Come raggio di sol

Antonio Caldara(1671〜1736):作曲
作詞者不明

Come raggio di sol mite e sereno
sovra placidi flutti si riposa
mentre del mare nel profondo seno
sta la tempesta ascosa:

così riso talor gaio e pacato
di contento, di gioia un labbro infiora,
mentre nel suo segreto il cor piagato
s'angoscia e si martora.


 原曲はSelve amicheと同じく、アントニオ・カルダーラさん作曲。やっぱり詠み人知らず。ababの押韻。
 バロックの原曲は、暗い旋律に時々明るさが入ってきていい感じ。しかし、sostenuto(音を保持して)は素人には無理だ。息が続かないよ。民族調で素敵な志方さんバージョンは・・一人では歌えませんな、確実に。

ーメ ッジョ ディ ーテ ーノ
Come raggio di sol mite e sereno
副詞 名詞 前置詞 名詞 形容詞 接続詞 形容詞
〜として 〜の 太陽 温暖な そして 晴れた、のどかな
暖かく澄んだ太陽の光が

soleがトロンカメント(語尾脱落)。

ーヴラ ーチディ ッティ スィ ーザ
sovra placidi flutti si riposa
前置詞 形容詞 名詞 再帰代名詞 動詞(原型:riposarsi)
〜の上で 穏やかな 波(複) それ自身を (それは)休ませる
穏やかな波の上で休む

sovraは現代語だとsopraの方が一般的みたい。
si riposaは動詞riposareの再帰動詞形で三人称単数現在形。
今更だけど、再帰代名詞と再帰動詞区切ってると分かり難いかな・・。

ントレ デル ーレ ネル プロフォンド ーノ
mentre del mare nel profondo seno
接続詞 縮約冠詞 名詞 縮約冠詞 形容詞 名詞
〜する間 di il in il 〜の中の 深い 胸、内部
深い内側の海で 〜する間


テンスタ アスーザ
sta la tempesta ascosa:
自動詞(原形:stare) 冠詞 名詞 形容詞
(それは)じっとしている 隠された
隠された嵐が留まっている

ascosaは他動詞nascondere(隠す)の変形?古形?ascondereの過去分詞女性単数形・・だよな。
「Notte」にもascoseって出て来たけど。
「海の中で隠れた嵐がじっとしている間、暖かく澄んだ日光が波の上に憩う」になるのか?直訳的には。

ズィ ーゾ ール イヨ ート
così riso talor gaio e pacato
副詞 名詞 副詞 形容詞 接続詞 形容詞
同様に 笑い 時々 陽気な そして 穏やかな
同様に 陽気で穏やかな時々の笑いが

taloraがトロンカメント。

ディ コンント ディ ジョイヤ ウン ッブロ インフィーラ
di contento, di gioia un labbro infiora,
前置詞 形容詞 前置詞 名詞 不定冠詞 名詞 他動詞(原形:infiorare)
〜で 満足な(こと) 〜で 喜び (それは)〜で飾り立てる
満足して 喜びで唇を飾る


ントレ ネル スオ セグート イル ール ピアート
mentre nel suo segreto il cor piagato
接続詞 縮約冠詞 所有形容詞 名詞 冠詞 名詞 形容詞
〜する間 in il 〜の中の それ(彼、彼女)の 秘密、奥底 傷ついた
その傷ついた心の奥底が 〜する間

corはcuoreの詩形coreのトロンカメント形・・だよな。
piagatoは他動詞piagare(傷つける)の過去分詞で男性単数形。

サンッシャ スィ マルーラ
s'angoscia e si martora.
再帰代名詞+他動詞(原形:angosciarsi) 接続詞 再帰代名詞 他動詞
(それは)苦悩する(それ自身を苦しめる) そして それ自身を 悩ませる
苦しみ 悩む

s'angosciaはangosciare(〜に苦悩を与える)の再帰動詞形で三人称単数現在形。
si martoraもmartoriare(拷問にかける、悩ませる)の再帰動詞形で三人称単数現在形だと思う。
現代語ならmartoria。『古典イタリア名曲撰集U 中声用』だとmartòraになってるけど、òって何だろう・・?

んでは、意訳。


暖かく晴れ渡った太陽の光が
穏やかな波の上にきらめく
深い海の水底には
密かに嵐が留まっているのに

同じように 時折 陽気で穏やかな笑みが
満たされた喜びで唇を彩るように見えても
その心の内は傷ついて
苦しみ 悩んでいるかもしれない


 志方さんの訳の方がよっぽど素敵だって?知ってますよ、んなことは。

歌詞は『古典イタリア名曲撰集U 中声用』より