)の完了基。"έχουν ξεχάσει"で「(それらは)忘れてしまった」。
・να(ナ)・・動詞の接続法につく小辞。
・ανοιγοκλείνουν(アニゴクリノン)・・「(それらが)瞬きし続けることを」。他動詞ανοιγοκλείνω(開閉する、瞬きをする)の接続法(継続相)三人称複数形。
『瞬きを忘れたこの瞼に』
・η(イ)・・女性名詞の単数主格につく定冠詞。 ・καταχνιά(カタフニア)・・「霧、霞、靄は」。女性名詞単数主格または対格。 ・της(ティス)・・女性名詞の単数属格につく定冠詞。 ・κατάρας(カタラス)・・「呪いの」。女性名詞 ・που(プ)・・「~するところの、that」。関係代名詞。 ・κάλυψε(カリプセ)・・「(それは)覆った」。他動詞 ・το(ト)・・中性名詞の単数主格か対格につく定冠詞。 ・σκάφος(スカーフォス)・・「船を」。中性名詞単数主格または対格。ここでは対格。 『船を覆っていた呪いの靄は』 ・διαλύθηκε(ズィアリスィケ)・・「(それは)崩壊した、散り散りになった」。自・他動詞διαλύω(分解する、解体する、解散する、溶かす、溶ける)の中動態アオリスト相過去三人称単数形。 『風と共に散っていった』 ・οι(イ)・・男性または女性名詞の複数主格につく定冠詞。 『夢から覚めた船員たちは』 ・οδηγούν(オズィグン)・・「(それらは)操舵する」。自・他動詞οδηγώ{導く、案内する、運転する、(道が)~に通じている}の現在三人称複数形。 『大慌てで船を動かす』 |
※3:55~4:07のところ。↑こんな感じでパート分けてるの・・かな?
低い声のパートはまだ最後の方聴き取れるけど、高い声のパートが絶望的に何言ってんだか分かりません。
・η(イ)・・女性名詞の単数主格につく定冠詞。
・Άργο(アルゴ)・・「?アルゴー船?」。女性固有名詞。単数主格か対格。こういう綴りもあるんかな?一般的な綴りなら現代語でΑργώ(アルゴ)。古典語で Ἀργώ(アルゴー)。建造者アルゴスの現代語綴りΆργοςを属格にするとΆργοだから「アルゴスの(船)」なの?
※アルゴーは、プリクソスの息子アルゴスが建造したのでこの名がついた。
・απομακρύνεται(アポマクリネテ)・・「(それは)遠ざかる、離れる」。他動詞απομακρύνω(遠ざける、取り除く、追い出す)の中動態現在三人称単数形。
『アルゴーは遠ざかる』
・οι(イ)・・男性または女性名詞の複数主格につく定冠詞。 ・ναυτικοί(ナフティキ)・・「船員たちは」。男性名詞ναυτικός(船員、船乗り)の複数主格。 ・που(プ)・・「~するところの、that」。関係代名詞。 ・ξύπνησαν(クスィプニサン)・・「(それらは)目覚めた」。自・他動詞ξυπνώ(目覚めさせる、起こす、目が覚める、起きる)のアオリスト相過去三人称複数形。 『目覚めた船員たちは』 |
※枠内、"Ή Άργο απομακρύνεται"のバックで歌ってます。
・με(メ)・・「~と共に」。対格につく前置詞。
・τον(トン)・・男性名詞の単数対格につく定冠詞。
・υπέροχο(イペロホ)・・「この上なく素晴らしい」。形容詞υπέροχος(他の何よりも優れた、素晴らしい、豪華な)の男性単数対格形。
・ήχο(イホ)・・「音(を)」。男性名詞ήχος(音、音声)の単数対格。
『至上の音色と共に』
・από(アポ)・・「~から」。対格(たまに主格)につく前置詞。英語のfromっぽい。 ・το(ト)・・中性名詞の単数主格か対格につく定冠詞。 ・όνειρο(オニロ)・・「夢(を)」。中性名詞単数主格または対格。ここでは対格。 ・από(アポ) ・το(ト) ・όνειρο(オニロ) 『夢から』 |
※枠内、"με τον υπέροχο ήχο"のバックで歌ってます。
・φεύγει(フェヴギ)・・「(それは)去る」。自・他動詞φεύγω(去る、出かける、逃げる、避ける)の現在三人称単数形。
・από(アポ)・・「~から」。対格(たまに主格)につく前置詞。英語のfromっぽい。
・το(ト)・・中性名詞の単数主格か対格につく定冠詞。
・νησί(ニスィ)・・「島(に)」。中性名詞単数主格または対格。ここでは対格。
・των(トン)・・三性の複数属格につく定冠詞。
・Σειρήνων(スィレーノン)・・「セイレーンたちの」。女性固有名詞Σειρήνα(セイレーン)の複数属格。
『セイレーンたちの島から去って行く』
・με(メ)・・「~と共に」。対格につく前置詞。
・τον(トン)・・男性名詞の単数対格につく定冠詞。
・υπέροχο(イペロホ)・・「この上なく素晴らしい」。形容詞
・ήχο(イホ)・・「音(を)」。男性名詞
『至上の音色と共に』
・οδηγούν(オズィグン)・・「(それらは)操舵する」。自・他動詞 ・το(ト)・・中性名詞の単数主格か対格につく定冠詞。 ・σκάφος(スカーフォス)・・「船を」。中性名詞単数主格または対格。ここでは対格。 ・με(メ)・・「~と共に、~で」。対格につく前置詞。 ・βιασύνη(ヴィアスィーニ)・・「大急ぎ、大慌て(に)」女性名詞単数主格か対格。ここでは対格。 『大慌てで船を動かす』 |
※枠内、"Φεύγει από~τον υπέροχο ήχο"までのバックで歌ってます。
この文章書いてる人は素人です。結構適当書いてます。
このページはあくまで『Istoria~Kalliope~』買った人向け、参考にならない辞書もどきであって、
著作権侵害の意図はこれっぽっちもありません。が、もし怒られたら消えます。
主要引用・参考資料
1.『現代ギリシア語辞典』(リーベル出版 第3版増補版 2004)
2.『現代ギリシア語文法ハンドブック』(白水社 2009)
3."Pocket Oxford Greek Dictionary"(Oxford Univ Pr. 2000 2nd Edition)
現代ギリシア語⇔英語辞書
4.『ギリシア神話』(岩波文庫 1953)
紀元後1~2世紀ごろに生きた謎の作家アポロドーロスさん(Ἀπολλόδωρος)によるビブリオテーケー(Βιβλιοθήκη)の邦訳版。いわゆる「ギリシア神話」の様々なエピソードがこれでもかと纏められている。神名人名地名の羅列が多いから娯楽に向いた読み物じゃないけど、ある神様や英雄がどんな役割のどこのどなたでしたっけ?を調べたい時には『神統記』と共に重宝する。巻末の固有名詞索引が便利。
5.『変身物語(上)中村善也訳』(岩波文庫 1981)
スルモー生まれの詩人プブリウス・オウィディウス・ナーソーさん(Publius Ovidius Naso:BC43~AD17)による叙事詩メタモルポーセース(Metamorphoses)の邦訳版。ラテン文学の傑作で、いわゆる「ギリシア神話」原典の一つ。タイトルの通り「変身」をメインテーマに、ギリシア・ローマの神々や人々が織り成す交々を描いている。
6."An intermediate LIDELL AND SCOTT'S Greek-English Lexicon"(Oxford
Univ Pr. 1945 7th Edition)
古典ギリシア語→英語辞書。
7."Perseus Digital Library"
アメリカ、タフト大学の提供でお送りするデジタル・データベース。ギリシアやラテンの古典文学に強い。原文やら英語訳やら、有名な古典作品があれもこれも無料で検索し放題、読み放題(読めればの話orz)という素晴らし過ぎる代物。壺絵やコインの画像もある。