北へ向かうアルルカバ スペイン語メモ
love solfege 『The Centenary -Vaudeville』より

『The Centenary -Vaudeville』群像劇の4曲目。
真名辺あやさん作詞のとてもかわいいポップス。
この歌のgato montés(山猫)さんは、
やっぱり「La Sirena del faro」のgattopardoさんだよね?

歌手は霜月はるかさん
「Odysseia」といい、「帰結する未来」といい、
love solfege×霜月はるかは、
航海がテーマの歌が多いな。素敵。

メモはスペイン語部分のみ。


bandcampで無料で聴けるようになりました。
勿論惚れたらお金も払えます。

※動詞の法(ムード)は、特に接続法とか書いていない限り直説法です。

Alruccabah(アルルッカ)・・「アルルカバ」。固有名詞。性別不明。現在の北極星、こぐま座アルファ星ポラリスの古名の一つ。
 ヴェネチアで出版された1492年版のアルフォンソ天文表("Tabule astronomice Alfonsi Regis")には、"Alrucaba/est Stella polaris sive Polus"「アルルカバはステラ・ポラリス(極の星)、あるいはポルス(極)である」と書かれている。
 また、ドイツで1603年に出版された星図書『ウラノメトリア』("Uranometria")には、ラテン語のCauda extima(最も外側の尾)、Stella polaris(極の星)、Stella maris(海の星)、イタリア語のNavigatoria{航海の(星)}、la Tramontana{山向こうの=北の(星)}と並んで、アラビア語由来のAlruccabah及びRuccabahの名称が記されている。
 語源はアラビア語の女性名詞単数形رُكْبَة(ルクバ 膝)に定冠詞をつけたالرُّكْبَة(アッルクバ)。10世紀後半の天文学者バルセロナのLupitus(Llobet)さんがアラビア語文献を翻訳して、ヨーロッパキリスト教圏に伝わったらしい。なんかこの語句、9世紀頃にアラブ人が古代ギリシア天文学を学んでつけた名称で、元はおおぐま座の膝の位置に当たるシータ星を指してたとか。

 余談だけど、現代アラビア語ではこの星をالرُّكْبَة(アッルクバ)とは呼ばない。これも中世にはあった名前الجدي(牡の若山羊、仔山羊)が一般的。イスラーム発祥以前のアラブ神話に由来するらしい。ややこしいことに「やぎ座」または「やぎ座アルファ星」も同じ単語なんだけど、こちらをالْجَدْي(アルジャディ)、ポラリスの方は母音を変えて指小形الْجُدَيّ(アルジュダイ)と呼び分けていたりする。

caminante(カミンテ)・・「歩行者、旅行者、ハイカー」。男女同形の名詞。単数形。
no)・・「~ない」。否定の副詞。
hayイ)・・「~がある、いる」。英語のthere is/areっぽい他動詞haberの現在形。不特定の人や物の存在を表す。この意味の他動詞としては主語を持たず、人称変化しない。
camino(カミーノ)・・「道、行程、進路」。男性名詞単数形。hayの後の可算名詞単数形の場合不定冠詞がつくことが多いけど、ここで無冠詞なのは実在の道じゃなく概念のことを言ってるからか?

『行く人よ、道はない』

se(セ)・・三人称の再帰代名詞。
haceセ)・・「(それは)~になる」。英語のdoとかmakeっぽい他動詞hacerの再帰動詞形hacerseルセ(行われる、作られる、~になる)の三人称単数現在形。
camino(カーノ)・・「道、行程、進路」。男性名詞単数形。
al(アル)・・「~によって」。縮約冠詞。前置詞aと男性名詞単数形につく定冠詞elエルの縮約。
andar(アンール)・・「歩くこと、進むこと」。自他動詞の不定詞。

『歩くことで道ができる』

a(ア)・・「~へ」。前置詞。
dóndeンデ)・・「どこ」。疑問副詞。
fueエ)・・「(それは)行った」。ここでは自動詞ir(行く、達する、広まる)の三人称単数点過去形。
el(エル)・・男性名詞単数形につく定冠詞。
camino(カーノ)・・「道、行程、進路」。男性名詞単数形。

『道はどこへ行った?』

pensé(ペン)・・「(私は)気付いた、思い始めた」。自他動詞pensarペン(考える、思う)の一人称単数点過去形。線過去pensaba(私は思っていた)とは違うニュアンス。
que(ケ)・・「~ということを」。接続詞。
podía(ポディーア)・・「(私は) ~できた、~してもよかった」。他動詞poder(~することができる、~していい、~かもしれない)の一人称単数線過去形。ここはある程度の期間いつでも「できた」ニュアンス。
ir(イル)・・「行くこと」。自動詞の不定詞
a(ア)・・「~へ」。前置詞。
cualquier(クアルキル)・・「どんな~でも」。不定代名詞。単数名詞につく。
parteルテ) ・・「部分、場所、一方」。女性名詞単数形。

『どんな所へも行けたんだって気付いた』

ah)・・「ああ」。間投詞。
ayイ)・・「ああ、おお」。悲嘆、苦痛、驚きの間投詞。
sin(スィン)・・「~なしで」。前置詞。
embargo(エンルゴ)・・現代語では「差し押さえ、輸出禁止、消化不良」。男性名詞単数形。かつては「妨げ」を意味し、"sin embargo(妨げにならず)"で「しかしながら、~にもかかわらず」。

『ああ、あーあ、それなのに』

※枠内、「風の誘うまま~舵を取ると思ってた」のバックコーラス。

)・・「(私は)知っている」。自他動詞saber(知る、知っている)の一人称単数現在形。
lo(ロ)・・ここでは三人称単数中性の直接目的格代名詞。
que(ケ)・・関係代名詞。ここでは"lo que"で「~のことを」。
eresレス)・・「(君は)~である」。英語のbe動詞っぽい自動詞serの二人称単数現在形。
gatoト)・・「(雄、または特に雌雄を指定しない)猫」。男性名詞単数形。
montés(モンス)・・「野生の」。形容詞。男性単数形。

『きみが山猫だって知ってる』

aunque(アウンケ)・・接続詞。ここでは動詞の接続法について「たとえ~でも」。
estés(エスス)・・「(君は)いる」。これまた英語のbe動詞っぽい自動詞estarエス(~にある、いる、~になっている)の接続法現在二人称単数形。serが永久的、普遍的なものを表し、estarは一時的なものを表す。
lejosホス)・・「遠くに」。副詞。

『遠くにいたって』

eresレス)・・「(君は)いる」。英語のbe動詞っぽい自動詞serの二人称単数現在形。
siempre(スィンプレ)・・「いつも、常に」。副詞。
para(パラ)・・「~のために」。前置詞。
)・・「私」。一人称単数前置詞格の人称代名詞。

『きみはいつもぼくのためにいてくれる』

Alruccabah(アルルッカ)・・「アルルカバ」。固有名詞。性別不明。現在の北極星、こぐま座アルファ星ポラリスの古名の一つ。
ah)・・「ああ」。間投詞。

『アルルカバ、ああ』

※枠内、「明日を追いかける~北へ向かうアルルカバ」までのバックコーラス。

a(ア)・・「~へ」。前置詞。
dóndeンデ)・・「どこ」。疑問副詞。
fueエ)・・「(それは)行った」。ここでは自動詞ir(行く、達する、広まる)の三人称単数点過去形。
el(エル)・・男性名詞単数形につく定冠詞。
camino(カーノ)・・「道、行程、進路」。男性名詞単数形。

『道はどこへ行った?』

pensé(ペン)・・「(私は)気付いた、思い始めた」。自他動詞pensarペン(考える、思う)の一人称単数点過去形。線過去pensaba(私は思っていた)とは違うニュアンス。
que(ケ)・・「~ということを」。接続詞。
podía(ポディーア)・・「(私は) ~できた、~してもよかった」。他動詞poder(~することができる、~していい、~かもしれない)の一人称単数線過去形。ここはある程度の期間いつでも「できた」ニュアンス。
ir(イル)・・「行くこと」。自動詞の不定詞
a(ア)・・「~へ」。前置詞。
cualquier(クアルキル)・・「どんな~でも」。不定代名詞。単数名詞につく。
parteルテ) ・・「部分、場所、一方」。女性名詞単数形。

『どんな所へも行けたんだって気付いた』

ah)・・「ああ」。間投詞。
ayイ)・・「ああ、おお」。悲嘆、苦痛、驚きの間投詞。
sin(スィン)・・「~なしで」。前置詞。
embargo(エンルゴ)・・現代語では「差し押さえ、輸出禁止、消化不良」。男性名詞単数形。かつては「妨げ」を意味し、"sin embargo(妨げにならず)"で「しかしながら、~にもかかわらず」。

『ああ、あーあ、それなのに』

※枠内、「未知なる島々~いつも胸に抱いてた」のバックコーラス。

Hasta La Vista(アスタ・ラ・スタ)・・「さようなら、またまみえるまで」。二度と会わないかもしれない別れの際の挨拶。前置詞hastaアスタ(~まで)+女性名詞単数形につく定冠詞la+女性名詞vistaスタ(視覚、視線、眼差し、眺め)。

)・・「(私は)知っている」。自他動詞saber(知る、知っている)の一人称単数現在形。
lo(ロ)・・ここでは三人称単数中性の直接目的格代名詞。
que(ケ)・・関係代名詞。ここでは"lo que"で「~のことを」。
eresレス)・・「(君は)~である」。英語のbe動詞っぽい自動詞serの二人称単数現在形。
gatoト)・・「(雄、または特に雌雄を指定しない)猫」。男性名詞単数形。
montés(モンス)・・「野生の」。形容詞。男性単数形。

『きみが山猫だって知ってる』

aunque(アウンケ)・・接続詞。ここでは動詞の接続法について「たとえ~でも」。
estés(エスス)・・「(君は)いる」。これまた英語のbe動詞っぽい自動詞estarエス(~にある、いる、~になっている)の接続法現在二人称単数形。serが永久的、普遍的なものを表し、estarは一時的なものを表す。
lejosホス)・・「遠くに」。副詞。

『遠くにいたって』

eresレス)・・「(君は)いる」。英語のbe動詞っぽい自動詞serの二人称単数現在形。
siempre(スィンプレ)・・「いつも、常に」。副詞。
para(パラ)・・「~のために」。前置詞。
)・・「私」。一人称単数前置詞格の人称代名詞。

『きみはいつもぼくのためにいてくれる』

Alruccabah(アルルッカ)・・「アルルカバ」。固有名詞。性別不明。現在の北極星、こぐま座アルファ星ポラリスの古名の一つ。
ah)・・「ああ」。間投詞。

『アルルカバ、ああ』

※枠内、「明日を追いかける~北へ向かうアルルカバ」までのバックコーラス。

caminante(カミンテ)・・「歩行者、旅行者、ハイカー」。男女同形の名詞。単数形。
no)・・「~ない」。否定の副詞。
hayイ)・・「~がある、いる」。英語のthere is/areっぽい他動詞haberの現在形。
camino(カミーノ)・・「道、行程、進路」。男性名詞単数形。

『行く人よ、道はない』

sino(スィノ)・・反意、除外の接続詞。ここでは"No~ sino~"で「~を除いて~でない、~だけ~である」。
estelas(エスラス)・・「航跡」。女性名詞estelaエス(跡、航跡、余韻、石碑)の複数形。
en(エン)・・「~の上に」。前置詞。
la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
marール)・・「浜、海」。ここでは女性名詞単数形。
※marは日常語や散文では男性名詞。詩文、学術、海事用語では女性名詞扱いされることが多い。

『海に残る航跡の他には』

 北極星の別名、「アルルカバ」ってのを全然知らなかったので、ちょっと検索してみた忘備録含む。
 冒頭の"Caminante, no hay camino, se hace camino al andar."と最後の"Caminante, no hay camino sino estelas en la mar."は、セビリアの詩人アントニオ・マチャード(Antonio Machado)さんの詩"Caminante, no hay camino"から引用されてる。この詩もいいんだ、すごく。アルルカバの語源も、「憧れを追いかけるのは、行きたい場所に道を作っていくのは、自分の足なんだよ」ってイメージにぴったり。
 北天に「やまねこ座」って目立たない星座があるけど、この歌には特に関係ない?
 霜月さんの「ぼく」かわいい。冒険心たっぷりの少年かわいい。
 「off vocalで歌えるよー」と仰られても。「コーラスも歌えるよー」と仰られても。
 

この文章書いてる人はスペイン語に関してド素人です。
このページはあくまでクラファン支援者及び『The Centenary』CD等買った人向け、
参考にならない辞書もどきであって、
著作権侵害の意図はありません。が、もし怒られたら消えます。

参考資料
『現代スペイン語辞典』(白水社 2018第20刷)
"Historia Coelestis Wiki"内"Bayer Ursa Minor α"
https://coel.fandom.com/wiki/Bayer_Ursa_Minor_%CE%B1
Tabule astronomice Alfonsi regis
https://books.google.co.jp/books?id=rFskzvoyRGAC&printsec=frontcover&hl=ja&source=gbs_ge_summary_r&cad=0#v=onepage&q&f=false