Tristan et Yseult フランス語メモ
Cécile Corbel " Graal "より
" Graal "4曲目、中世の有名なロマンスの主人公たち、トリスタンとイゾルデの歌。
この歌はyoutube公式チャンネルでミュージックビデオも試聴できる。
ハープを奏でるCécileさんとスピネットを奏でるSimon Cabyさん夫婦による弾き語りデュエット、
音楽も演奏してる教会も美し過ぎて最高なので是非。
Cécile Corbel Tristan et Yseult
※動詞の法は、特に断りがない限り直説法です。
・Tristan(トリスタン)・・「トリスタン」。男性固有名詞。人名。
・et(エ)・・「そして、~と」。接続詞。
・Yseult(イズルト)・・「イズー、イズルト、イゾルデ」。女性固有名詞。人名。この綴りで(イズー)[i.zø]とも(イズルト)[i.zœlt]とも発音するらしい。どうもセシルさんは(イズルト)[i.zœlt]と歌ってる。
『トリスタンとイゾルデ』
・on(オン)・・「人は」。特定または不特定の主格を指す人称代名詞。一二三人称単複どれを指す場合でも、動詞は三人称単数形をとる。
・raconte(ラコントゥ)・・「(それは)~を語る」。他動詞raconter(~を語る、~をほざく、言い触らす、~を叙述する)の三人称単数現在形。
・en(アン)・・「~で」。前置詞。フランスの地方名には通常àではなくenがつく。
《raconte en(ラコンタン)》
・Bretagne(ブルターニュ)・・「ブルターニュ地方、ブルターニュ地域圏」。女性固有名詞。地名。
『ブルターニュの人は語る』
・l'histoire(リストワール)・・「お話」。頭語が母音またはhの単数名詞につく定冠詞l'+女性名詞histoire(歴史、物語、出来事)。
・de(ドゥ)・・「~の」。前置詞。
・deux(ドゥー)・・「2」。基数詞。無変化。
・amants(アマン)・・「愛人たち」。男性名詞amant(愛人、情夫)の複数形。通常、不適切な(不倫の)関係について言う。
《deux amants(ドゥザマン)》
『二人の恋人たちの物語を』
・que(ク)・・「~ということ」。接続詞。raconteにかかるってことでいいのかな。que以下が独立文なら、「愛が共にありますように」と取れるけど。
・l'amour(ラムール)・・「愛」。頭語が母音またはhの単数名詞につく定冠詞l'+男性名詞amour(愛)の単数形。
・accompagne(アコンパンニュ)・・「(それは)同行する」。他動詞accompagner(一緒に行く、伴う)の接続法現在三人称単数形。
《l'amour accompagne(ラムーラコンパンニュ)》
『その愛が共にあるということを』
・même(メーム)・・「~さえ、~までも、~であっても」。副詞。
・au-delà(オドゥラ)・・縮約冠詞au(前置詞àと男性名詞単数形につく定冠詞leの縮約)+無変化の男性名詞または副詞delà(あちら、向こう)の単数形。delàは単独では使わない。
《Même au-delà(メーモドゥラ)》
・du(デュ)・・縮約冠詞。前置詞de+男性名詞単数形につく定冠詞leの縮約。"au-delà de ~"で「~の向こうに、~の先に、~を過ぎて」。
・temps(タン)・・「時、時間」。男性名詞単数形。
『時を越えても』
・même(メーム)・・「~さえ、~までも、~であっても」。副詞。
・au-delà(オドゥラ)・・縮約冠詞au(前置詞àと男性名詞単数形につく定冠詞leの縮約)+無変化の男性名詞または副詞delà(あちら、向こう)の単数形。delàは単独では使わない。
《Même au-delà(メーモドゥラ)》
・du(デュ)・・縮約冠詞。前置詞de+男性名詞単数形につく定冠詞leの縮約。"au-delà de ~"で「~の向こうに、~の先に、~を過ぎて」。
・temps(タン)・・「時、時間」。男性名詞単数形。
『時を越えても』
・tant(タン)・・強意や比較の副詞。
・que(ク)・・接続詞。"tant que 直接法"で「~する限り、~である間は」。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・fleurira(フルリラ)・・「(それが)咲くだろう」。自他動詞fleurir{花が咲く、(比喩的に)開花する、栄える、花で飾る、花を贈る}の三人称単数未来形。
『茨が咲く限り、』
・toi(トワ)・・「君」。二人称単数の人称代名詞。強勢形。
・et(エ)・・「そして、~と」。接続詞。
・moi(モワ)・・「私」。一人称単数の人称代名詞。強勢形。
・on(オン)・・「人(私たち)は」。特定または不特定の主格を指す人称代名詞。一二三人称単複どれを指す場合でも、動詞は三人称単数形をとる。
・s'aimera(セメラ)・・「(それは)愛し合うだろう」。他動詞aimer(愛する、好む)の代名動詞形s'aimer(愛し合う、自分を愛する)の三人称単数未来形。
『あなたと私は愛し合うでしょう』
・tant(タン)・・強意や比較の副詞。
・que(ク)・・接続詞。"tant que 直接法"で「~する限り、~である間は」。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・fleurira(フルリラ)・・「(それが)咲くだろう」。自他動詞fleurir{花が咲く、(比喩的に)開花する、栄える、花で飾る、花を贈る}の三人称単数未来形。
『茨が咲く限り』
・mais(メ)・・「だが、でも、いったい、さて」。接続詞。
・si(スィ)・・「もし~なら」。接続詞。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・dépérit(デペリ)・・自動詞dépérir(衰弱する、弱る、萎れる)の三人称単数現在形。
『けれど、もし茨が枯れるなら、』
・qu'elle(ケル)・・接続詞que+三人称単数女性、主格の人称代名詞elle。ここでは接続法と共にsiと同じく仮定の表現かな。
・retombe(ルトンブ)・・自動詞retomber{再び転ぶ、(上がったものが)落ちる、また降る、再び~に陥る}の接続法現在三人称単数形。"Qu'elle retombe"で「彼女が(再び)~に陥るなら」。
・dans(ダン)・・「~の中に、~の状態に」。
・l'oubli(ルブリ)・・「忘却」。頭語が母音またはhの単数名詞につく定冠詞l'+男性名詞oubli(忘れること、忘却)の単数形。"tomber dans l'oubli"で「忘れられる」。ここではretomberだけど、「また忘れられる」よりは「何もなかった状態に戻る」感じかな?
『茨が忘れ去られるなら、』
・mais(メ)・・「だが、でも、いったい、さて」。接続詞。
・si(スィ)・・「もし~なら」。接続詞。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・dépérit(デペリ)・・「(それは)しおれる」。自動詞dépérir(衰弱する、弱る、萎れる)の三人称単数現在形。
『けれど、もし茨が枯れるなら、』
・notre(ノトル)・・「私たちの」。一人称複数の所有形容詞単数形。
・amour(アムール)・・「愛」。男性名詞単数形。
《Notre amour(ノトラムール)》
・fanera(ファネラ)・・「(それは)しおれるだろう」。自他動詞faner{(草花を)萎れさせる、(刈り草を)乾かす、(色、容姿を)褪せさせる、(草花が)萎れる}の三人称単数未来形。
・aussi(オスィ)・・「同じく、~もまた、そんなに」。副詞。
『私たちの愛もまた萎むでしょう』
・Tristan(トリスタン)・・「トリスタン」。男性固有名詞。人名。
・était(エテ)・・英語のbe動詞に当たる助動詞êtreの三人称単数半過去形。ここでは過去分詞と共に受動態を作っている。
・mandé(マンデ)・・他動詞mander{(人を)召喚する、(手紙などで)知らせる}の過去分詞。男性単数形。"était mandé"で「(彼は)召喚されていた」。過去において継続中の動作。
・par(パル)・・「~によって」。前置詞。
・le(ル)・・男性名詞単数形につく定冠詞。
・roi(ロワ)・・「王」。男性名詞単数形。
・en(アン)・・「~で、~に」。前置詞。
・son(ソン)・・「彼の、彼女の、それの」。三人称単数の所有形容詞。男性単数形。
・palais(パレ)・・「宮殿、王宮、大建築物、裁判所」。男性名詞単数形。
『トリスタンは宮殿の王に喚ばれていた』
・pour(プール)・・「~のために」。前置詞。
・ramener(ラムネ)・・「~を連れて帰って来ること」。他動詞の不定詞。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・fiancée(フィアンセ)・・「婚約者、いいなずけ」。女性名詞単数形。
『婚約者を連れ帰るために』
・par-delà(パルドゥラ)・・「~を越えて、~の向こう側で」。前置詞par+無変化の男性名詞または副詞delà(あちら、向こう)の単数形。delàは単独では使わない。
・les(レ)・・名詞の複数形につく定冠詞。
・mers(メール)・・「海(複)」。女性名詞mer(海)の複数形。"par-delà les mers"で「海の彼方に」。
・Yseult(イズルト)・・「イズー、イゾルデ」。女性固有名詞。人名。
・avait(アヴェ)・・「(それは)持っていた」。英語のhaveっぽい他動詞avoirの三人称単数半過去形。
・un(アン)・・男性名詞単数形につく不定冠詞。
《Yseult avait un(イズルタヴェタン)》
・secret(スクレ)・・「秘密、隠し事」。男性名詞単数形。
・qu'elle(ケル)・・「彼女が~であるところの」。関係代名詞que+三人称単数女性、主格の人称代名詞elle。
・ne(ヌ)・・「~ない」。否定の副詞。
・pouvait(プヴェ)・・「(それは)できていた」。他動詞pouvoir(~することができる、~しても良い、~かもしれない)の三人称単数半過去形。後ろに不定詞を伴う。
・révéler(レヴェレ)・・「~を明かす、暴露する、明らかにする、知らしめること」。他動詞の不定詞。
『海の向こうのイゾルデには、明かせない秘密があった』
・un(アン)・・男性名詞単数形につく不定冠詞。
・philtre(フィルトル)・・「媚薬、惚れ薬、霊薬」。男性名詞単数形。
・d'amour(ダムール)・・「愛の」。前置詞de+男性名詞amour(愛)の単数形。
・parfait(パルフェ)・・「完全な、完璧な、非の打ちどころのない、(主に名詞の前について)全くの、この上ない」。形容詞男性単数形。
・qu'ils(キル)・・「彼らが~であるところの」。関係代名詞que+三人称複数男性(一人以上男性を含む複数人)、主格の人称代名詞ils。
・ont(ロン)・・英語のhaveっぽい助動詞avoirの三人称複数現在形。ここでは過去分詞と共に複合過去を作っている。
※本(歌詞カード)だと« Qu'ils l'ont bu »(彼らがそれを飲んだところの)だけど、qu'ilsとontがリエゾンしてるように聴こえるので、たぶん直接補語代名詞はない。
《Qu'ils ont(キルゾン)》
・bu(ブ)・・自他動詞boire(~を飲む、吸い込む、酒を飲む)の過去分詞。"ils ont bu"で「彼らが飲んだ」。
・sans(サン)・・「~せずに」。前置詞。
・se douter(ス ドゥテ)・・「~ではないかと思う、予期する、気付く、予想すること」。間接他動詞douter(~を疑う)の代名動詞形の不定詞。
『二人が気付かず飲んでしまった、完璧な愛の霊薬』
・tant(タン)・・強意や比較の副詞。
・que(ク)・・接続詞。"tant que 直接法"で「~する限り、~である間は」。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・fleurira(フルリラ)・・「(それが)咲くだろう」。自他動詞fleurir{花が咲く、(比喩的に)開花する、栄える、花で飾る、花を贈る}の三人称単数未来形。
『茨が咲く限り、』
・toi(トワ)・・「君」。二人称単数の人称代名詞。強勢形。
・et(エ)・・「そして、~と」。接続詞。
・moi(モワ)・・「私」。一人称単数の人称代名詞。強勢形。
・on(オン)・・「人(私たち)は」。特定または不特定の主格を指す人称代名詞。一二三人称単複どれを指す場合でも、動詞は三人称単数形をとる。
・s'aimera(セメラ)・・「(それは)愛し合うだろう」。他動詞aimer(愛する、好む)の代名動詞形s'aimer(愛し合う、自分を愛する)の三人称単数未来形。
『あなたと私は愛し合うでしょう』
・tant(タン)・・強意や比較の副詞。
・que(ク)・・接続詞。"tant que 直接法"で「~する限り、~である間は」。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・fleurira(フルリラ)・・「(それが)咲くだろう」。自他動詞fleurir{花が咲く、(比喩的に)開花する、栄える、花で飾る、花を贈る}の三人称単数未来形。
『茨が咲く限り』
・mais(メ)・・「だが、でも、いったい、さて」。接続詞。
・si(スィ)・・「もし~なら」。接続詞。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・dépérit(デペリ)・・自動詞dépérir(衰弱する、弱る、萎れる)の三人称単数現在形。
『けれど、もし茨が枯れるなら、』
・qu'elle(ケル)・・接続詞que+三人称単数女性、主格の人称代名詞elle。ここでは接続法と共にsiと同じく仮定の表現かな。
・retombe(ルトンブ)・・自動詞retomber{再び転ぶ、(上がったものが)落ちる、また降る、再び~に陥る}の接続法現在三人称単数形。"Qu'elle retombe"で「彼女が(再び)~に陥るなら」。
・dans(ダン)・・「~の中に、~の状態に」。
・l'oubli(ルブリ)・・「忘却」。頭語が母音またはhの単数名詞につく定冠詞l'+男性名詞oubli(忘れること、忘却)の単数形。"tomber dans l'oubli"で「忘れられる」。ここではretomberだけど、「また忘れられる」よりは「何もなかった状態に戻る」感じかな?
『茨が忘れ去られるなら、』
・mais(メ)・・「だが、でも、いったい、さて」。接続詞。
・si(スィ)・・「もし~なら」。接続詞。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・dépérit(デペリ)・・「(それは)しおれる」。自動詞dépérir(衰弱する、弱る、萎れる)の三人称単数現在形。
『けれど、もし茨が枯れるなら、』
・notre(ノトル)・・「私たちの」。一人称複数の所有形容詞単数形。
・amour(アムール)・・「愛」。男性名詞単数形。
《Notre amour(ノトラムール)》
・fanera(ファネラ)・・「(それは)しおれるだろう」。自他動詞faner{(草花を)萎れさせる、(刈り草を)乾かす、(色、容姿を)褪せさせる、(草花が)萎れる}の三人称単数未来形。
・aussi(オスィ)・・「同じく、~もまた、そんなに」。副詞。
『私たちの愛もまた萎むでしょう』
・pour(プール)・・前置詞。
・toujours(トゥジュール)・・「いつも、相変わらず」。副詞。"pour toujours"で「永久に、いつまでも」。
・ils(イル)・・「彼らは」。三人称複数男性、主格の人称代名詞。複数人の内男性を一人以上含む集団を指す。
・reposent(ルポーズ)・・「(彼らは)眠る」。自他動詞、間接他動詞reposer(~を休める、~の疲れを癒す、休む、横たわる、~に基づく)の三人称複数現在形。
・en(アン)・・「~で、~に」。前置詞。
・plein(プラン)・・「いっぱいの、完全な、満ちた」。形容詞男性単数形。"en plein 無冠詞名詞"で「~のただ中で、真ん中に」。
・cœur(クール)・・「心、気持ち、中心」。男性名詞単数形。
・de(ドゥ)・・「~の」。前置詞。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・forêt(フォレ)・・「森、森林」。女性名詞単数形。
『彼らは森の中心で永久に眠る』
・pour(プール)・・「~のために」。前置詞。
・que(ク)・・接続詞。"pour que 接続法"で「~するように」。
・personne(ペルソンヌ)・・「誰も(~ない)」。無変化の不定代名詞。
・n'ose(ノーズ)・・「(それが)厚かましくも~しない」。否定の副詞ne(~ない)+他動詞oser(思い切って~する、厚かましくも~する、~を断行する)の接続法現在三人称単数形。不定詞を伴う。
・troubler(トルブレ)・・「~を濁らせる、曇らせる、乱す、妨害する、動揺させること」。他動詞の不定詞。
・leur(ルル)・・「彼らの、彼女らの、それらの」。三人称複数の所有形容詞。単数形。
・secret(スクレ)・・「秘密、隠し事」。男性名詞単数形。
『不躾に彼らの秘密を暴く者がないように』
・sur(スュル)・・「~の上に、~の表面に」。前置詞。
・leurs(ルル)・・「彼らの、彼女らの、それらの」。三人称複数の所有形容詞。複数形。
・tombes(トーンブ)・・「墓(複)」。女性名詞tombe(墓、墓穴)の複数形。
・on(オン)・・「人は」。特定または不特定の主格を指す人称代名詞。一二三人称単複どれを指す場合でも、動詞は三人称単数形をとる。
《tombes on(トーンボン)》
・peut(プー)・・「(それは)~できる」。他動詞pouvoir(~することができる、~しても良い、~かもしれない)の三人称単数現在形。
・voir(ヴォワール)・・「見える、見物する、会う」。他動詞の不定詞。
『彼らの墓で、会えるのは、』
・deux(ドゥー)・・「2」。基数詞。無変化。
・ronces(ローンス)・・「イバラ(複)」。女性名詞ronce(キイチゴ属のイバラ)の複数形。
・unies(ユニ)・・「一つに合わさった」。形容詞uni(一つに結ばれた、合わさった、平坦な、無地の、連合した)の女性複数形。
《ronces unies(ローンスュニ)》 ※アンシェヌマンはしてるけどリエゾンはしてない。
・enlacées(アンラセ)・・「絡みついた」。形容詞enlacé(巻きついた、抱き合った、組み合わされた)の女性複数形。
『一つに絡み合う二つの茨』
・Tristan(トリスタン)・・「トリスタン」。男性固有名詞。人名。
・et(エ)・・「そして、~と」。接続詞。
・Yseult(イズルト)・・「イズー、イズルト、イゾルデ」。女性固有名詞。人名。
・dorment(ドルマン)・・「(それらは)眠る」。自動詞dormir(眠る、眠っている、怠ける)の直説法現在三人称複数形。
『トリスタンとイゾルデは眠っている』
・amants(アマン)・・「愛人たち」。男性名詞amant(愛人、情夫)の複数形。通常、不適切な(不倫の)関係について言う。
・pour(プール)・・「~に」。前置詞。
・l'éternité(レテルニテ)・・「永遠」。頭語が母音またはhの単数名詞につく定冠詞l'+女性名詞éternité(永遠、永久、無窮、不滅、非常に長い時間)の単数形。
『恋人たちは
・tant(タン)・・強意や比較の副詞。
・que(ク)・・接続詞。"tant que 直接法"で「~する限り、~である間は」。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・fleurira(フルリラ)・・「(それが)咲くだろう」。自他動詞fleurir{花が咲く、(比喩的に)開花する、栄える、花で飾る、花を贈る}の三人称単数未来形。
『茨が咲く限り、』
・toi(トワ)・・「君」。二人称単数の人称代名詞。強勢形。
・et(エ)・・「そして、~と」。接続詞。
・moi(モワ)・・「私」。一人称単数の人称代名詞。強勢形。
・on(オン)・・「人(私たち)は」。特定または不特定の主格を指す人称代名詞。一二三人称単複どれを指す場合でも、動詞は三人称単数形をとる。
・s'aimera(セメラ)・・「(それは)愛し合うだろう」。他動詞aimer(愛する、好む)の代名動詞形s'aimer(愛し合う、自分を愛する)の三人称単数未来形。
『あなたと私は愛し合うでしょう』
・tant(タン)・・強意や比較の副詞。
・que(ク)・・接続詞。"tant que 直接法"で「~する限り、~である間は」。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・fleurira(フルリラ)・・「(それが)咲くだろう」。自他動詞fleurir{花が咲く、(比喩的に)開花する、栄える、花で飾る、花を贈る}の三人称単数未来形。
『茨が咲く限り』
・mais(メ)・・「だが、でも、いったい、さて」。接続詞。
・si(スィ)・・「もし~なら」。接続詞。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・dépérit(デペリ)・・自動詞dépérir(衰弱する、弱る、萎れる)の三人称単数現在形。
『けれど、もし茨が枯れるなら、』
・qu'elle(ケル)・・接続詞que+三人称単数女性、主格の人称代名詞elle。ここでは接続法と共にsiと同じく仮定の表現かな。
・retombe(ルトンブ)・・自動詞retomber{再び転ぶ、(上がったものが)落ちる、また降る、再び~に陥る}の接続法現在三人称単数形。"Qu'elle retombe"で「彼女が(再び)~に陥るなら」。
・dans(ダン)・・「~の中に、~の状態に」。
・l'oubli(ルブリ)・・「忘却」。頭語が母音またはhの単数名詞につく定冠詞l'+男性名詞oubli(忘れること、忘却)の単数形。"tomber dans l'oubli"で「忘れられる」。ここではretomberだけど、「また忘れられる」よりは「何もなかった状態に戻る」感じかな?
『茨が忘れ去られるなら、』
・mais(メ)・・「だが、でも、いったい、さて」。接続詞。
・si(スィ)・・「もし~なら」。接続詞。
・la(ラ)・・女性名詞単数形につく定冠詞。
・ronce(ローンス)・・「キイチゴ属のイバラ」。女性名詞単数形。
・dépérit(デペリ)・・「(それは)しおれる」。自動詞dépérir(衰弱する、弱る、萎れる)の三人称単数現在形。
『けれど、もし茨が枯れるなら、』
・notre(ノトル)・・「私たちの」。一人称複数の所有形容詞単数形。
・amour(アムール)・・「愛」。男性名詞単数形。
《Notre amour(ノトラムール)》
・fanera(ファネラ)・・「(それは)しおれるだろう」。自他動詞faner{(草花を)萎れさせる、(刈り草を)乾かす、(色、容姿を)褪せさせる、(草花が)萎れる}の三人称単数未来形。
・aussi(オスィ)・・「同じく、~もまた、そんなに」。副詞。
『私たちの愛もまた萎むでしょう』
彼らの永遠の愛の物語は、アーサー王宮廷物語やケルト神話の想像物の中で、最も美しいものの一つである。
この叶わぬ恋にまつわる悲運は、19世紀のイギリスの作家たちが否定しなかったであろうロマンティックなお話にもなっている……
この伝説は、イギリス海峡の両岸、コーンウォール地方とアルモリカ地方に、対になった2つのヴァージョンが存在する。
コルヌアイユ(コーンウォール)の王マルク(マーク)は、生まれたばかりのトリスタンを引き取った。トリスタンは王の姉妹であるブルーウェンの息子である。ブルーウェンが彼を産んだ時に亡くなってしまったので、マークはトリスタンを彼自身の息子として育てた。
マーク王の嫡子ではないトリスタンは、王の後を継ぐことができない。
そこで、コーンウォール王国の貴族たちは、王位継承者を得るため、主君に再婚を勧める。
トリスタンは、アイルランド王の娘イズルト(イゾルデ)に結婚を申し込むため、アイルランドへ派遣される。
けれど、イゾルデはマーク王を愛しておらず、この結婚をとても恐れている。
それゆえ、イゾルデの侍女は、彼女がコーンウォールに着いた時飲むよう、強力な愛の霊薬を手渡す。イゾルデが王を愛し、その傍らで悔いなく暮らせるように。
誤ってか、はたまた宿命によってか、トリスタンとイゾルデは貴重な秘薬を摂取してしまい、王の元へ婚約者を連れて戻る船の上で、切実な永遠の恋に落ちることになる。
魔法によって生み出された愛の力に対抗することは不可能である……
今後、恋人たちの人生は、流浪を余儀なくされるだろう。――マーク王の怒りから逃れるため、トリスタンとイゾルデは、彼らの叶わぬ恋を遂げようと、空しくも宮廷から遠くに逃げ去るのだ。
王は、遂に森の中で彼らを見つけ出し、トリスタンの死一等を減じるも、追放刑を宣告する。
数年後、流浪の人生を経て、トリスタンとイゾルデは死して再会することとなる。
彼らは隣り合う二つの墓に埋葬され、伝説によると、茨※註1が伸びて、二つの墓を永遠に一つに結びつけたという。
この植物は、よく、はびこって道の曲がり角で引っ搔いてくる雑草と見なされるけれど、私はずっと茨(それに、秋に食べられるブラックベリー※註2の実も!)が好きだったし、春に咲く茨の茂みの儚い白い花々を見ると、いつだってトリスタンとイゾルデの伝説と、死よりも強い愛のことを考える。
(Cécile Corbelによる楽曲解説)
※人名等固有名詞は、「ヴィヴィアーヌ(ヴィヴィアン)」のようにフランス語名カナ読みの隣に日本で馴染みのある表記(概ね英語風)を並べ、二度目以降の登場は後者に統一しています。
※註1 原文は« ronce »。バラ科キイチゴ属の、ブラックベリー(mûre)をつける、棘のある匍匐性の低木数種のこと。日本語の「茨」は棘のある植物の総称で特にバラ属を指すことが多いけど、仏語作品の邦訳で「茨」が出て来たら、大体キイチゴ属。なお、ronceには日本語だと「木苺」に含まれるラズベリーの木(framboisier)は含まれない。
※註2 原文は« mûre »。ここでは上記ronceに生る果実(英語で言うblackberry)のことだけど、桑の実(英語で言うmulberry)を指すこともある。ややこしいことに、桑の木の方はmûrierであってronceには含まれない。
強力な惚れ薬によって、思いがけず不義の恋に落ちてしまう男女。めっちゃ有名で色んな人に紡がれ続けて、細かい設定やエピソードの違いは挙げればきりがないトリスタンとイゾルデの物語。
セシルさんが解説で語る、二人のお墓が茨で結ばれるお話は、中世フランス文学の学者であり作家ジョセフ・ベディエ(Joseph Bédier)さんの"
Le roman de Tristan et Iseut "(l'Académie française 1900)に書かれてるやつかな?もっと古い元ネタがあるかもしれんけど。ところで、ベディエさんのお話だとトリスタンのお母上の名前がブランシュフルール(Blanchefleur)なんだけど、ブルーウェン(Bleuwenn)と同系なの?
玉髄(chalcédoine)の棺に納められたイズー(イゾルデ)と、緑柱石(beryl)の棺に納められたトリスタンの遺体は、船でブルターニュからティンタジェルに運ばれ、礼拝堂の近く、アプス(後陣)の右と左にそれぞれ墓を建てられて埋葬された。
夜の間に、トリスタンの墓から、力強い枝と香りの良い花をつけ、葉の繁った緑の茨(ブラックベリーの木)が飛び出し、礼拝堂の上に高く伸びて聳え、イゾルデの墓に入り込んだ。
人々が茨を刈り取っても、翌日にはまた生き生きと復活し、イゾルデの臥所に潜り込むこと三度。報告を受けたマルク(マーク)王は、二度と茨を刈ることを禁じる。
というエピソード。〔参3〕p203より
英語版Wikipediaの"Tristan and Iseult"によると、「トリスタンの墓から茨(ブラックベリーの木)が、イゾルデの墓からバラの木が」生えてきて絡み合うパターンや、「ハシバミとスイカズラ」のパターンがあったりするらしい。
どの作品か未確認だけど、後者の方は、12世紀終盤の作家マリー・ド・フランス(Marie de France)さん著" Chevrefoil(スイカズラ)
"の影響を受けてるんだろうな。
「ふたりの結びつきは、まさにこの、はしばみの木に絡みついた、すいかずらの如きもの」〔参5〕p400より引用
この詩では、生きた二人が人目を盗んで逢引きしようという場面だけど。
このセシルさんのTristan et Iseutだと、2人の墓を結びつける植物は、ベディエさんの書いたようにブラックベリーの木。ただし、トリスタンから一方向じゃなくて、トリスタンとイゾルデの墓、双方向から伸びて絡み付いている。
CDブックはいいぞ。セシルさんご本人による挿絵がすごく美しいぞ。こちらの公式ホームページ通販で買えるぞ。
参考・引用資料
1.『ロワイヤル仏和中辞典 第2版』(旺文社 2005)
2." CNRTL Lexicographie " https://www.cnrtl.fr/definition/
3." Le roman de Tristan et Iseut by Bédier, Joseph " https://archive.org/details/leromandetrista00bd/page/202/mode/2up
4."Wikipedia"内"Tristan and Iseult" https://en.wikipedia.org/wiki/Tristan_and_Iseult#cite_note-5
5.『フランス中世文学集1 信仰と愛と』(白水社 1994 第4刷)
ネイティブのフランス語にボロ耳の日本人が無理矢理カタカナ読みを当てつつ訳したらこうなった。
訳にセンスがないのも、カナが発音とかけ離れてるのも仕様です(が、明らかな誤訳があれば指摘プリーズ)。
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