The Celts (主にアイルランド・)ゲール語メモ
Enya 『The Celts』より

1986年にBBCが放送したドキュメンタリー"The Celts"のメインテーマ。
日本でも89年に『幻の民 ケルト人』のタイトルでNHK教育が放送してた。
これのサントラがアルバム"The Celts"、日本盤『ケルツ』なんだけど、
まあテーマ通り、Enyaさんのアルバムの中で最もケルト色の濃い作品。
とは言っても、彼女が生まれ育った地の生の伝統ではなく、
大きな括りの「ケルト」なるものを強烈に視聴者に印象付ける目的で作られた感じ。



 ※単語ごとにカナ読みを当てていますが、あくまで目安程度のものです。ぶっちゃけ、カナ読みなんぞ土台無理です。
  辞書等を参考に発音記号っぽいものも書いてみましたが、これも目安程度のものです。分からないところも適当に書いていたりします。分からないところも適当に書いていたりします!

Hi-ri, Hi-ra, Hi-ri.
Hoireann is O, ho hi, ro ho, ro ho ro.

ールェン ィ[ho:r'ən əs])
Hoireann is O, ho hi, ro ho, ro ho ro.
Hi-ri, Hi-ra, Hi-ri, Hi-ra.

saolスィ/si:l)・・「存在期間」。男性名詞単数形。「人生、時間、世界、存在する期間、人間社会、世間、暮らし方、森羅万象」など、多様な意味を持つ。
na(ナ/nə)・・複数属格定冠詞。語頭子音を暗音化することがあるけど、ここではそのまま。
saolスィ/si:l)・・「万物の」。男性名詞。ここでは複数属格。辞書に載ってる複数属格定名詞は"na saolta"なんだけども、この場合は慣用句で-taはつけないみたい。"(le) saol na saol"で「果てしなき世界」とか「永遠に、時の果てまで」を意味する。短いフレーズにもの凄く深い意味がこもってそう。

『終わりなき世界』

túsトゥ/tu:s)・・「始まり、初め、原点」。男性名詞単数形。散文だと、この前に前置詞ó(オー[o:]/~から)がつきそう。
go(ゴァ/gə)・・「~まで」。前置詞。
deireadhヂェルァ/d'er'ə)・・「終わり、終結、満了」。男性名詞単数形。

『始まりから終わりまで』

タェー/tæ:)・・「存在する」。存在動詞bí(ー[b'i:]/ある、いる、存在する)の現在形。方言によって(ー[tɑ:])みたいにも発音する。
muidムィ/mid')・・「私たちは」。一人称複数の人称代名詞。隣接形。
beoビョー/b'o:)・・「生きている、生活している、活発な、素早い」。形容詞。
go(ゴァ/gə)・・「~まで」。前置詞。
※歌詞カードでDo deoになってるけど、たぶん誤植。
deoジョー/d'o:)・・goとセットでしか使われない単語。"go deo"で、副詞のような形容詞のような慣用表現。「永遠に、(否定文で)決して」。

『私たちは永遠に生きる』

saolスィ/si:l)・・「存在期間」。男性名詞単数形。「人生、時間、世界、存在する期間、人間社会、世間、暮らし方、森羅万象」など、多様な意味を持つ。
na(ナ/nə)・・複数属格定冠詞。語頭子音を暗音化することがあるけど、ここではそのまま。
saolスィ/si:l)・・「万物の」。男性名詞。ここでは複数属格。辞書に載ってる複数属格定名詞は"na saolta"なんだけども、この場合は慣用句で-taはつけないみたい。"(le) saol na saol"で「果てしなき世界」とか「永遠に、時の果てまで」を意味する。↓超意訳。

『あらゆる時も場所も越えて』

túsトゥ/tu:s)・・「始まり、初め、原点」。男性名詞単数形。散文だと、この前に前置詞ó(オー[o:]/~から)がつきそう。
go(ゴァ/gə)・・「~まで」。前置詞。
deireadhヂェルァ/d'er'ə)・・「終わり、終結、満了」。男性名詞単数形。

『始まりから終わりまで』

タェー/tæ:)・・「存在する」。存在動詞bí(ー[b'i:]/ある、いる、存在する)の現在形。
muidムィ/mid')・・「私たちは」。一人称複数の人称代名詞。隣接形。
beoビョー/b'o:)・・「生きている、生活している、活発な、素早い」。形容詞。
go(ゴァ/gə)・・「~まで」。前置詞。
deoジョー/d'o:)・・"go deo"のセットで、副詞のような形容詞のような慣用表現。「永遠に、(否定文で)決して」。

『私たちは永遠に生きる』

Hoireann is O, ho hi, ro ho, ro ho ro.
Hoireann is O, ho hi, ro ho, ro ho ro.
Hi-ri, Hi-ra, Hi-ri, Hi-ra.
Hi-ri, So-ra, Hi-ri ho ro ho.

 不可思議な繰り返しの部分は特に意味のない擬音。アイルランド・ゲール語でoireannがoirの習慣現在形で「合う、合わせる」(fit, suit)、スコットランド・ゲール語でoireanが男性名詞oirの複数形で「端、縁、際、境(複)」だったりするけど、たぶんあんまり関係ない。それはそうと、これはスコットランドのヘブリディーズ諸島でツイード織りのおかみさんたちが歌っていたウォーキング・ソング(waulking song)の合いの手に似てる。
 waulkingというのは、織り上げた毛織物に十分な耐久性を持たせるよう縮絨する工程のこと。細長くて幅の狭いウォーキング・ボードという台、またはテーブルに濡らしたツイードを置いて、板の周りを取り囲む女性たちが布を板に打ちつけ、前後左右に引っ張り合う。この繰り返しの単純作業の間、誰かがリズミカルに歌い、皆で声を合わせて合いの手を入れる習慣があった。
↓動画参照
https://www.youtube.com/watch?v=fFoO6A7oRH0
https://www.youtube.com/watch?v=AenBnjKhPPo
 『幻の民 ケルト人』でも、確か6話『遺されしもの』でwaulking songがちょっとだけ紹介されてた。オープニングにもちらっと出てるし。
 ハリス・ツイード、丈夫でおしゃれだって日本でも流行ったよね。アウター・ヘブリディーズでは今でも観光客相手にこれを披露したり、体験させたりしてるんだとか。"Hoireann is O Hi-ri, Hi-ra..."は、ケルト人の耳にはどう聞こえるのか。この幻想的な歌の文句が「与作は木をきる~♪ヘイヘイホー♪」と同種のものだと思うと、何か微笑ましい。


↑素材をお借りしています

参考文献

ネイティブの歌うアイルランド・ゲール語(ドニゴール方言)に、
ボロ耳ド素人の日本人が発音記号やらカタカナ読みやらを当てたらこうなった。
ドニゴール、グウィードア方言ってどこで習えますかね?
このページはあくまでアルバム"The Celts"その他この曲買った人向け、
参考にならない辞書もどきであって、
著作権侵害の意図はありません。が、怒られたら消します。


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