A stór mo chroí アイルランド(・ゲール)語メモ

Siúil a rúinほど有名ではありませんが、これもアイリッシュ・トラッドです。

これも英語とアイルランド語混合歌詞で、メモはアイルランド語部分のみ。
単純なフレーズが日本語にならんのだけど、どうしたらいいの?
ドラマ風に「あなた」、古風に「背の君」・・う〜ん?

 カナ読みは辞書の発音の手引を参考にしています。フランス人の歌う愛語をできるだけ近い日本語音で表そうという無茶をやっとるんで、いい加減なのは大目に見て頂ければ。
 発音記号っぽいものも書ける範囲で書いてみましたが、大して当てになりません。

a(オァ/ǝ)・・「〜よ!」。呼びかけの接語。続く名詞や形容詞の頭語を軟音化(hを挿入して軟らかい音に)する。しかし頭がsの単語はsa,si,su,se,so,sl,sn,srのどれかで始まるものを除いて軟音化しないので、ここでは変わっていない。
※セシルさんの発音だとこうかな。ネイティブの発音なら「ア」に聴こえる。
stór/sto:r)・・「店、蓄え、宝、富」。男性名詞単数形。"a stór"で恋人に対する呼びかけ。
mo(モァ/mǝ)・・「私の」。一人称単数の所有形容詞。これがかかる名詞や形容詞の頭語を軟音化(hを挿入して軟らかい音に)する。
chroí(クー/xri:)・・「心、中心、芯」。男性名詞croíクリー(kri:/心)の語頭が軟音化。
※セシルさんの発音だと軟音化して聴こえない。ネイティブの発音ならもうちょっと「フー」寄り。

『愛しいあなた Treasure of my heart

a(ア/ǝ)・・「〜よ!」。呼びかけの接語。続く名詞や形容詞の頭語を軟音化(hを挿入して軟らかい音に)する。しかしrは軟音化しない子音なので、ここでも変わっていない。
rúinーン/ru:n)・・男性名詞rúnルーン(ru:n/不思議、神秘、秘密、内なるもの、目標、決意)の単数呼格(または属格)。"a rúin"で恋人に対する呼びかけ。

『愛しいあなた My wonder


 Stór mo chroí
 この歌の作詞者は、アイルランド共和主義者でゲール語連盟(Gaelic League)の一員、ブライアン・オイギンスさん(Brian O'Higgins/1882〜1963?)。1916年のイースター蜂起に参加し、その後Brian na Banbanの偽名で愛国活動とアイルランド文芸復興のために様々な韻文を書いたそうです。
 彼の作品の多くは、その時々の愛国イベントに関連した水ものだったようだけど、この歌に関しては、故郷を去って行く恋人、同朋に対する悲しみがテーマでしょうか。これが書かれた時代から半世紀ちょっと前にアメリカ大陸に渡った移民たちを偲ぶ歌のようにも聞こえます。

 詳しくはこちら→"Cantaria"内'A Stor Mo Chroi'
 ミュージッククリップ、折り畳みで楽譜もあり。


 セシルさんのアレンジは・・これまた力強い。甘い声は色っぽいんだけども。
 "a stór(宝物さん)"、"a chroí(心さん)"、"a stór mo chroí"(私の心の宝物さん)、全て恋人に対する呼びかけとして使えます。印欧語のご多分に漏れず、アイルランド語もこの手の恥ずいロマンティックな言い回しがわんさとあります。



↑素材をお借りしています

参考資料
・"Cantaria folk song archive" http://www.chivalry.com/cantaria/
 アイルランド、イングランド、スコットランドのフォークソングのアーカイブ。

「ブルターニュ出身の歌手がフランス語訛りのアイルランド・ゲール語を歌っているところに、
ボロ耳の日本人が無理矢理カタカナ読みを当てつつ直訳した」らこうなった。
特にボロ耳の日本人はゲール語全般よく分かってないド素人だよ!色々とこいつのせいだよ!
このページはあくまで"CECILE CORBEL Song Book vol.1"買った人向け(たぶん)、自己満足なメモ書きであって、
著作権侵害の意図はないけど・・場合によってはすぐ消します。

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