Siúil a rúin アイルランド(・ゲール)語メモ
ケルト音楽愛好家なら幾度となく耳にしたことがありましょう。
非常に有名なアイリッシュ・トラッドで、
多くのケルティック・ボーカリストの皆様が歌っていらっしゃいます。
英語とアイルランド語混合歌詞ですが、メモはアイルランド語部分のみ。
カナ読みは辞書の発音の手引を参考にしています。が、日本語の音声体系とかけ離れ過ぎてて、カナなんて当てられるワケがねぇ!フランス人の歌う愛語をできるだけ近い日本語音で表そうとか、そもそも無茶だと。無謀だと。
発音記号っぽいものも書ける範囲で書いてみましたが、大して当てになりません。ゲールタハトのネイティブでさえ発音一定じゃないみたいだしなー。
・siúil(シュール/s'u:l')・・「(君が)進め、歩め」。他動詞siúil(歩く、旅する、出かける、進む)の二人称単数命令形。
※アイルランド語動詞の辞書形(見出しの語形)は普通、二人称単数命令形。
・siúil(シュール/s'u:l')
・siúil(シュール/s'u:l')
・siúil(シュール/s'u:l')
・a(ア/ǝ)・・「〜よ!」。呼びかけの接語。続く名詞や形容詞の頭語を軟音化(hを挿入して軟らかい音に)する。しかしrは軟音化しない子音なので、ここでは変わっていない。
[siúil a](シューリ)
※aは曖昧母音。セシルさんの発音ならこうかな。CLANNADのMoyaさん、Celtic womanのOrlaさん、Altan演奏で歌ったMary
Blackさんetcの歌唱を聴く限り、「シューラ」が多数派かな。
・rúin(ルーン/ru:n)・・男性名詞rún(ru:n/不思議、神秘、秘密、内なるもの、目標、決意)の単数呼格(または属格)。"a rúin"で恋人に対する呼びかけ。
※ここ、テキストによっては"a rún"となっていることもある。どっちでもいいみたい。
『行って 行って 愛しい人』
・siúil(シュール/s'u:l')・・「(君が)進め、歩め」。他動詞siúil(歩く、旅する、出かける、進む)の二人称単数命令形。
・go(ゴ/gǝ)・・形容詞の前について副詞句を作る接語。
・sochair(ソァキリ/sokǝr')・・「穏やかな、静かな、落ち着いた、安定した」。形容詞。
※辞書では"socair"。こっちの綴りになっているテキストもある。コシュ・アーリゲ方言のCDだと「ソケリ/ソケジ」って感じ。
・agus(アガス/ǝgǝs)・・「そして、〜と」。接続詞。
※方言によって、それに前後の繋がりによっても、物凄く発音が変わる単語。カナで書くと何のことやらだけど、だいたい(アガス、アーガス、アガス、オガス)ぐらい変わる。
[sochair agus](ソァキーラガス)
ClannadのMoyaさんは"sochair agus"を「ソァキーラグ」みたいに歌っている。カタカナとかね・・うん、無理。
・siúil(シュール/s'u:l')・・「(君が)進め、歩め」。他動詞siúil(歩く、旅する、出かける、進む)の二人称単数命令形。
・go(ゴ/gǝ)・・形容詞の前について副詞句を作る接語。
・ciúin(キューン/k'u:n')・・「静かな、穏やかな」。形容詞。
『落ち着いて 安心して行って』
・siúil(シュール/s'u:l')・・「(君が)進め、歩め」。他動詞siúil(歩く、旅する、出かける、進む)の二人称単数命令形。
・go(ゴ/gǝ)・・「〜へ」。前置詞。
・doras(ドァラス/dorǝs)・・「ドア」。男性名詞単数形。
・agus(アガス/ǝgǝs)・・「そして、〜と」。接続詞。
・ealaigh(エーリー/e:li:)・・「(君が)逃げろ」。自動詞ealaigh(逃げる)の二人称単数命令形。ここは叶わないと分かっていて、「だったらいいのに」ってことだよな。
[agus ealaigh](アガスェーリー)
・liom(リォム/l'um/l'om)・・「私と」。前置詞le(〜と)の前置代名詞。一人称単数形。
『ドアへ行って 私と逃げて』
・is(イス/ǝs)・・「そして、〜と」。接続詞agusの短縮形。
・go(ゴ/gǝ)・・動詞接続法現在形につく接語。願望を表す文を導く。続く頭語を暗音化する(別の音をつけて本来の音を変える)。
・dté(ジェー/d'e:)・・「行くように」。(不規則)自動詞téigh(t'e:γ'/行く)の接続法現在形téの暗音化。"Go dté tú slán."で「あなたが安全に行きますように」。旅立つ人を見送る時の挨拶。主語túをつける代わり、接続法現在二人称形téirを暗音化して"Go dtéir slán(ゴ・ジェール・スラーン)"と言ってもいいみたい。
※歌詞カードでは長母音記号なしのdteになっている
・tú(トゥー/tu:)・・「あなた」。二人称単数の人称代名詞。
※歌詞カードでは長母音記号なしのtuになっている。
・mo(メ/mǝ)・・「私の」。一人称単数の所有形容詞。これがかかる名詞や形容詞の頭語を軟音化(hを挿入して軟らかい音に)する。
セシルさんの発音だと「メ」かな。ClannadのMoyaさんは「モ」または「モァ」のように歌っている。
・mhuirnin(ウォールニーン/wu:rn'i:n)・・「ダーリン」。男性名詞muirnin(mu:rn'i:n/"darling, sweetheart, beloved")の語頭が軟音化。
・slán(スラーン/sla:n)・・形容詞。「健康な、安全な、完全な」。間投詞で「さようなら」。または男性名詞で「健康な人」の意味も。
『私のダーリン 無事でいて』
Siúil a rúin
この歌の作者、そもそもの出所は不明。ただ、アイルランドからアメリカを通して世界中に広まった歌ということしか分かりません。Siúil
a rúnとか、Shule aroon(英語圏の人に読み易く発音を書いたもの)という表記もあります。
戦争に旅立った恋人を想い、安否を気遣う女性の歌。愛しい彼のために旅支度を整え、いってらっしゃいと送り出す歌詞と、一緒にいたい、私も連れて行ってと願う歌詞が混じり合って哀切を呼びます。本来は。アイルランド語母語話者の歌唱を聴きたい向きにはClannadヴァージョンをおすすめとか言ってみる。アルバム"Dúlamán"とか、タイトルがどうしてこうなった日本盤『妖精のレジェンド〜ベスト・オブ・クラナド』とかに入ってたり。これ歌詞カードないけど!
セシルさんのアレンジだと、馴染みの物悲しさはどこへやら、えらくカッコいいですね。これもまた良し!
「ブルターニュ出身の歌手がフランス語訛りのアイルランド・ゲール語を歌っているところに、
ボロ耳の日本人が無理矢理カタカナ読みを当てつつ直訳した」らこうなった。
特にボロ耳の日本人はゲール語全般よく分かってないド素人だよ!色々とこいつのせいだよ!
このページはあくまで"CECILE CORBEL Song Book vol.1"買った人向け(たぶん)、自己満足なメモ書きであって、
著作権侵害の意図はないけど・・場合によってはすぐ消します。