Smaointe... D'Aodh Agus Do Mháire Uí Dhúgain
アイルランド(・ゲール)語メモ
Enya 『Shepherd Moons』より
Shepherd moonは羊飼い衛星なんやでー。
お月様のことやないんやでー。
Enyaさんの曲の中でもケルト色が濃い一品。
オリジナルなのにトラッド・ミュージックっぽくも聞こえるのは、
切なげなアイルランド語に加えて、イーリアン・パイプスの音色が原因か。
Liam O'Flionnさんの演奏が、これまたいいんだ。
1988年にシングル"Orinoco Flow"に収録された時は、
"Smaoitím..."というタイトルだったらしい。
日本盤の曲名が『スモイチム』なのは、こっちの方をカナ読みしたんだろう。
タイトル
・smaointe(スムィンチェ/smuint'e)・・「想い(複)」。男性名詞smaoineamh(スムィーニャ[smui:n'a]、スムィニャフ[smuin'af]/考え、思想、回想、塾考)の複数形。
【・smaoitím(スムィチム/smuit'im')・・「私が思い返した~」みたいな意味か?自・他動詞smaoin(スムィン[smuin]/考える、想起する、かえりみる、塾考する※標準綴りではsmaoinigh)の動形容詞(過去分詞)smaointe(スムィンチェ[smuint'e]※標準綴りではsmaoinithe)に一人称単数の人称語尾-imがついた複合形?かもしれない。とりあえず標準綴りではない。】
・d'Aodh(デー/de:)・・「エーに」。前置詞do(ドァ[də]/~へ、~に)+男性固有名詞(人名)Aodh(エー[e:])。古アイルランド語のáed(アーイズ[a:ið]/炎)に由来する男性名。語源的には別だけど、何故か英語の男性名Hughに相当する。
・agus(ァガス/əgəs)・・「そして」。接続詞。(オガス[ɑgəs]、アーガス[a:gəs]、ガス[gəs])みたいにも発音する。
・do(ドァ/də)・・「~に」。前置詞。続く単語を軟音化する。
・Mháire(ウォーィリェ/wɑ:r'ə)・・「モイア、モイレ」。女性固有名詞(人名)Máire(モーィリェ[mɑ:r'ə])が軟音化。聖母マリアに由来する女性名。英語の女性名Maryに相当する。
・Uí(イー/i:)・・アイルランド系の姓(名字)にしばしばつく接頭辞Ó(オー[o:])の属格(または呼格)。「孫、子孫」を意味する。この他、英語のMrs.のように既婚女性が夫側の姓(この場合はÓ Dúgain)を名乗る場合には"(名前)Uí Dhúgain"となる。Ó Dúgain家生まれの女性が自分の生家の姓を名乗る場合は"(名前)
Ní Dhúgain"となる。
・Dhúgain(グガン/ɣɡən')・・アイルランド系の姓Dúgain(ドゥガン[duɡən'])が軟音化。形容詞dubh(ドゥウ[duw]/黒い)の愛称形に由来する家名。結構多い名字のようで、"Dubhagain"をはじめ、異綴多数。
この夫妻の息子さん方(だよね?)、ClannadメンバーのNoel、Pádraig兄弟は、姓を英語風にDugganと綴っている。
『追憶… エー及びモイア・ドゥガン夫妻によせて』
※単語ごとにカナ読みを当てていますが、あくまで目安程度のものです。ぶっちゃけ、カナ読みなんぞ土台無理です。
辞書等を参考に発音記号っぽいものも書いてみましたが、これも目安程度のものです。分からないところも適当に書いていたりします。分からないところも適当に書いていたりします!
※「日本語盤歌詞カードでは~」と書いてある部分に関しては、必ずしも「ここ誤植な」という意味ではありません。単に「方言形なんで辞書等で調べられる語形と違うよ」の場合もあります。しかしながら、歌詞カードがあんまり信用できないのも事実であり・・「誤植かもしれんし方言かもしれんけど、ド素人には判別できんわ」だと思って下さい。
・éist(エーシュト/e:s't')・・「(君が)聞け、耳を傾けろ」。自・他動詞の命令法二人称単数形。
・le(ルェ/l'ə)・・「~と共に、~に対して」。前置詞。"Éist le ~"で「(君が)~を聞け」。
・mo(モァ/mə)・・「私の」。一人称単数の所有形容詞。続く名詞や形容詞の頭語を軟音化(hを挿入して軟らかい音に)する。
・chroí(フリー/xri:)・・「心、中心、芯」。男性名詞croí(クリー[kri:]/心)の語頭が軟音化。
・go(ゴァ/gə)・・形容詞について副詞句を作る小辞。
・brónach(ブローナ/brɔ:na)・・「悲しい」。形容詞。方言によって(ブローナハ[bro:nəx])とも発音する。
・a choích(ア フイー/ə xui:)・・「(肯定文で)常に、いつか ever、永久に forever/(否定文で)決して never」。未来の副詞。a choícheと綴って(ア フイーヒャ[ə xui:x'ə])、(ア フイー[ə xui:])とも。アルスター方言以外ではaなしのchoíche(フイーヒャ[xui:x'ə])。
『永遠の悲しみを抱いた 私の心(の声)を聞いて』
・tá(タェー/tæ:)・・存在動詞bí(ビー[b'i:])の現在独立形。方言によるけど、(トー[tɑ:])みたいに発音するところが多い。
・mé(メ/m'ə)・・「私は」。一人称単数の人称代名詞。隣接基本形。(メー[m'e:])みたいにも発音する。
・caillte(カールチェ/ka:l't'ə)・・「失われた、失敗した、放心した」。自・他動詞caill(カール[ka:l']、コール[kɑ:l']、カイル[kail']/失くす、失する、負ける、失敗する、死ぬ)の動形容詞(過去分詞)。táと共に叙述用法。方言によって(コールチェ[kɑ:l't'ə])、(カイルチェ[kail't'ə])みたいにも発音する。
※日本盤『シェパード・ムーン』歌詞カードでは"cailte"。
・gan(ガン/gan)・・「~なしで」。前置詞。
・tú(トゥー/tu:)・・「君」。二人称単数の人称代名詞。隣接基本形。
・'s(ス/s)・・「そして、~と」。接続詞agus(アガス[ɑgəs]、アーガス[a:gəs]、ァガス[əgəs]、オガス [ogəs]、ガス[gəs])の略形is(ィス[ǝs])の更に省略形。
・do(ドァ/də)・・「君の」。二人称単数の所有形容詞。続く名詞や形容詞を軟音化させる。
・bhean(ヴァン/w'an)・・「妻」。女性名詞bean(バン[b'an]/女、妻)が軟音化。
・chéile(ヒェーレ/x'e:l'ə)・・「伴侶」。男性名詞céile(キェーレ[k'e:l'ə]/連れ、伴侶)がbeanを修飾して軟音化。"do bhean chéile"で字義通りには「あなたの女性配偶者」。
『あなたと あなたの妻なしには 私はどうしていいか分からない』
・an(アン/ən)・・単数定冠詞。子音に挟まれるとnを発音しない。
・grá(グレー/græ:)・・「愛」。男性名詞単数形。方言によって(グロー[grɑ:])みたいにも発音する。ここの"An grá mór"はたぶん"Do bhean chéile"を指すんだろう。
・mór(モール/mɔ:r)・・「大きな、偉大な、広い」。形容詞。方言によって(モール/mo:r)みたいにも発音する。
・i (ェ/ə)・・「~の中の」。前置詞。続く名詞を暗音化する。方言によって(イ/i)と発音することもある。
《mór i》(モールェ/mɔ:rə)
・do(ドァ/də)・・「君の」。二人称単数の所有形容詞。続く単語を軟音化させる。
・shaoil(ヒール/hi:l)・・「人生」。「人生、時間、世界、存在する期間、人間社会、世間、暮らし方、森羅万象」など、多様な意味を持つ男性名詞saol(スィール[si:l]、サェル[sæ:l])が軟音化。
『あなたの人生における大いなる愛は』
・threoraí(ヒローリー/hr'ɔ:ri:)・・「導いた」。自・他動詞treoraigh(チローリー[t'r'ɔ:ri:]、チロールェ[t'r'o:rə]、チローリギ[t'r'o:rig']/案内する、導く、連れて行く)の過去独立形。標準綴りだとthreoraighだけど、たぶん。接続法現在じゃないし、男性名詞の軟音化でもないし。
・sí(スィー/s'i:)・・「彼女は」。三人称単数女性の人称代名詞。隣接基本形。
・mé(メー/m'e:)・・「私を」。一人称単数の人称代名詞。ここでは離接基本形。
※日本盤『シェパード・ムーン』歌詞カードでは"me"。たぶん誤植。
『彼女は私を導いてくれた』
・bígí(ビーギー/b'i:g'i:)・・「(君たちが)存在しろ、いろ」。存在動詞bí(ビー[b'i:])の命令法二人称複数形。
・liomsa(リァムサ/l'əmsə)・・「私と共に」。前置詞le(ルェ[l'ə]/~と共に)の前置代名詞一人称単数対照形。方言によっては(リォムサ[l'omsə]、リュムサ[l'umsə])みたいに発音する。
・i(ェ/ə)・・「~の中に」。前置詞。続く名詞を暗音化する。方言によって(イ/i)と発音することもある。
・gcónaí(ゴーニー/gɔ:ni:)・・男性名詞cónaí(コーニー[kɔ:ni:]、[ko:ni:]/住処、休み、停止、逗留)が暗音化。"i gcónaí"で「いつでも、まだ、今まで通り」。
※日本盤『シェパード・ムーン』歌詞カードでは"gconaí"。
・lá(ラー/la:)・・「日、一日、昼間」。男性名詞単数形。方言によって(ロー[lɑ:])、(レー[læ:])みたいにも発音する。
・'s(ス/s)・・「そして、~と」。接続詞agus(アガス[ɑgəs]、アーガス[a:gəs]、ァガス[əgəs]、オガス [ogəs]、ガス[gəs])の略形is(ィス[ǝs])の更に省略形。
・oích(イー/i:)・・「夜」。女性名詞単数形oíche(イーヒャ[i:x'ə]、イーハ[i:hə]、イー[i:]/夜、夜中)の語尾母音省略形。
『いつまでも私と一緒にいて 昼も夜も』
・ag(ェ/ə)・・前置詞。本来(エギ[eg'])みたいな発音だけど、動名詞とセットの時は母音が曖昧になって、子音が続く場合gも発音しない。
・caoineadh(クィーニュ/ki:n'u)・・自・他動詞caoin(クィーン[ki:n']/嘆き悲しむ、哀悼する、泣き叫ぶ、泣く)の動名詞。(クィーニェ[ki:n'ə])みたいにも発音する。ag+動名詞でたぶん進行表現なんだろうけど、存在動詞tá(トー[tɑ:]、タェー[tæ:])どころか主語まで省略されている。"Tá mé ag caoineadh.(タェーメーェクィーニュ)[tæ: me: ə ki:n'u]"で「私は泣いている」。
・ar(ェル/ər')・・前置詞。基本的な意味は「~の上に」。方言によって(エル[er'])みたいに発音する。
・an(アン/ən)・・単数定冠詞。
《ar an》(エラン/ər'ən)
・uaigneas(ウェギニャス/uəg'n'əs)・・「孤独」。男性名詞単数形。語頭が母音の男性名詞にanがつく場合、"an t-uaigneas"みたいにt-をつけるけど、何故かこの単語に関してはt-がつくこともつかないこともある。何でや。方言差なのか何なのかよく分からん。
・mór(モール/mɔ:r)・・「大きな、偉大な、広い」。形容詞。
『大きな孤独に 私は泣いている』
・na(ナ/nə)・・複数定冠詞。
・deora(ジョーリャ/d'ɔ:r'a)・・「涙(複)」。女性名詞deoir(ジョール[d'ɔ:r']、[d'o:r']/涙)の複数形。
・go(ゴァ/gə)・・形容詞について副詞句を作る小辞。
・brónach(ブローナ/brɔ:na)・・「悲しい」。形容詞。
『悲しみに暮れて(流す)涙』
・na(ナ/nə)・・「彼らの~の中に」。前置詞i(イ[i]、ァ[ə]/~の中に)と所有形容詞a(ァ[ə]/彼の、彼女の、彼らの)の複合形ina(イナ[inə]、ェナ[ənə])の語頭母音脱落形。所有形容詞aが「彼らの」を意味する場合、続く名詞を暗音化する。
・gcodladh(ゴルァ/golǝ)・・「眠り」。自・他動詞codail(コデル[kodǝl']、カディル[kʌdil']/眠る、睡眠をとる)の動名詞codladh(コルァ[kolǝ]、カル[kʌlu]:男性名詞)が暗音化。ここも存在動詞tá(トー[tɑ:]、タェー[tæ:])と主語が省略されてるっぽい。"Tá siad ina gcodladh.(タェースィァディナゴルァ)[tæ: s'iədinə golǝ]"で「彼らは眠っている(彼らは彼らの眠りの中にいる)」。
・ins(インス/ins)・・「~の中で」。前置詞i(イ[i]、ァ[ə])が定冠詞の前につく時の形。現代語だと、i+anでsaまたはsan、i+naでsnaみたいに前置詞と冠詞がくっつくことが多い。
・an(アン/ən)・・単数定冠詞。
・uaigh(ウーァ/u:ə)・・「墓」。女性名詞単数形。方言によって(ウェイ[uəɣ'])みたいにも発音する。
《ins an uaigh》(インサヌーァ/insənu:ə)
・ghlas(グラス/ɣlas)・・「緑の/灰色の」。形容詞glas(グラス[glas]/緑色の、灰色の、未熟な)が軟音化。詩的表現ではblue系を表すこともある。形容詞は女性名詞につく時、軟音化する。
植物の緑、ゴットランド・シープみたいな灰色羊や葦毛馬の毛色、フランネル生地の灰色、ライトブルーからブルーグレー系の瞳の色、どんよりした曇り空の色、金属の光沢なんかを包括する寒色系を表す。日本語の「緑」や「青」、「灰色」とは違う概念の色彩。一方、"Ógánach
glas"、直訳すると「緑の若者」=「若い未熟者」なんて、日本の「青二才」と同じような表現もあったりする。
・chiúin(ヒューン/x'u:n')・・「静かな」。形容詞ciúin(キューン[k'u:n']、キューィン[k'u:ən']/静かな、穏やかな)が軟音化。
『静かな碧い墓所に 彼らは眠る』
海の色?解釈が違ったらごめんなさい。
・faoi(フィー/fi:)・・「~の下に」。前置詞。続く名詞を軟音化、単数定冠詞がついてる場合は暗音化する。
・shuaimhneas(ファヴニャス/huəw'n'əs)・・「平和」。男性名詞suaimhneas(スァヴニャス[suəw'n'əs]、スィームニャス[si:m'n'əs]、スェニャス[suən'as]/平和、静寂、静穏、安静)が軟音化。
・go(ゴァ/gə)・・形容詞について副詞句を作る小辞。
・domhain(ドー/dɔ:)・・「深い」。形容詞。方言によって(ドーィン[dɔ:ən'])、(ダウィン[dawən'])、(ダウン[daun'])、(ダイヌ[dain'ə])みたいにも発音する。
『深く安らいで』
・aoibhneas(イーヴニェス/i:w'n'əs)・・「無上の喜び、至福」。男性名詞単数形。
・a(ァ/ə)・・「~であるところの」。直接関係小辞。続く動詞を軟音化する。
《aoibhneas a》(イーヴニェサ/i:w'n'əsə)
・bhí(ヴィー/w'i:)・・「あった、存在した」。存在動詞bí(ビー[b'i:])の過去独立形。
・ach(アーハ/a:x)・・「しかし」。接続詞。
・d'ímigh(ヂェミー/d'ɪm'i:)・・「去った」。自動詞imigh(エミー[ɪm'i:]、エム[ɪm'ə]、エメギ[ɪm'əg']/去る、進む、旅する、発つ、逃げる、過ぎる)の過去独立形。
・sin(シェーン/s'ɪ:n)・・「それは、あれは」。指示代名詞。
『(かつて)あった喜びは けれど 過ぎ去った』
・sé(シェー/s'e:)・・「彼は」。三人称単数男性の人称代名詞。隣接基本形。
・lean(リャーン/l'a:n)・・「付いて行った」。自・他動詞lean(付いて行く、従う)の、ここでは過去独立形。
※日本盤『シェパード・ムーン』歌詞カードでは"léan"。
・tú(トゥー/tu:)・・「君が」。二人称単数の人称代名詞。隣接基本形。
・do(ドァ/də)・・「君の」。二人称単数の所有形容詞。続く名詞や形容詞を軟音化させる。
・fhear(アール/a:r)・・「夫」。男性名詞fear(ファール[f'a:r]、ファェール[f'æ:r]/男、夫)が軟音化。fhは無音。
・chéile(ヒェーレ/x'e:l'ə)・・「伴侶」。男性名詞céile(キェーレ[k'e:l'ə]/連れ、伴侶)がbeanを修飾して軟音化。"do fhear chéile"で、「あなたの男性配偶者」。
※日本盤『シェパード・ムーン』歌詞カードでは"cheile"。
『彼 あなたがついて行ったあなたの夫は』
・an(アン/ən)・・単数定冠詞。子音に挟まれるとnを発音しない。
・grá(グレー/græ:)・・「愛」。男性名詞単数形。方言によって(グロー[grɑ:])みたいにも発音する。ここの"An grá mór"は"Do fhear chéile"を指すみたい。
・mór(モール/mɔ:r)・・「大きな、偉大な、広い」。形容詞。方言によって(モール/mo:r)みたいにも発音する。
・i (ェ/ə)・・「~の中の」。前置詞。続く名詞を暗音化する。方言によって(イ/i)と発音することもある。
《mór i》(モールェ/mɔ:rə)
・do(ドァ/də)・・「君の」。二人称単数の所有形容詞。続く単語を軟音化させる。
・shaoil(ヒール/hi:l)・・「人生」。「人生、時間、世界、存在する期間、人間社会、世間、暮らし方、森羅万象」など、多様な意味を持つ男性名詞saol(スィール[si:l]、サェル[sæ:l])が軟音化。
『あなたの人生における大いなる愛は』
・threoraí(ヒローリー/hr'ɔ:ri:)・・「導いた」。自・他動詞treoraigh(チローリー[t'r'ɔ:ri:]、チロールェ[t'r'o:rə]、チローリギ[t'r'o:rig']/案内する、導く、連れて行く)の過去独立形。標準綴りだとthreoraighだけど、たぶん。
・sé(シェー/s'e:)・・「彼は」。三人称単数男性の人称代名詞。隣接基本形。
・mé(メー/m'e:)・・「私を」。一人称単数の人称代名詞。ここでは離接基本形。
『彼は私を導いてくれた』
・bígí(ビーギー/b'i:g'i:)・・「(君たちが)存在しろ、いろ」。存在動詞bí(ビー[b'i:])の命令法二人称複数形。
・liomsa(リァムサ/l'əmsə)・・「私と共に」。前置詞le(ルェ[l'ə]/~と共に)の前置代名詞一人称単数対照形。方言によっては(リォムサ[l'omsə]、リュムサ[l'umsə])みたいに発音する。
・i(ェ/ə)・・「~の中に」。前置詞。続く名詞を暗音化する。方言によって(イ/i)と発音することもある。
・gcónaí(ゴーニー/gɔ:ni:)・・男性名詞cónaí(コーニー[kɔ:ni:]、[ko:ni:]/住処、休み、停止、逗留)が暗音化。"i gcónaí"で「いつでも、まだ、今まで通り」。
※日本盤『シェパード・ムーン』歌詞カードでは"gconaí"。
・lá(ラー/la:)・・「日、一日、昼間」。男性名詞単数形。方言によって(ロー[lɑ:])、(レー[læ:])みたいにも発音する。
・'s(ス/s)・・「そして、~と」。接続詞agus(アガス[ɑgəs]、アーガス[a:gəs]、ァガス[əgəs]、オガス [ogəs]、ガス[gəs])の略形is(ィス[ǝs])の更に省略形。
・oích(イー/i:)・・「夜」。女性名詞単数形oíche(イーヒャ[i:x'ə]、イーハ[i:hə]、イー[i:]/夜、夜中)の語尾母音省略形。
『いつまでも私と一緒にいて 昼も夜も』
・ag(ェ/ə)・・前置詞。本来(エギ[eg'])みたいな発音だけど、動名詞とセットの時は母音が曖昧になって、子音が続く場合gも発音しない。
・caoineadh(クィーニュ/ki:n'u)・・自・他動詞caoin(クィーン[ki:n']/嘆き悲しむ、哀悼する、泣き叫ぶ、泣く)の動名詞。(クィーニェ[ki:n'ə])みたいにも発音する。ag+動名詞でたぶん進行表現。存在動詞tá(トー[tɑ:]、タェー[tæ:])と主語mé(メー[m'e:])が省略されている。"Tá mé ag caoineadh.(タェーメーェクィーニュ)[tæ: me: ə ki:n'u]"で「私は泣いている」。
・ar(ェル/ər')・・前置詞。基本的な意味は「~の上に」。方言によって(エル[er'])みたいに発音する。
・an(アン/ən)・・単数定冠詞。
《ar an》(エラン/ər'ən)
・uaigneas(ウェギニャス/uəg'n'əs)・・「孤独」。男性名詞単数形。
・mór(モール/mɔ:r)・・「大きな、偉大な、広い」。形容詞。
『大きな孤独に 私は泣いている』
・na(ナ/nə)・・複数定冠詞。
・deora(ジョーリャ/d'ɔ:r'a)・・「涙(複)」。女性名詞deoir(ジョール[d'ɔ:r']、[d'o:r']/涙)の複数形。
・go(ゴァ/gə)・・形容詞について副詞句を作る小辞。
・brónach(ブローナ/brɔ:na)・・「悲しい」。形容詞。
『悲しみに暮れて(流す)涙』
・na(ナ/nə)・・「彼らの~の中に」。前置詞i(イ[i]、ァ[ə]/~の中に)と所有形容詞a(ァ[ə]/彼の、彼女の、彼らの)の複合形ina(イナ[inə]、ェナ[ənə])の語頭母音脱落形。所有形容詞aが「彼らの」を意味する場合、続く名詞を暗音化する。
・gcodladh(ゴルァ/golǝ)・・「眠り」。自・他動詞codail(コデル[kodǝl']、カディル[kʌdil']/眠る、睡眠をとる)の動名詞codladh(コルァ[kolǝ]、カル[kʌlu]:男性名詞)が暗音化。ここも存在動詞tá(トー[tɑ:]、タェー[tæ:])と主語が省略されてるっぽい。"Tá siad ina gcodladh.(タェースィァディナゴルァ)[tæ: s'iədinə golǝ]"で「彼らは眠っている(彼らは彼らの眠りの中にいる)」。
・ins(インス/ins)・・「~の中で」。前置詞i(イ[i]、ァ[ə])が定冠詞の前につく時の形。現代語だと、i+anでsaまたはsan、i+naでsnaみたいに前置詞と冠詞がくっつくことが多い。
・an(アン/ən)・・単数定冠詞。
・uaigh(ウーァ/u:ə)・・「墓」。女性名詞単数形。方言によって(ウェイ[uəɣ'])みたいにも発音する。
《ins an uaigh》(インサヌーァ/insənu:ə)
・ghlas(グラス/ɣlas)・・「緑の/灰色の」。形容詞glas(グラス[glas]/緑色の、灰色の、未熟な、青色の)が軟音化。形容詞は女性名詞につく時、軟音化する。
・chiúin(ヒューン/x'u:n')・・「静かな」。形容詞ciúin(キューン[k'u:n']、キューィン[k'u:ən']/静かな、穏やかな)が軟音化。
『静かな碧い墓所に 彼らは眠る』
・faoi(フィー/fi:)・・「~の下に」。前置詞。続く名詞を軟音化、単数定冠詞がついてる場合は暗音化する。
・shuaimhneas(ファヴニャス/huəw'n'əs)・・「平和」。男性名詞suaimhneas(スァヴニャス[suəw'n'əs]、スィームニャス[si:m'n'əs]、スェニャス[suən'as]/平和、静寂、静穏、安静)が軟音化。
・go(ゴァ/gə)・・形容詞について副詞句を作る小辞。
・domhain(ドー/dɔ:)・・「深い」。形容詞。方言によって(ドーィン[dɔ:ən'])、(ダウィン[dawən'])、(ダウン[daun'])、(ダイヌ[dain'ə])みたいにも発音する。
『深く安らいで』
・smaointe(スムィンチェ/smuint'e)・・「想い(複)」。男性名詞smaoineamh(スムィーニャ[smui:n'a]、スムィニャフ[smuin'af]/考え、思想、回想、塾考)の複数形。
・ar(ェル/ər')・・前置詞。基本的な意味は「~の上に」。方言によって(エル[er'])みたいに発音する。
・an(アン/ən)・・単数定冠詞。
《ar an》(エラン/ər'ən)
・lá(レー/læ:)・・「日、一日、昼間」。男性名詞単数形。方言によって(ロー[lɑ:])、(ラー[la:])みたいにも発音する。
・raibh(ロ/ro)・・「いた、存在した」。存在動詞bí(ビー[b'i:])の過去非独立形。または接続法現在形。方言によって(レヴ[rɛw'])みたいにも発音する。たぶんこれの前に関係小辞が省略されている。
・sibh(シェヴ/s'ɪw')・・「君たちが」。二人称複数の人称代名詞。ここでは隣接基本形。方言によって(スィブ[s'ib'])みたいにも発音する。
・ar(エル/er')・・「~に」。前置詞。
・mo(モァ/mə)・・「私の」。一人称単数の所有形容詞。続く名詞や形容詞を軟音化する。
・thaobh(ヒーゥ/hi:w)・・「側」。男性名詞taobh(ティーゥ[ti:w]、ティーヴ[ti:w']、テーヴ[te:v]/側、側面、境、縁、端、一方、一面)が軟音化。
『あなたたちが私の側にいた日の思い出』
・ag(ェギ/əg')・・前置詞。本来(エギ[eg'])みたいな発音だけど、動名詞とセットの時は母音が曖昧になる。
・inse(エンシェ/ɪns'e)・・他動詞inis(エネシュ[ɪn'ɪs']/話す、物語る、述べる、説明する、知らせる)の動名詞(女性名詞)。標準綴りではinsint。ag+動名詞でたぶん進行表現。存在動詞tá(トー[tɑ:]、タェー[tæ:])と主語sibh(シェヴ[s'ɪw'])が省略されている。"Tá sibh ag inse.(タェーシェヴェギェンシェ)[tæ: s'ɪw'əg'ɪns'e]"で「あなたたちは話している」。
《ag ínse》(ェギェンシェ/əg'ɪns'e)
※日本盤『シェパード・ムーン』歌詞カードでは"ínse"。
・scéil(シュキェイル/s'k'eil)・・「物語(の)」。男性名詞scéal(シュキアル[s'k'ial]、シュキェール[s'k'e:l]/物語、記述、記録)の単数属格。動名詞に続く定名詞(冠詞付き)は属格になる。不定名詞(冠詞なし)は属格になったりならなかったりする。
・ar(ェル/ər')・・前置詞。基本的な意味は「~の上に」。方言によって(エル[er'])みたいに発音する。
・an(アン/ən)・・単数定冠詞。
・dóigh(ドーイ/do:ɣ')・・「道筋、やり方、状態」。女性名詞単数形。方言によって(ドー[do:]、ドーイギ[do:ɣ'g'])みたいにも発音する。
・a(ァ/ə)・・「~であるところの」。直接関係小辞。続く動詞を軟音化する。
・bhí(ヴィー/w'i:)・・「あった、存在した」。存在動詞bí(ビー[b'i:])の過去独立形。
『あなたたちが その日に至るまで歩んできた物語を語り聞かせてくれる』
scéil ar an dóighがめっちゃ訳し難い。勝手な解釈で失礼する。
・is(ィス/əs)・・「~だ、~である」。コピュラの現在肯定形。
・cuimhin(クィーヴィン/ki:w'in')・・実名詞。あえて訳すなら「記憶」。"Is(Ba) cuimhin le~"で「~は覚えている(覚えていた)、思い出す(思い出した)」という慣用表現のみで使われる。普通の「記憶」は女性名詞cuimhne(クェヴニェ[kɪw'n'ə]、クィーニェ[ki:n'ə])が使われる。
※日本盤『シェパード・ムーン』歌詞カードでは"cuimhín"。
・liom(リァム/l'əm)・・「私と共に」。前置詞le(ルェ[l'ə]/~と共に)の前置代名詞一人称単数形。方言によっては(リォム[l'om]、リュム[l'um])みたいに発音する。
・an(アン/ən)・・単数定冠詞。
《liom an》(リァマン/l'əmən)
・lá(レー/læ:)・・「日、一日、昼間」。男性名詞単数形。方言によって(ロー[lɑ:])、(ラー[la:])みたいにも発音する。
・gan(ガン/gan)・・「~なしに」。前置詞。方言によって(ゴン[gɑn])みたいにも発音する。後ろに続く単語の頭語がb, c, g, m, pの場合、軟音化が起こり易いとか。
・ghá(ガェー/ɣæ:)・・「欠乏」。男性名詞gá(ガェー[gæ:]、ゴー[gɑ:]/必要、入用、欠乏)が軟音化。
※日本盤『シェパード・ムーン』歌詞カードでは"gha"。
・'s(ス/s)・・「そして、~と」。接続詞agus(アガス[ɑgəs]、アーガス[a:gəs]、ァガス[əgəs]、オガス [ogəs]、ガス[gəs])の略形is(ィス[ǝs])の更に省略形。
・gan(ガン/gan)・・「~なしに」。前置詞。方言によって(ゴン[gɑn])みたいにも発音する。
・ghruaim(グルァム/ɣruəm')・・「憂い」。女性名詞gruaim(グルァム[gruəm']、グルーェム[gru:əm']、グルーム[gru:m']/憂鬱、落胆)が軟音化。
『足りないものも 憂いもない あの日を思い出す』
・bígí(ビーギー/b'i:g'i:)・・「(君たちが)存在しろ、いろ」。存在動詞bí(ビー[b'i:])の命令法二人称複数形。
・liomsa(リァムサ/l'əmsə)・・「私と共に」。前置詞le(ルェ[l'ə]/~と共に)の前置代名詞一人称単数対照形。方言によっては(リォムサ[l'omsə]、リュムサ[l'umsə])みたいに発音する。
・i(ェ/ə)・・「~の中に」。前置詞。続く名詞を暗音化する。方言によって(イ/i)と発音することもある。
・gcónaí(ゴーニー/gɔ:ni:)・・男性名詞cónaí(コーニー[kɔ:ni:]、[ko:ni:]/住処、休み、停止、逗留)が暗音化。"i gcónaí"で「いつでも、まだ、今まで通り」。
※日本盤『シェパード・ムーン』歌詞カードでは"gconaí"。
・lá(ラー/la:)・・「日、一日、昼間」。男性名詞単数形。方言によって(ロー[lɑ:])、(レー[læ:])みたいにも発音する。
・'s(ス/s)・・「そして、~と」。接続詞agus(アガス[ɑgəs]、アーガス[a:gəs]、ァガス[əgəs]、オガス [ogəs]、ガス[gəs])の略形is(ィス[ǝs])の更に省略形。
・oích(イー/i:)・・「夜」。女性名詞単数形oíche(イーヒャ[i:x'ə]、イーハ[i:hə]、イー[i:]/夜、夜中)の語尾母音省略形。
『いつまでも私と一緒にいて 昼も夜も』
昔、地域の避難場所だったマラガレン(Maragallen)の浜に高波が押し寄せ、小さな教会と墓地を、その日そこにいた人々諸共に破壊した。
Enyaさんのお祖父さまとお祖母さまも、この同じ墓地に眠る。
Enyaさんはしばしばマラガレンの岸辺を歩きながら、どのように墓地を見出すかについて、未だ彼女を見守り、導いてくれる祖父母のことをどのように感じ取ったかについて、Romaさんに語ったという。彼女がその岸辺を歩く時は、祖父母と過ごした幼児期の日々に立ち返るのだとか。
この歌は、そんなEnyaさんの大事な思い出に寄せて、Roma Ryanさんが作詞したもの。
余談ながら、お祖父さまのAodh Ó Dúgainさんと言えば、古アイルランド語の讃美歌"Rop tú mo Baile"(邦題:『こころみの世にあれど』)の一番有名な現代アイルランド語訳詞"Bí
Thusa Mo Shúile"を遺した人だったりする。例によって、彼のお孫さんの一人でEnyaさんのお姉さんでもあるMoya Brennanさんも
歌っていらっしゃる("Whisper to the Wild Water"収録)。
ネイティブの歌うアイルランド・ゲール語(ドニゴール方言)に、
ボロ耳ド素人の日本人が発音記号やらカタカナ読みやらを当てたらこうなった。
母音記号を細かくしたことを後悔中。
ドニゴール、グウィードア方言ってどこで習えますかね?
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