Istoria〜Musa〜 ギリシア語メモ1.Kalliope

Καλλιόπη

吟遊詩人オルフェウスの母
叙事詩と弁論を司る女神

こちらのサイトでムーサ九柱の図像を見ることができます。

志方さんのδは[ð](ザ、ズィ、ズ、ゼ、ゾ)ではなく[d](ダ、ディ、デュ、デ、ド)ですね。置き換えてお読み下さい。
※動詞の相(アスペクト)は、「アオリスト相」とか「完了相」とか書いてない限り継続相、態(ヴォイス)は特に断りがない限り能動態です。

δικαιοσύνη(ズィキェオスィニ)・・「正義を」。女性名詞δικαιοσύνηズィキェオスィ(正義)の単数主格か対格。ここでは対格。
πιο(ピオ)・・「より、もっと」。副詞。形容詞や副詞と共に比較級を作る。
μεγαλοπρεπή(メガロプレ)・・「威厳のある、雄大な」。形容詞μεγαλοπρεπήςメ ガ ロ プ レ の女性単数対格形。
από(ア)・・「〜よりも」。前置詞。比較級の後に“απόア +名詞の対格形”で比較の対象を表す。
τον(トン)・・男性名詞単数対格につく定冠詞。
άνεμοネモ)・・「風(よりも)」。男性名詞άνεμος ネ モ ス(風)の単数対格。

『風よりも偉大な正義を』

αγάπη(アピ)・・「愛を」。女性名詞αγάπηア  ピ(愛情)の単数主格か対格。ここでは(たぶん)対格。
※古語ではηは長母音[ē]なので「アガペー」。この「アガペー」というのは、哲学的には「エロス(性愛)」に対する「精神的な愛」だったり、キリスト教的にはイエスの犠牲に代表されるような「無償の愛」だったり。「他者に対する無私の思いやり」という概念を表す言葉だと思ってるけど、実のところよく分からない。
πιο(ピオ)・・「より、もっと」。副詞。形容詞や副詞と共に比較級を作る。
βαθιά(ヴァスィ)・・「深く」。副詞。
από(ア)・・「〜よりも」。前置詞。比較級の後に“από+名詞の対格形”で比較の対象を表す。
τηνティン)・・女性単数対格につく定冠詞。
θάλασσαラサ)・・「海(よりも)」女性名詞θάλασσαラサ(海)の単数主格か対格。ここでは対格。

『海よりも深い愛を』

μάτιαティア)・・「視線を」。女性名詞μάτιαティア(一目、一瞥)の単数主格か対格。この場合は(たぶん)対格。
που(プ)・・「するところの」。"that"。関係代名詞。
βλέπουνε(ヴプネ)・・「(それらが)〜を見る」。他動詞βλέπωヴ  ポの直説法三人称複数現在形。
※単数形の主語に対して、動詞が複数形となっている。数の不一致は口語ではよくあるみたい。文語では絶対やらないけど。ここでは、「長い時の輪の一部を見た一瞥」がいくつもある、ということでいいんだろうか?
τονン)・・男性名詞単数対格につく定冠詞。
κύκλοクロ)・・「輪を」。男性名詞κύκλοςクロス(輪、円)の単数対格。
τηςティス)・・女性名詞単数属格につく定冠詞。
απεραντοσύνης(アペラントスィニス)・・「無限の」。女性名詞απεραντοσύνηア ペ ラ ン ト ス ィ(果てしないこと、広大無辺)の単数属格。
του(トゥ)・・男性名詞単数属格につく定冠詞。
χρόνου(フローヌ)・・「時の」。男性名詞χρόνοςノス(時間)の単数属格。

『時の無限の輪を見る視線を』

τραγουδήστε(トラグズィステ)・・「(君たちが)歌え」。自動詞τραγουδώト ラ グ ゾー(歌う)の命令法アオリスト相(二人称)複数形。
※「いつも(繰り返して)歌え」と言いたい時は継続相を用いるが、習慣的でない動作について「今こそ歌え」と言う場合にはアオリスト相を用いる。
για(ヤ)・・「〜に対して」。"for"。対格と共に用いる前置詞。
τηνティン)・・女性単数対格につく定冠詞。
ομορφιά(オモルフィー)・・「美しさを」。女性名詞ομορφιάオモルフィ(美しさ)の単数主格か対格。ここでは対格。
τηςティス)・・女性名詞単数属格につく定冠詞。
θνητής(スィニティス)・・「やがては死ぬべき運命の」。形容詞θνητόςスィニの女性単数属格形。こういう形容詞があるところがギリシア語だなぁ。
ζωής(ゾイース)・・「命の」。女性名詞ζωήイー(命、生命、寿命)の単数属格。

『謳歌せよ やがて潰えるべき命の美しさを』

τραγουδήστε(トラグズィステ)・・「(君たちが)歌え」。自動詞τραγουδώト ラ グ ゾー(歌う)の命令法アオリスト相(二人称)複数形。
για(ヤ)・・「〜に対して」。"for"。対格と共に用いる前置詞。
τηνティン)・・女性単数対格につく定冠詞。
ομορφιά(オモルフィー)・・「美しさを」。女性名詞ομορφιάオモルフィ(美しさ)の単数主格か対格。ここでは対格。
τηςティス)・・女性名詞単数属格につく定冠詞。
θνητής(スィニティス)・・「やがては死ぬべき運命の」。形容詞θνητόςスィニの女性単数属格形。こういう形容詞があるところがギリシア語だなぁ。
ζωής(ゾイース)・・「命の」。女性名詞ζωήイー(命、生命、寿命)の単数属格。

『謳歌せよ やがて潰えるべき命の美しさを』

εκθειάστε(エクスィステ)・・「(君たちが)褒め称えろ」。他動詞εκθειάζωエクスィアー(褒め称える)の命令法アオリスト相(二人称)複数形。
τονン)・・男性名詞単数対格につく定冠詞。
άνθρωποロポ)・・男性名詞άνθρωποςンスロポス(人、人間)の単数対格。
ο(オ)・・男性名詞単数主格につく定冠詞。
οποίος(オオス)・・「〜する人(もの)は」。代名詞。冠詞と共に用いると関係代名詞。
έχειヒ)・・英語のhave動詞に当たる助動詞έχωの現在三人称単数形。ここでは不定詞と共に完了相現在を作っている。
κρατήσει(クラティスィ)・・「(それは)守った」。他動詞κρατώクラトー(支配する、持つ、保持する)の完了基(不変化)。έχει κρατήσειで完了相現在三人称単数形。
※完了相は、文中の他の動詞(動作)の時点で既に終わっている動作を表す。アオリスト相過去でもほぼ同じ意味のことが言えるけど、完了相現在だと「終わった動作の結果が残っている」ニュアンスが強い・・らしい。何のこっちゃ。
τηνティン)・・女性単数対格につく定冠詞。
αγάπη(アピ)・・「愛を」。女性名詞αγάπηア  ピ(愛情)の単数主格か対格。ここでは対格。
του(トゥ)・・「彼の」。人称代名詞。男性(か中性)の三人称単数を指す人称代名詞属格弱形。ここでは所有代名詞の役割。
και(キェ)・・「そして」。"and"。
κλαίει(クイ)・・「(それが)嘆く」。動詞κλαίωク  オ(自動詞として「泣く」、他動詞として「〜を嘆く、〜(の死)を悼む」)の直説法現在三人称単数形。

『称えよ その愛を貫き それ(の喪失?)を悼む人を』

φωνές(フォス)・・「声(複)を」。女性名詞φωνήフォ(声)の複数主格か対格。ここでは対格?
που(プ)・・「するところの」。"that"。関係代名詞。
τραγουδάνε(トラグーネ)・・「(それらが)歌う」。自動詞τραγουδώト ラ グ ゾー(歌う)の現在三人称複数形。
τηνティン)・・女性単数対格につく定冠詞。
αγάπη(アピ)・・「愛を」。女性名詞αγάπηア  ピ(愛情)の単数主格か対格。ここでは対格。
που(プ)・・「するところの」。"that"。関係代名詞。
δενン)・・「〜でない」。否定の小辞。動詞の前に置く。
ξεθωριάζει(クセスォリーズィ)・・「(それが)褪せる」。自動詞ξεθωριάζωクセスォリーゾ(色が褪せる、記憶が薄れる)の現在三人称単数形。
ποτέ(ポ)・・「いつか、かつて、そのうち」。副詞。否定辞を伴うと、「決して〜でない」。

『決して色褪せない愛を歌う声を』

φωνές(フォス)・・「声(複)を」。女性名詞φωνήフォ(声)の複数主格か対格。ここでは対格?
που(プ)・・「するところの」。"that"。関係代名詞。
τραγουδάνε(トラグーネ)・・「(それらが)歌う」。自動詞τραγουδώト ラ グ (歌う)の現在三人称複数形。
και(キェ)・・「そして」。"and"。
απλώνονται(アプノンデ)・・「(それらが)広がる」。他動詞απλώνωア プ ー ノ(広げる)の中・受動態現在三人称複数形。
τυλίγουν(ティグン)・・「(それらが)包む」。他動詞τυλίγωテ ィ  ゴの現在三人称複数形。
τα(タ)・・中性名詞複数形の主格あるいは対格につく定冠詞。
πάνταンダ)・・「全てのものを」。複数形のみの中性名詞πάντα ン ダ(全てのもの、全部)の主格か対格。ここでは対格。

『歌い 全てを広がり包む声を』

λέξειςクシス)・・「言葉は」。女性名詞λέξηクスィ(単語、言葉)の複数主格か対格。ここでは主格?
χαραγμένες(ハラグネス)・・「刻まれた」。他動詞χαράσσωーソ(彫り込む、刻みつける)の受動分詞χαραγμένοςハラグノス(刻まれた)の女性複数主格形か対格形。形容詞として使われている。
από(ア)・・「〜によって」。対格(たまに主格)につく前置詞。
τα(タ)・・中性名詞複数形の主格あるいは対格につく定冠詞。
δάκτυλαクティラ)・・「指を」中性名詞δάκτυλοクティロ(手足の指)の複数主格か対格。ここでは対格。
δάχτυλフティロの方が一般的。

『指によって刻みつけられた言葉たちは』

περνάνε(ペルーネ)・・「(それらは)通り過ぎる」。動詞περνώペル(通す:自動詞としても他動詞としても多様な意味がある)の現在三人称複数形。
από(ア)・・「〜から」。対格(たまに主格)につく前置詞。
στόμα(スーマ)・・中性名詞στόμαーマ(口)の主格か対格。ここでは対格。
σε(セ)・・対格につく前置詞。幅広くat in onの意味を持つ。
στόμα(スーマ)   “από στόμα σε στόμα”で「口から口へ」。
παρέα(パア)・・「一緒に」。副詞。
με(メ)・・「〜と共に」。対格につく前置詞。
τα(タ)・・中性名詞複数形の主格あるいは対格につく定冠詞。
δάκρυαクリア)・・「涙」。中性名詞δάκρυクリ(涙)の複数主格か対格。ここでは対格。

『涙と一緒に 口から口へと渡り行く』


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参考文献
 『現代ギリシア語辞典』(リーベル出版 第3版増補版 2004)

 『現代ギリシア語文法ハンドブック』(白水社 2009)