Amorosi miei giorni
Stefano Donaudy (1879 - 1925) :作曲
Alberto Donaudy (1880 - 1941) :作詞
Amorosi miei giorni,
chi vi potrà mai più scordar,
or che di tutti i beni adorni,
date pace al mio core
e profumo ai pensieri?
Poter così, finchè la vita avanza,
non temer più gli affanni
d'una vita d'inganni,
sol con questa speranza:
che un suo sguardo sia tutto il mio splendor
e un suo sorriso sia tutto il mio tesoro!
Chi di me più beato,
se accanto a sé così non ha
un dolce e caro oggetto amato,
sì che ancor non può dire
di saper cos'è amore?
Ah, ch'io così, finchè la vita avanza,
più non tema gli affanni
d'una vita d'inganni,
sol con questa speranza:
che un suo sguardo sia tutto il mio splendor
e un suo sorriso sia tutto il mio tesoro!
原曲は、シチリアはパレルモ生まれの伊仏ハーフ、ステーファノ・ドナウディさんのアリア。主に『私の愛の日々』と邦訳されてる。
作詞担当もドナウディさんだけど、こちらのアルベルト・ドナウディさんはステーファノさんの弟さん。既存の詩に作曲家が音楽をつけたタイプの作品ではなく、初めから兄さんの曲の歌詞として作詞されたものです。韻は一応踏んでるけど、情感重視?なのか、結構自由。音楽については良く分からんけど、甘ーい詩の情緒を大事にした、いかにもロマン派な歌曲と言えるのかな?この兄弟、他にいくつも歌曲やオペラを共作してます。仲良かったんだろうなー。
これは1916~23年頃に作曲されたという"36 arie di stile antico(古典様式による36のアリア)"の1曲です。この歌曲集、日本の声楽界では結構人気らしくて、森田学さんの『イタリア歌曲を朗読しよう』にも、"O
del mio amato ben(ああ、私の愛する人の)"が載ってた。
ステーファノさんと同年生まれのお馴染みオットリーノ・レスピーギさんも、古典を取り入れた曲を作ったり、古楽を編曲したりしてた。ここで言う古典は、勿論古典ラテン語が話されていたような大昔ではなく、ルネサンスとかバロックとかの数百年ばかし古い時代。余談ながら、日本では有名な『シチリアーナ』のメロディーも、レスピーギさんが"Antiche
danze ed arie per liuto(リュートのための古風な舞曲とアリア)"を作編曲していなければ、世に知られていなかったかもしれない。彼らの生きた19世紀末から20世紀の初頭、リソルジメント(イタリア統一運動)を経てできたばかりのイタリア王国では、古典芸術の見直しとか、現代的「古典風」(stile
antico)創作とかが盛んだったらしい。
以上、ぐーぐる先生頼りの素人知識と雑感は措いといて、
http://aquagon-drag.blogspot.jp/2009/10/letra-yoimoribito.html
↑こちらのブログ様に、志方さんの『宵森人』の推定歌詞が上げられています。
私が聴いても何と歌っているか分からない部分も埋めていらっしゃったので、ちゃちゃっと検索してみたところ、この歌曲が元ネタのようです。
ただ、『宵森人』の歌詞の一部ではなかろうかという黄色部分、2:27ぐらいからのところなんだけど、私はこう歌ってるようには聴こえないんですよね。"chi vi..."とか"al
mio core..."とかは確かにそれっぽく聴こえるところもあるから、篠田朋子さんが参考にしてる可能性は十分ありそうだけど。これまでの元ネタの傾向的にも。バロックとロマン派のエッセンスが香る新々古典主義みたいな?
アモローズィ | ミエイ | ジョルニ |
Amorosi | miei | giorni, |
形容詞 | 所有形容詞 | 名詞 |
愛の、恋の | 私の | 日々 |
私の愛の日々 |
amorosoは「情愛深い、優しい」みたいな意味もある。
キ | ヴィ | ポトラ | マイ | ピウ | スコルダール |
chi | vi | potrà | mai | più | scordar, |
疑問代名詞 | 人称代名詞 | 自動詞(原形:potere) | 副詞 | 副詞 | 他動詞 |
誰 | 君たちを | (それは)できるだろう | 絶対に~ない | 忘れる、無視すること | |
誰がおまえたちを忘れられるだろう |
scordareの不定詞がトロンカメント(語尾脱落)。
viはamorosi miei giorniを指してる。
オル | ケ | ディ | トゥッティ | イ | ベーニ | アドルニ |
Or | che | di | tutti | i | beni | adorni, |
副詞 | 接続詞 | 前置詞 | 代名詞 | 冠詞 | 名詞 | 形容詞 |
今 | ~で | すべて(複) | 幸福(複) | 飾られた | ||
全ての幸福で彩られた |
oraがトロンカメント。"ora che..."で「~した今では、~したからには」。
adorniはtutti i beniではなくviにかかる。
ダーテ | パーチェ | アル | ミオ | コーレ |
date | pace | al | mio | core |
他動詞(原形:dare) | 名詞 | 縮約冠詞 | 所有形容詞 | 名詞 |
(君たちが)与える | 安らぎ | a il ~に | 私の | 心 |
(おまえたちが)私の心に安らぎを与え、 |
エ | プロフーモ | アイ | ペンスィエーリ |
e | profumo | ai | pensieri? |
接続詞 | 名詞 | 縮約冠詞 | 名詞 |
そして | 芳香、香気 | a i ~に | 考え、思い(複) |
この考えに香気を(与える今となっては、) |
ポテール | コズィ | フィンケ | ラ | ヴィータ | アヴァンツァ |
Poter | così, | finchè | la | vita | avanza, |
自動詞 | 副詞 | 接続詞 | 冠詞 | 名詞 | 自動詞(原形:avanzare) |
~できること | このように | ~する間は | 生命、人生 | (それが)残る、余る | |
命ある限り、このようにできる |
不定詞potereがトロンカメント。
ここの不定詞訳し方が分からん。
ノン | テメール | ピウ | リ | アッファンニ |
non | temer | più | gli | affanni |
副詞 | 副詞 | 副詞 | 冠詞 | 名詞 |
~ない | 恐れること | もう | 苦悩 | |
苦悩をもはや恐れることなく |
不定詞temereがトロンカメント。
non... più... で「もはや~ない」。
affannoは「息切れ、喘ぎ」。
ドゥナ | ヴィータ | ディンガンニ |
d'una | vita | d'inganni, |
前置詞+冠詞 | 名詞 | 前置詞+名詞 |
~の | 生命、人生 | 欺瞞(複)の |
欺瞞の人生の |
ソール | コン | クエスタ | スペランツァ |
sol | con | questa | speranza: |
副詞 | 前置詞 | 指示形容詞 | 名詞 |
ただ~だけ | ~と共に | この | 希望 |
ただこの希望だけを持って |
soloがトロンカメント。
ケ | ウン | スオ | スグアルド | スィーア | トゥット | イル | ミオ | スプレンドール |
che | un | suo | sguardo | sia | tutto | il | mio | splendor |
接続詞 | 冠詞 | 所有形容詞 | 名詞 | 自動詞(原形:essere) | 形容詞 | 冠詞 | 所有形容詞 | 名詞 |
~という | 彼(女)の | 眼差し | (それが)~である | 全ての | 私の | 輝き | ||
彼(女)の眼差しが私の輝きの全てであり |
splendoreがトロンカメント。
siaは接続法現在(ここでは三人称)単数形。客観的事実ではない語り手の主観を表している。
イタリア語の三人称の所有形容詞は、単複共に所有者の性別が分からない。
エ | ウン | スオ | ソッリーゾ | スィア | トゥット | イル | ミオ | テゾーロ |
e | un | suo | sorriso | sia | tutto | il | mio | tesoro! |
接続詞 | 冠詞 | 所有形容詞 | 名詞 | 自動詞(原形:essere) | 形容詞 | 冠詞 | 所有形容詞 | 名詞 |
そして | 彼(女)の | 微笑み | (それが)~である | 全ての | 私の | 宝 | ||
彼(女)の微笑みが私の宝の全てである!(という) |
キ | ディ | メ | ピウ | ベアート |
chi | di | me | più | beato, |
代名詞 | 前置詞 | 人称代名詞 | 副詞 | 形容詞 |
人が | ~より | 私(に) | もっと | 幸多き |
私よりも幸福な人が |
セ | アッカント | ア | セ | コズィ | ノナ | |
se | accanto | a | sé | così | non | ha |
接続詞 | 副詞 | 前置詞 | 代名詞 | 副詞 | 副詞 | 他動詞(原型:avere) |
もし~なら | ~の隣に | 自分の | このように | ない | (それは)持つ | |
こんな風に自分の隣にいないなら |
"The LiederNet Archive"さんでは"accanto a sè"となってるけど、たぶん誤植。
ウン | ドルチェ | エ | カーロ | オッジェット | アマート |
un | dolce | e | caro | oggetto | amato, |
冠詞 | 形容詞 | 接続詞 | 形容詞 | 名詞 | 形容詞 |
甘い | そして | 親愛なる | 対象 | 最愛の | |
甘美でいとおしい 愛の対象が |
スィ | ケ | アンコール | ノン | プオ | ディーレ |
sì | che | ancor | non | può | dire |
副詞 | 形容詞 | 副詞 | 副詞 | 自動詞(原形:potere) | 他動詞 |
実際 | まだ | ない | (それが)できる | 言うこと | |
実際のところ、まだ言えないだろうか? |
ancoraがトロンカメント。
ここのnonは反語表現。
ディ | サペール | コーゼ | アモーレ |
di | saper | cos'è | amore? |
前置詞 | 他動詞 | 名詞+動詞(原形:essere) | 名詞 |
~と | 知っている(こと) | cosa è 何である | 愛 |
愛が何かを知っていると |
sapereがトロンカメント。
アー | キオ | コズィ | フィンケ | ラ | ヴィータ | アヴァンツァ |
Ah, | ch'io | così, | finchè | la | vita | avanza, |
間投詞 | 代名詞+人称代名詞 | 副詞 | 接続詞 | 冠詞 | 名詞 | 自動詞(原形:avanzare) |
ああ | che io ~するところの私は | このように | ~する間は | 生命、人生 | (それが)残る、余る | |
ああ、命ある限り、私はこんな風に、 |
ピウ | ノン | テーマ | リ | アッファンニ | ドゥナ | ヴィータ | ディンガンニ |
più | non | tema | gli | affanni | d'una | vita | d'inganni, |
副詞 | 副詞 | 他動詞(原形:temere) | 冠詞 | 名詞 | 前置詞+冠詞 | 名詞 | 前置詞+名詞 |
もう | ~ない | (私が)恐れる | 苦悩 | ~の | 生命、人生 | 欺瞞(複)の | |
欺瞞の人生の苦悩をもはや恐れずにいられたら |
temaは接続法現在(ここでは一人称)単数形。語り手の願望を表している。
non... più... で「もはや~ない」。
affannoは「息切れ、喘ぎ」。
ソール | コン | クエスタ | スペランツァ |
sol | con | questa | speranza: |
副詞 | 前置詞 | 指示形容詞 | 名詞 |
ただ~だけ | ~と共に | この | 希望 |
ただこの希望だけを持って |
soloがトロンカメント。
ケ | ウン | スオ | スグアルド | スィーア | トゥット | イル | ミオ | スプレンドール |
che | un | suo | sguardo | sia | tutto | il | mio | splendor |
接続詞 | 冠詞 | 所有形容詞 | 名詞 | 自動詞(原形:essere) | 形容詞 | 冠詞 | 所有形容詞 | 名詞 |
~という | 彼(女)の | 眼差し | (それが)~である | 全ての | 私の | 輝き | ||
彼(女)の眼差しが私の輝きの全てであり |
splendoreがトロンカメント。
siaは接続法現在(ここでは三人称)単数形。客観的事実ではない語り手の主観を表している。
エ | ウン | スオ | ソッリーゾ | スィーア | トゥット | イル | ミオ | テゾーロ |
e | un | suo | sorriso | sia | tutto | il | mio | tesoro! |
接続詞 | 冠詞 | 所有形容詞 | 名詞 | 自動詞(原形:essere) | 形容詞 | 冠詞 | 所有形容詞 | 名詞 |
そして | 彼(女)の | 微笑み | (それが)~である | 全ての | 私の | 宝 | ||
彼(女)の微笑みが私の宝の全てである!(という) |
文がなかなか区切れない。
以下、中途半端に古臭く意訳。
作詞者が男性なんでsuoはひとまず「彼女の」としましたが、女声で歌うなら「彼の」と訳しても。
我が愛の日々よ
どうしておまえたちを忘れられよう?
あらゆる幸福に彩られたおまえたちが
我が心に安寧を
我が思索に香気を与え給う今となっては
命ある限り かくあれかし
偽りの浮生の煩悶に
もはや倦むことなく
ただ 持てる望みは
彼女のまなざしが 我が光の全てとなり
彼女のほほえみが 我が宝の全てとならんこと!
私よりもなお幸福なる者が
甘やかに慈しめる最愛の君を
私のごとく 連れ添わぬならば
真に どうして愛の何たるかを
知るに足ると言えようか?
ああ 命ある限り かくのごとく
偽りの浮生の煩悶に
もはや倦むことなからん
ただ 持てる望みは
彼女のまなざしが 我が光の全てとなり
彼女のほほえみが 我が宝の全てとならんこと!
special thanks:
"Ar Ciel" http://aquagon-drag.blogspot.jp/
個人ブログ。オーナーはアニメやゲームをこよなく愛するベネズエラ人、aquagonさん。
アルトネリコ、アトリエシリーズ、ポポロクロイスが特にお好きらしく、主に日本のアニメ、ゲーム系音楽をスペイン語と英語に翻訳、音訳していらっしゃる。志方あきこさんのCDもほとんど持っていらっしゃるようで。
ブログのメイン言語はスペイン語、サブ言語は英語、たまにヒュムノスとか。
日本語は勿論、多数の自然言語、造語も自由自在。すごい。
歌詞は以下のサイト様から↓
http://www.lieder.net/lieder/get_text.html?TextId=4893